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サンフランシスコで愛され続けるパン「サワードウブレッド」が、次世代へ受け継がれる理由。

  • 2020.3.24
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古くはビートジェネレーションから〈ブルーボトルコーヒー〉まで。 サンフランシスコ(SF)は何かが生まれる街。サンフランシスコの風土が育み、人の手が作るサワードウ。 流行の〈アウターランズ〉でも、原点のパン屋〈アクメブレッド〉でも、 地産地消、手作り、提供方法...伝統はしっかりと守られている。

サワードウが発展させたレストランがある。

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窯から出したばかりのカントリーブレッド8ドル。その流行について「クラフトがなくなっている時代だから、クラフトのパンが見直されているんじゃないかな」とローサ。

カリフォルニアキュイジーヌと自家製のカントリーブレッドが人気のレストラン〈アウターランズ〉。奥でパンを焼くローサは、日本人とのハーフで可憐な女性だった。「私の夢は日本でパンを焼くこと」彼女が本場のサワードウを日本に伝える日を心待ちにしている。オーガニックや地産地消を広めた名レストラン〈シェ・パニーズ〉の御用達が〈アクメブレッド〉。
学生時代から〈シェ・パニーズ〉でバイトしていたスティーブン・サリヴァンは、オーナーのアリスに背中を押されるようにして〈アクメ〉を開いた。「アリスは僕の第のお母さん」シェ・パニーズの哲学を受け継ぎ、カリフォルニア産のオーガニック小麦を使用、ハンドクラフトをなるべく守ろうとする。「パンのあるべき姿を作っているだけだよ」アリスは、サワードウにこだわった。サワードウに切り込みを入れて提供。
タルティンで、アウターランズで見かけたのとそのまま。伝統が継承されているのだ。スライスしない理由は、「パンは手でちぎるものだから」。サワードウをちぎるときに伝わる感触、ぬくもり。それはパンが自然によって育まれ、人の手から手へ渡されるものだと教えてくれる。

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ブレッド&バター。焼きたてのカントリーブレッドに、自家製のバターをたっぷり。

奥にあるパン工房でパンを作る。鉄鍋に生地を入れて焼くことで、熱をしっかり伝えて、おいしいパンに。自家培養のサワードウ、セントラルミリング社のカリフォルニア産小麦使用。レストランで自家製パンを出すアイデアは、タルティンのチャド・ロバートソンによるものという。

〈Outerlands〉
4001 Judah St., SanFrancisco
415-661-6140
朝・昼食(土日はブランチ)9:00〜15:00、ディナー17:00〜22:00 無休
61席

〈シェ・パニーズ〉なしにサワードウの発展はない。〈Acme Bread〉

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小さい店にはパンがひしめき、入口の前にはいつも長い行列。アクメのパンがなくては週末の朝は来ない。
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この窯で〈シェ・パニーズ〉のその日のパンが焼かれる。

〈アクメブレッド〉のセントラル工場。たった4種類のパンからはじまったベーカリーは、自店舗のみならず、いまではベイエリアの多くのマーケットやレストランに約100種類ものパンを提供。にもかかわらず、古めかしい機械を大事に使い、ひとつひとつクラフトで作ることをポリシーにする。創業以来作りつづける「パン・オ・ルヴァン」=サワードウは熟成の効いたサワーならではの風味。

〈Acme Bread〉
甘いパンやフランスパンも。
1601 San Pablo Ave., Berkeley
510-524-1327
8:00〜18:00(日8:30〜15:00)無休

パンだけでない、ベイエリアのシンボル。

古い工場をリノベ、〈タルティンベーカリー〉の〈マニュファクトリー〉とスペースを分け合う。ヒースの製品は、〈シェ・パニーズ〉でも愛用。器だけでなく、近年はトートなど布製品も手がける。左写真は「クープライン」。1948年の創業以来作りつづけている、最もクラシックな製品。少しぼてっとしていて、堅牢、シンプル、なにより手触りや発色がすばらしく、使うほどに愛着が湧く。ディナープレート36ドル、サラダプレート30ドル、B&Bプレート19ドル、スタジオマグ各31ドル。

〈Heath Ceramics〉
〈ヒースセラミックス〉の工場兼ショップ。工場はガラス張りで、ヒースのものづくりをじかに感じられる。
2900 18th St.,SanFrancisco
10:00〜18:00(木金土〜19:00)

※1ドルは約110円(2月14日現在)、アメリカの国番号は1、カリフォルニア州の飲食店は全面禁煙です。
(Hanako1182号掲載/photo:Kenya Abe illustration:Maori Sakai coordination:Hiroko Kato text:Hiroaki Ikeda)

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