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広瀬すずと吉沢亮、「なつぞら」と『一度死んでみた』で連続共演の信頼感とは?

  • 2020.3.22
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『一度死んでみた』で共演した広瀬すずと吉沢亮
撮影/河内彩

【写真を見る】満面の笑みで見つめ合う広瀬すずと吉沢亮<写真12点>

NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」での好演も記憶に新しい広瀬すずと吉沢亮が、破天荒なコメディ映画『一度死んでみた』(3月20日公開)で再共演。それぞれ、この2作で演じたキャクターの振り幅がなんとも興味深いのだ。本作で、主演の広瀬が髪をピンクに染め、デスメタルバンドのボーカルという強烈な役にトライすれば、吉沢も国宝級イケメンのオーラを消し、ゴーストのように存在感のない秘書役に徹した。そんな2人を直撃し、製作秘話を聞いた。

SoftBank「白戸家」シリーズなどのCMプランナーでクリエイティブディレクターの澤本嘉光が脚本を手掛け、au「三太郎」シリーズなどのCMディレクター、浜崎慎治が映画初監督を務めた本作。

広瀬が演じた野畑七瀬は、反抗期をこじらせた女子大生で、製薬会社の社長を務める父親の計(堤真一)に対して、「一度死んでくれ!」「クサイ!」と言った罵詈雑言を毎日浴びせるヤサグレ女子だ。吉沢は計の地味な秘書、松岡卓役で、計から七瀬を監視するように命じられる。ある日、計が、自分の経営する野畑製薬で開発した“2日間だけ死んじゃう薬”を飲み、仮死状態となったことで、ひと騒動が巻き起こる。

「あんなに大切に思っていた人に、『うるせえな!』と罵声を浴びせるなんて」(広瀬)

お馴染みのデスポーズをする広瀬すず
撮影/河内彩

以前からコメディ作品に対して憧れを抱いていたという広瀬。「コメディ映画は、観たあとに『ああ、おもしろかった!』となるのが気持ちいいけど、演じる側としてはきっと難しくて、技量がある人しかできないんだろうなと感じていました。ただ、いつかはやってみたいと思っていたんです」。

そんななかで広瀬にオファーが入った本作。脚本を読んだ時は「いろんな方が出演されていて、けっこうぶっ飛んだ内容だったし、自分がいままで観てきたコメディとはまた違った作品で、おもしろいなと思いました」と内容に興味津々となった。

吉沢も「笑いが入るテンポが良くて、随所にクスッと笑えるポイントがちりばめられていたので、脚本を読んでいても飽きなかったです。また、親子愛みたいなものが、不器用な人たちのかわいらしい姿を通して描かれていて、すてきだなと思いました」と、やはり脚本に心を惹かれたようだ。

「なつぞら」では、十勝で育ち、のちにアニメーターとなる少女、奥原なつ役を演じた広瀬。なつにとって、吉沢が演じた孤高の画家、山田天陽は、初恋の人にしてソウルメイト的な存在だっただけに、本作で2人が演じた役柄とのギャップにはびっくりさせられる。しかも、本作の撮影後、また「なつぞら」のロケに戻ったと聞いてさらに驚いた。

広瀬が「あんなに大切に思っていたはずの人に、『うるせえな!』と罵声を浴びせるので、感情がぐちゃぐちゃになりました(苦笑)。吉沢くんとの共演シーンは、本作のほうが多かったので、ここから『なつぞら』に戻れないんじゃないかと心配したり、演じていて、恥ずかしいなと思ったりもしました」と言うのも大いにうなずける。

「今回のすずちゃんは、メイクも濃くて目つきも怖く、『別人だ!』と思いました」(吉沢)

国宝級イケメンのオーラを消して、ゴースト男子になりきった吉沢亮
撮影/河内彩

吉沢は、すさまじいデスメタル女子になりきった広瀬を初めて見た時、「全然違う!」と戸惑ったそうだ。「『なつぞら』のなっちゃんのイメージは、無垢で透明感にあふれるかわいらしい少女でした。でも、『一度死んでみた』の現場に入ったら、七瀬はメイクもめちゃくちゃ濃いし、目つきも怖かったので、『別人だ!』と(笑)。きっと映画を観る人も、すずちゃんのこういう役は新鮮だと思うので、そういう意味でも楽しめると思います」。

なかでも、デスメタルバンド「魂ズ」のボーカルとして、七瀬が「一度死んでくれ~!」とシャウトし、激しくヘッドバンギングをするライブシーンの破壊力がハンパない。

広瀬は「初めて、魂ズのメンバーの方たちが演奏している動画を見せてもらった時、『ここまでやっていいやつか!』と思いました。だから、ヘッドバンギングも、やっている時は『勢いでいっちゃえ!』という思考になりましたが、次の日は首がヤバかったです」と振り切って演じたことを述懐。

父の急死にショックを受ける七瀬
[c]2020 松竹 フジテレビジョン

「ここまで毒を吐きながら演じる役は初めてだったので、すごく気持ち良かったです。自分の中に溜まっていたものがぶわーっと出ていくような感覚がありました」と、ある種のデトックス的な効果も感じたそうだ。

ゴーストのような松岡役を演じた吉沢は、舞台挨拶で「個人的には存在感があるキラキラした男より、皆から無視されるような雑魚キャラのほうが性に合っている」と公言していた。「やっぱりキラキラ系の二枚目キャラは、1回エンジンをブーンとかけてから演じる感じで、めちゃくちゃエネルギーを使うんです。僕自身は本来めちゃくちゃ根暗なので、松岡みたいな役のほうが、なんのストレスもなく演じられます」。

吉沢が「僕は普段からああいう感じなので」と言うと、広瀬も「本当です。最初は人見しりなのかなと思っていたんですが、別にそういう感じでもなくて。私的には、なんだか居心地がいい人だな、という印象でした」と吉沢の意外な一面を明かした。

「再共演の相手に、自分の成長を感じてもらえたとしたら、素直にうれしいです」(広瀬)

【写真を見る】満面の笑みで見つめ合う広瀬すずと吉沢亮<写真12点>
撮影/河内彩

劇中で2人との共演シーンが多かったのが、野畑計役の堤真一だ。広瀬は、堤のコミカルな演技を「すごかったです」と絶賛する。

「堤さんは、急なハプニングが起きたとしても、すべてお芝居で拾ってくれるという安心感がありました。声のトーン1つにしてもここだというところを全部狙ってくるので、思わず笑っちゃう。リリー(・フランキー)さんとのシーンも、小さい声でしゃべっているので、日常みたいな感覚が出ていておもしろかったです」。

リリーが演じたのは、計と交流するあの世への案内人、火野役で、七瀬にはその姿が見えても、松岡には見えないのだ。吉沢も堤について「安定感がすごいので、出てきただけで笑えます。堤さんならなにをどんなふうに言っても正解な気がしちゃう」と感心しきりだ。「リリーさんと堤さんとの共演シーンでは、2人の声が聞こえないという設定だから、松岡としては本来無視をしなきゃいけないのに、おもしろすぎて笑っちゃう。そこを堪えるのがけっこう大変でした」。

広瀬は、今回初めてコメディを演じてみて、その奥深さも実感したそうだ。「こうやったらきっとおもしろいと思っても、笑いを求めすぎるとできなくなるし、私はゲラだから、相手のリアクションに対して『そう来たか!』とすぐに笑っちゃう。また、コメディ特有のリズム感も必要だから、頭が良くないとできないのかなとも思いました」。

吉沢も「演じていて楽しいけど、実は技術的なものを一番求められるのがコメディ」だと捉えている。「感情だけでどうこうできるわけでもないし、かといって笑わせようとしてやるとスベってしまうので、そのへんのバランスが難しい。どうしてもふざけたくなってしまいますが、キャラクターとしては真面目にやっているのにそれがおもしろいというのが一番の理想です」。

いずれにしても、映画を観たかぎり、2人は要所要所できちんと笑いを取っているし、コメディを全面に押しだした本作で、親子愛のドラマやラブストーリーのパートもきちんと担っている。

短いスパンでがっつりと再共演した2人だが、お互いの成長などは、感じ合っているのだろうか。広瀬は「どうなんだろう」と少し照れながら考え込む。

『一度死んでみた』は公開中
[c]2020 松竹 フジテレビジョン

「例えば、リリーさんは、『海街diary』から5作くらい共演作が続きましたが、また『なつぞら』で共演した時、すごく恥ずかしかったです。もしも、自分に対してなにか成長みたいなものを感じてもらえているとしたら、素直にうれしいですが、それを伝え合うシチュエーションがないので、あまり考えたことがないです。吉沢くんは、1年くらいずっと現場で一緒だったので、いるのがだんだん当たり前になっていきました」。

吉沢も「やっぱり何回も共演している人とまた一緒にやるのは恥ずかしいです」と微笑む。「その人との関係性にもよると思います。例えば、僕もプライベートでいるほうが長い共演者もいますが、そういう人ともう1回お芝居をするとなると、最初はなんとなく笑っちゃうこともあります。ただ、やっぱり再度共演する方からは、『以前よりも成長してるな』と思われたらうれしいですし、そう思われたいです」。広瀬も「私もそう思われたいです」と大きくうなずき、2人で笑い合った。

広瀬は、『三度目の殺人』(17)で第41回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞をしているが、吉沢も今年、『キングダム』(19)で第43回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞した。今後も高みを目指していく2人だからこそ、またの再共演で、きっとお互いの成長を感じ合うに違いない。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

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