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3ピース・ピアノバンド、WEAVERの ドラム・河邉徹の著書『流星コーリング』が、「広島本大賞」の小説部門で大賞受賞

  • 2020.3.21
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 3ピース・ピアノバンド、WEAVERの ドラム・河邉徹の著書『流星コーリング』が、「広島本大賞」の小説部門で大賞受賞
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【写真を見る】表紙とジャケットがリンク!小説と同名のアルバムをリリース

昨年3月に刊行された3ピース・ピアノバンド、WEAVERのドラム・河邉徹の著書『流星コーリング』が、今年3月21日、「広島本大賞」の小説部門で大賞を受賞した。

今年で10回目を迎える「広島本大賞」は、広島県の書店員とタウン誌出版4社が広島にゆかりのある作者や作品の本を選出し、 全国に発信していく賞で、これまでにも大崎善生氏の『聖の青春』、小山田浩子氏の『工場』、森見登美彦氏の『夜行』などが大賞を受賞している。

ノミネートされただけで嬉しかったし、大賞を受賞するとは全く思っていなかった

『流星コーリング』は実際にALEというベンチャー企業により2020年に流される事が予定されているという〝人工流れ星〟をテーマに広島を舞台にして織り成されるSF青春小説だ。

河邉氏としては小説家として2作目になる小説で、あさのあつこ氏の『アスリーツ』や長崎尚志氏の『風はずっと吹いている』を筆頭に11作品がノミネートされる中、大賞を受賞できるとは夢にも思わなかったという。

「まさか大賞をいただくとは思ってもいなかったですね。もちろん、広島の景色を思い浮かべながら書いて、広島の方々にリアリティをもって読んでもらえたら嬉しいな、とは思っていましたけど、まさか、自分が書いたものをこういう風にスポットライトを浴びせていただけるっていうこと自体が、そこまで想像できてなかったですね」

そう語る河邉氏だが、実際に昨年、「広島本大賞」にノミネートされた時、大賞は意識しなかったのだろうか。

「数ある小説の中からノミネートしていただいたことがまずとにかく嬉しかったですし、もちろん、『広島本大賞』に選ばれたらすごく嬉しいなとは思いましが、そんな事はまさかないだろう、と思っていたので、ノミネートされただけで十分でしたね」

小説を書くにあたって何度も広島に足を運んだという
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広島は物語が生まれる景色、インスピレーションが詰まってる街

広島の書店員の方々からも、この小説に描かれている広島のリアリティに心を動かされたという話を聞いた。河邉氏本人はもともと広島になじみがあったのだろうか。

「いろいろな方に、神戸出身の僕が広島弁で物語を書いているっていうのが、まず〝どうしてですか?〟と訊かれるんですね。もともと、この作品は瀬戸内で人工流れ星が2020年に流されるというニュースを見たのが発想のきっかけなんです。それから何度も広島に足を運んで取材をしたのですが、行く度に、やっぱり広島には物語が生まれる景色、すごくインスピレーションが詰まってる街なんじゃないかな、と思うようになったんですね。だからその風景が見えるように丁寧に描いたつもりです。広島弁も東京に住んでいる広島弁の方を紹介してもらって、とにかく仲良くなって話すということをして。でも、面白いのが、広島弁って言葉で聞くのと文字にしたときの印象って結構違ったりするんです。そこで登場人物の中にも、広島に住んでるけどそれほど広島弁じゃない子がいたりとか、もっと広島弁が強い子がいたりしたほうがよいんじゃないかな、と思って。そういう違いが、文章の上ではあったほうがみんなも読みやすかったりするのではないかな、というような工夫をしたりしつつ、その文章をその広島の友達に読んでもらって、これ変かな?とか相談しながら小説は書いていきました」

【写真を見る】表紙とジャケットがリンク!小説と同名のアルバムをリリース
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小説と音楽を融合させるというバンドとしての新しい試み

今回、この小説『流星コーリング』では、同名のアルバムを同時にリリースするというミュージシャンならではの新しい試みをしている。

「前作『夢工場ラムレス』で小説家デビューして、正直その時は自分のバンド活動と交えてどうこうしていこうとは考えていなかったんです。でも、事務所のマネージャーや周りからバンドに小説家がいるのはなかなかないことだから、小説を元に音楽を作ったら今までにない音楽作れるんじゃないの?って提案があって。最初は、そんなことできるのかなぁ?って思ってたんですけど、でも確かに物語を元にして音楽作るっていうのは、WEAVERのメンバーとしてずっと歌詞を書いてきているので、確かに僕が書いた小説を元にして音楽を作ったらまた面白いものをみんなに聞いてもらえるんじゃないかな?っていう風に思ったんです。

そこでメンバーに、この『流星コーリング』のプロットをメンバーに見せたところ、これを元に音楽作れそうって言ってくれたんですよ。

僕がこの小説を書いていきながらメンバーはそのプロットを元に音楽を作って、音楽が出来たらみんなで聞いて、これいいね、とか、これこのシーンに使えそうだね、とか話をして作品を作っていきました。で、なかなか、同タイトルの小説とアルバムがあるっていう作品ってないと思うんですけども、面白いのが、例えば音楽を先に聞いて、次に小説を読んでから音楽をもう一度聞くと、1回目に聞いた時とは全然違う景色が広がっているという、不思議な、これまでにない体験をした、とファンの方に言われたんですよね。それを聞いて、これはただの読書とかではない新しい体験をみなさんにしてもらえる、そういう作品になったんじゃないかなと思いましたね」

今、新しい作品を執筆中だという
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物語を通じて一番伝えたかったことは悲しみと喜びがあって世界は輝くということ

最後に、この小説を通して一番、河邉氏が伝えたかったことを語ってもらった。

「物語の中で僕が伝えたかったことは、人生は楽しい事だけではなくて、辛いことや悲しいことがたくさんあるけれど、きっとそれはブランコのように悲しみとかだけじゃなくて喜びのほうにも振れる瞬間というのは必ずあって、その2つがあるからこそ人生は美しく輝くものだ……、そういうふうに僕は思っているんです。だから、この小説を通して、そんな気持ちを感じてもらえたら嬉しいですし、やはり、広島の景色に魅了されてこの小説を書いたので、僕自身は広島出身ではないですけども、広島の方々にも広島の景色を外部から見て、こんなふうに思ったんだっていうことも、ぜひ感じてもらえたらうれしいなと思いますね」

河邉氏はすでに次の作品を書き始めているという。どんな物語になるのか今から楽しみだ。

河邉 徹(かわべ・ とおる)

1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。3ピースピアノバンド・WEAVERのドラマーとして、杉本雄治(ボーカル・ピアノ)、奥野翔太(ベース)と2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。2018年、『夢工場ラムレス』で小説家デビュー。最新作は『流星コーリング』(ザテレビジョン)

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