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無観客でも役者のために「僕らはやるぞ!」<舞台版 誰ガ為のアルケミスト>

  • 2020.3.15
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3月13日、無観客公演で開幕した「舞台版 誰ガ為のアルケミスト ~聖ガ剣、十ノ戒~」
KADOKAWA

【写真を見る】さまざまな武器を振るう圧巻のアクション。女性キャストのセクシーな衣装にも目を奪われる

「舞台版 誰ガ為のアルケミスト ~聖ガ剣、十ノ戒~」が3月13日より東京・新宿FACEにて、無観客公演、電子チケット制の生配信を開始した。

本来であれば満席になるはずだった大事な初日公演。演出家、スタッフ陣、わずかな関係者だけに見守られる中、役者たちは板に立ち、魂を込めて“本番”を披露した。

公演後、インタビューに応じたプロデューサー・総合演出の今泉潤は、「今日本から多くの時間が失われている。ネガティブな空気に覆われているが、だからこそ『僕らはやるぞ』というメッセージになれればいい」と、その胸中を語った。

観客のいない会場。それでも役者たちは“生の舞台”を見てもらうために、全日程の配信実施を決めた
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稽古を積んできた役者たちを舞台に立たせてあげたい

通称“ダガタメ”で知られる「誰ガ為のアルケミスト」は、1000万ダウンロードを突破し、2019年には映画化もされた人気RPG。舞台は2019年6月に初演、9月に再演され、新作となる第2部の今回にも多くのファンが期待を寄せていた。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月10日に全公演の中止を決定。代わって「ニコニコ生放送」で電子チケット制生配信を行うことがアナウンスされた。

これについて今泉は、「政府の要請によるイベント自粛。僕らもどうするかを迷っていたが、やるのかやらないのか、不安を抱えさせながら役者たちに稽古を続けさせるのは不健全だと考えました。役者たちが稽古を積んできた期間を無駄にせず、しっかり舞台に立たせてあげたいという気持ちが大きいです」と、真意を明かす。

「舞台は1公演1公演、生まれるものが違う。そのためには全日公演が必要だ」と、今泉潤は話す
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全15回の公演が予定されていたが、変更措置に伴い、全9公演での開催に。配信であれば一度収録し、それを流し続けるというやり方もあるが、今泉は「全日公演でやらないと、通し稽古一回と同じ気分になってしまうかもしれない。役者たちに“毎日舞台に立つ”ということを保証して、意識させての毎回の生配信です。やっぱり本番は稽古の雰囲気とは違う。ここにお客さんは存在していないけど、気持ちの持っていき方、気持ちを込めた芝居をすることで生まれるもの、磨かれるものがあるんです」と話す。

「役者たちは嫌がると思ったんですよ。目の前の客を沸かせ、そこに自分たちの存在を証明するというのが、舞台に立つ役者の心ですから。けれど、話してみたら意外と乗ってくれて。しっかり舞台を作り上げてくれた役者、スタッフたちに感謝しています」(今泉)

イベント自粛要請を受け、現在も多くの舞台が中止・延期を余儀なくされている。政府は3月11日に、あと10日間程度のイベント自粛を求めたが、実際にそこで自粛期間が解けるのかは不透明な状況にある。アーティストの音楽ライブでは同様の配信方式が増えており、演劇界においても本作が一つのきっかけになるかもしれない。

「大それた使命ではないですが、『僕らはやるぞ』というメッセージになっていけばいいと思います。配信でも変わらず伝えられると信じていますし、舞台に興味がなかった方に届けられる機会になるかもしれない。ポジティブというと少し違うかもしれませんが、試練に対して前向きな考えを持ちたいですね」(今泉)

配信になったからこそ、舞台を見たことがない方々に

「聖石の追憶」の続編となる今回は、原作エピソード「獅子王の進撃編」を舞台版として新解釈、再構成し、「不惑の双刀編」「不憎の呪術編」という展開の異なる2種の公演(2ルート)を回替わりで披露している。

“絶対正義”を掲げるバベル大陸の宗主国・ノーザンブライド。“ロードマスター”が率いるその聖教騎士団と、“獅子王”オライオンが率いる侵略国・グリードダイクの激突を描いた物語。役者たちの熱演がキャラクター性を際立たせ、舞台版“ダガタメ”の世界を見せてくれる。

「役者には脚本から感じたことを出し、キャラに寄せなくていいと言っています。そのほうが絶対魅力的になるし、それが舞台のいいところだと思います」(今泉潤)
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「人間のドラマに迫るような、心をえぐられるようなセリフ回し。今回はそういうところに力を入れています。そして、殺陣はいつも通り頑張っています! 見たことがない人はびっくりすると思いますよ。どちらのルートもすごいので、ぜひ両公演見てほしいですね」(今泉)

その言葉通り、全編通して披露される殺陣は圧巻だ。巨大戦斧、槍、双刀などさまざまな武器での剣戟(けんげき)が繰り広げられ、原作衣装に身を包んでのアクションは迫力があり、かつスタイリッシュ。男性キャスト陣の2.5次元ならではの格好良さ、女性キャスト陣のセクシーなスタイルにも目を奪われるところだろう。

魔槍を振るう聖教騎士団・クダンシュタイン(橘龍丸)。“絶対正義”を掲げる主人公だが、その心には闇を抱えている
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物語は主演である聖教騎士団・クダンシュタイン(橘龍丸)のある行動によって結末を迎えるが、エピソードはさらに続いていく。

カーテンコールでは、橘が「このような形になりましたが、皆さまの前で思いっきりお芝居ができる。われわれとしてはこれほどありがたいことはありません」と感謝を込めてあいさつ。

「カンパニー一丸となって皆さまにすてきな舞台をお届けできるように頑張ります。今回こうした配信という形になりましたので、周りに舞台をあまり見たことがないというお友達、ご家族がいましたら、一緒に見て、楽しく鑑賞していただけたら幸いです」とメッセージを送り、初日公演の幕を閉じた。

「舞台版 誰ガ為のアルケミスト ~聖ガ剣、十ノ戒~」は3月22日(日)まで、全9公演(「不惑の双刀編」5公演/「不憎の呪術編」4公演)を上演。公演は「ニコニコ生放送」にて電子チケット制で生配信される。(ザテレビジョン・取材・文:鈴木康道)

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