1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 親友や姉妹と子育て!プラトニックパートナーとの育児体験談

親友や姉妹と子育て!プラトニックパートナーとの育児体験談

  • 2020.3.12
  • 521 views

「子どもは欲しいけど、結婚したい相手が見つからない!」「マッチングアプリを使っても合コンに行っても、なかなか運命の男性に出会えない」--そんな悩みを抱える独身女性は、日本だけでなく世界中にいる様子。「結婚したくないけど、子どもは欲しい」と考えている人は、友人や兄妹との共同子育てを視野に入れてみてもいいかも。

ワシントンD.C.を拠点に活動し、多様な家族の形を推進する団体「ファミリー・ストーリー」が2017年に行った調査では、シングルマザーの58%が恋人や夫ではない、プラトニックな関係の相手と子どもを育てる選択肢も「あり」と考えているとの結果が。

実際にアメリカやカナダでは、異性愛者の女友だち同士、あるいは姉妹で一緒に子どもを養育するという新たな家族形態が広まりつつあるのだとか。

そこで、実際に新たな家族像を探し求めて、家庭を築き上げている女性たちのエピソードを<マリ・クレール>から紹介。固定概念にとらわれない画期的な「家族」とはいえ、どの家庭もごく自然な絆で結ばれているよう。

セーラ&ケイ(カナダ在住の友人同士)

セーラとケイは大学時代にルームメイトとして出会い、以来15年間ずっと親友として一緒に暮らしてきた仲。保育所を運営するセーラと、ヘルスケア業界で働くケイは、30代に突入し、困っている人に手を差し伸べたいという思いに駆られ、一緒に里子(親権者は実親)を受け入れることに。

1人目の里子は、生後4日でふたりのもとに来た女の子。数年後、その子の異父弟も里親を必要としていることがわかり、この男の子も受け入れることに。次第に、子どもたちは彼女たちにとってかけがえのない存在になり、養子縁組に踏み切ろうと決心。そして2018年、カナダの裁判所で初めて「プラトニック・パートナー」として養親となる権利を獲得

夫婦関係においては、「ロマンチック・ラブ」が大前提として語られることは多いけれど、子育てとロマンチック・ラブは必ずしも相性がいいわけではなく、むしろ複数の研究で「夫婦間のロマンチックな関係性は、子どもが産まれたあとにほぼ例外なく後退する」と判明…。

子育ては、それがたとえプラトニック・パートナーとだとしても決して楽ではないものの、「感情面ではよりシンプルかもしれない」という意見が。

もともとの関係性がロマンチックなものでなければ、育児で睡眠時間が削られる中、“愛情を再燃させる努力”をする必要もない、というのがその理由。「周りの親たちは子どものせいで夫婦の時間が減ったと言うけれど、私たちにはもともとそんな時間はなかったので」と語るケイ。

家族形態としては目新しく映るものの、実態は従来の子持ち世帯とあまり変わらない様子。セーラが家で子どもたちの面倒を見る間、ケイはフルタイムで働いているとのこと。皿洗いはケイ、芝刈りはセーラ、そして子どもがまだ乳児だった頃は寝かしつけも分担。

「30年前だったら“母親と父親”でしか子育ては語られなかったけど、もはや、そんな型にはまった見方はできないわ。子どもを育てる方法は、数え切れないほどあるもの」

トレイシー&シェリー(テキサス州在住の姉妹)

高校の副校長を務める39歳のトレイシーと、公共事業系の会社でシニアマネージャーを務める37歳のシェリーは実の姉妹。二人は、2016年の「National Adoption Day(養子縁組の日)」に6人の養子を迎え入れたのだそう!

当初、トレイシーは自分だけで養子をひとり受け入れようと考えていたのだとか。ところが、親のいない兄弟(当時、一番下の子は3ヵ月、一番上の子は5歳)がいると知り、妹を巻き込んで一緒に育てることに。

養子縁組の法律は州によって異なり、プラトニック・パートナーを養親として認める州は少ないそう。はじめは6人の子どもを一緒に受け入れるのではなく、それぞれが3人ずつ受け入れるよう言われたとのこと。しかし納得できず、裁判所に共同親権を申し立てたところ、見事に6人の共同親権を獲得したのだとか。

同じ家庭で育てられた姉妹だからこその強みも。「私たちは倫理観、宗教、家族に対する期待も同じだから」と話すトレイシー。また、

「愛情が冷める心配はないわ。だって、私たちが互いに感じるのは、子どもたちがいることでさらに膨れ上がるような家族愛だから」

幼い頃からずっと一緒だったからこそ強い絆があるのだとか。

マウリーン&クリスティーナ(メリーランド州在住のシングルマザー同士)

どんな関係にもトラブルはつきものだし、ときにはその関係性が崩れることも。

マウリーンとクリスティーナは4年前に出会ってからすぐに親友に。ふたりともシングルマザーで、働く業界も同じ。マウリーンは元夫と、9歳と5歳の息子たちの共同親権を持ち、クリスティーナはずっと未婚のまま8歳になる子どもを育ててきたそう。

そのうち、週に3~4日はどちらかの家で夕食を一緒に食べるように。どちらかひとりが出張の時は、もうひとりが子どもたちの面倒を見る関係を続けるうちに「自然にお互いに頼るようになったの」とマウリーン。

2018年には家まで購入して共同生活がスタート。家族のことを「ビッグ・ファイブ」、家のことは「ママ」と「コミューン」を組み合わせて「マミューン」と呼び、ブログまで立ち上げ。子どもの寝かしつけや、学校への送り迎え、料理や庭の手入れも分担。クリスティーナは当時、「全米一おかしな家族かもしれないけど、うまくいっている」とコメント。

ところが、マウリーンから別れを切り出され、共同生活は1年弱で解消。金銭上の問題を解決するため、調停を行うことに。

クリスティーナはこの「破局」について、いまだに驚き混乱していて、「家を購入したことで友情にひびが入った」と説明。さらに「ロマンチックな関係性のカップルが子育てや家庭を築く負担に苦しめられるのと同じように、私たちも苦しんでいると思う」と心の内を告白。

ナターシャ&リンダ(カナダ・オタワ在住のシングルマザーとその友人)

ナターシャとリンダは、カナダの「オタワ大学」で法律を教えていた同僚同士。ナターシャが30代半ばで未婚のまま子どもを産むと決めると、リンダは迷わず出産に立ち会うことに。緊急帝王切開で生まれたイラーンを一目見た瞬間から、リンダの世界観はたちまち変わったそう。

しばらくして、脳性麻痺と診断されたイラーン。リンダはふたりをサポートするため、ほぼ毎日自宅とナターシャの家を往復。そのうち、ナターシャが住むマンションの隣にあるマンションに引っ越し、さらに1年後にはナターシャが住む部屋の上の階の部屋に引っ越したのだとか。

「いいとこどりよ。だって、ひとりになりたければ自分だけの空間もあるけど、家族と一緒の家に住んでいるみたいだもの。“1階と2階”って私たちは呼んでるわ」と言うナターシャ。

毎晩一緒に夕食を食べ、一緒にイラーンの面倒を見て、何年も家族のように過ごした後、リンダはついに息子の養親になる権利を獲得! カナダでは、実母とは婚姻関係にないパートナーとして初めての判例。2017年には、ふたりの名前を掲載した新しい出生届を取得できたそう。

気になるのが「共同親のうちどちらかに恋人ができたらどうするの?」という疑問。リンダは仮にそうなった場合でも、今の家族を中心に据えたいと考えているそう。

「たまに家に来て、夕食を一緒に食べたり泊まったりする人がいてもいいと思うわ。でも、この家族の一員になるってことを理解してくれる相手じゃないとね」

ここ数十年で、欧米では「家族」とはLGBTQのカップルや共同親権を持つ離婚した男女、長年の友人同士など、「互いに寄り添い、互いの面倒を見る人の集まり」であるという概念が徐々に受け入れられるように。

「ファミリー・ストーリー」の創業者兼取締役のニコール・サスナー・ロジャーズ氏は、「結婚している両親に育てられることが、それに当てはまらない形の家庭で成長するよりも優れているという根拠はない」と主張。

家族形態としては型破りかもしれないけれど、「女性による子育てを他の女性が助ける」というのは、いつの時代にもあった普遍的な慣習。今回紹介した女性たちは、子どもたちにとっての母親であり、子育てをするお互いにとっては人生をともに歩み、幾多もの決断をともに下し、「家庭」を築く仲間。その関係はまさに「家族」と呼べるはず!

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)

MARIE CLAIRE

元記事で読む
の記事をもっとみる