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【GLAMなオトコ】Vol.29「すべての女性は美しい!」世界で活躍するメイクアップアーティスト吉川康雄が、いま女性たちに伝えたいこと

  • 2020.3.12
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今では主流となった“ツヤ肌メイク”をいち早く提唱し、美容界にセンセーションを巻き起こしたメイクアップアーティストの吉川康雄氏。NYを拠点に世界中で活躍し、2015年には初の著書『生まれつき美人に見せる』(ダイヤモンド社)を刊行。“コンプレックスを隠すためのメイクではなく、一人一人の魅力を引き出すメイクを”というメッセージが多くの女性の共感を集め、話題となりました。

2019年には、コスメブランド「CHICCA(キッカ)」のブランドクリエイターを惜しまれつつも退任(その後ブランドは終了)。今後の動向が注目されるなか、自ら撮影や取材を手がけるウェブサイト「unmixlove」を立ち上げ、活動の幅を広げています。そんな吉川さんに、サイトを始めたきっかけや、キレイになるためのヒントを教えていただきました。

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Q. unmixloveを立ち上げたきっかけは? サイト名に込めた思いも聞かせてください。

美容は人生を楽しくするものであり、女性たちを支えるもののはずなのに、色々な情報や間違った思い込みで、美容に傷つけられている女性が多いと感じていました。そんな女性たちに、自分のことを好きになってほしい、「自分を大切にしようよ」というメッセージを届けたくて立ち上げたのが、unmix=混じり気のない、love=愛、つまり“混じり気のない愛”という意味の「unmixloveです」。本当の意味でのピュアな愛は、自分に対して向けられるものだと思うから、この名前をつけました。コンテンツの中心は、さまざまな国の女性たちのインタビューですが、それは人それぞれ色々な考えを持っていて、100人いれば100通りの自分の愛し方があることを提示したかったから。多様な生き方を通じて、「自分のことぐらいは自分が大切にしなくちゃ」という気づきを与えられたらいいなと思ったんです。

Q. このサイトでは、メイクアップアーティストである吉川さんが、ご自身で撮影やインタビューを手がけていますね?

自分の考えを形にするために、自然と全部を自分でやるようになったという感じです。写真も、具体的なイメージが見えているならプロに頼む必要もないし、自分でシャッターを押せばいい。こういうジャンルの広がりはすごく好きで、これからも広げていきたいですね。昔はメイクで世界一になりたいと思っていたけれど、今はそれに対する執着もないし、競争する意味も感じない。そういうことへの興味はなくなったかな。

Q. ご自身のメイク哲学を教えてください。

「その人の美しさを生かす」に尽きます。雑誌などでテーマに合わせたメイクをする場合も、その日求められるデザインを、ただモデルさんの顔に乗せるのではなく、相手の顔と雰囲気の両方から“この人のここが面白い!”というポイントを見つけて、その人らしさが感じられるメイクをするように心がけています。撮影では毎日のように違うモデルに会いますが、その人の顔を一生懸命わかろうとするうちに、いろんな人の顔が好きになって、おぉ、なるほど!と思ったりね(笑)。

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Q. 「キレイになりたい!」と願う女性にアドバイスするとしたら?

ほかの人の顔になろうとしないことです。誰かに憧れるのは構わないけれど、顔・表情・パーソナリティ、すべて合わせてその人だけのオリジナルなものだから、人のキレイさになろうとしないこと。どんな顔もそれぞれの美しさがあるから、自分のことを研究して魅力を見つけてほしいですね。

Q. では、自分の良さを見つけるには、具体的にどんなことをすればいいですか?

色々な角度から自分の顔を見るのも方法のひとつ。なぜなら周りから見るあなたの顔は、正面だけではないですよね? 人生のほとんどは、自分が知らない顔で生きていると言ってもいいほど。だからこそ、周りの人の目線になって横向きや斜めの顔をチェックすると、何か発見があると思います。それから、自分の顔と少し似ていて、可愛いと言われている人たちがしていることを観察するのも勉強になるはず。

Q. 若さを礼賛しがちな日本では、年齢を重ねるごとに自信を失ってしまう女性も多いと思います。

僕は20代でも40代でも60代でも、すべての世代の人たちにピュアな美しさがあると考えているんです。つい「私はもうおばちゃんだから」と言いがちだけれど、そういうのは自分をみじめにするだけだから止めようよと言いたい。どの世代であっても女性は美しいものだし、それぞれの世代で自分の美しさを感じて生きてほしいと思います。あとは、私なんて……と自分を卑下する思考パターンには入らないように。仮に入ったとしても、「あ、いま自分入ったな」と意識するだけでも違います。一生自分に対して文句を言い続けて生きるのと、「自分って心地いいな」と思って生きるのとでは、人生の充実度に雲泥の差がありますよね。“自分のことを美しいと思った瞬間に人は美しくなる”、これは断言できます。

Q. 情報があふれすぎて、かえって似合うメイクがわからない女性もいます。そんな時にやるべきことは何でしょうか?

眉を描いただけとか、リップやチークをつけただけとか、ほとんど素顔の延長線上のような、もしくは完全に素顔でもいいので、限りなく自分らしい超ナチュラルメイクを確立させること。それをベースに、今日は真っ赤な口紅をつけようとか、アイラインを引こうかなとか、その時々に応じてプラスすればいいと思います。それから、肌の美しさはすごく印象に残るものなので、肌トラブルの有無にかかわらず、肌本来のツヤを感じるような、自然な肌感をつくることも意識してみてください。

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Q. 昨年CHICCAのブランドクリエイターを退任され、今後の活動が注目されています。

2019年はCHICCAのブランドクリエイターを退任して、「unmixlove」を立ち上げて……、怒涛の一年した。今は新しい未来に向けて、自分が出来ることを頑張っているところです。5月には、美容ライターの長田杏奈さん、写真家の前 康輔さんとの共著で、さまざまな年代の一般女性を取材した新刊本『生きているだけで美しい。3人のロマンチストからのラブレター』(大和書房社)が出るので、手にとっていただけたらうれしいです。

Q. 吉川さんにとっての“GLAM(魅力的・幸せ)”を感じる瞬間とは?

最近はやらなくてはいけないことが多くて、実は人生の中でもっとも厳しい時期かもしれないと感じるほどなのですが……そんな中、たくさんの方々が励ましてくれて、そういうメッセージを受け取ると、ありがたいし、幸せを感じます。僕は「すべての女性が美しい」というメッセージを通じて世の中の女性が心地よく人生を生きていってくれたらいいなと思って活動していますが、同時に、僕と同じように思う人たちのエネルギーも強く感じていて。メッセージを出し続けて美容のあり方を変えるのはとてつもなく大変だけれど、そうした周囲の声が、今の自分を奮い立たせてくれます。


【プロフィール】
吉川康雄/1959年、新潟県生まれ。1983年からメイクアップアーティストとして活動を開始。1995年に渡米し、一流ファッション誌の表紙をはじめ、コレクションや広告、セレブリティのメイクも数多く手がける。2019年には、10年に渡り務めてきたCHICCAのブランドクリエイターを退任。著書に、『生まれつき美人に見せる』(ダイヤモンド社刊)、『いくつになってもキレイになれる』(世界文化社刊)などがあるほか、2020年5月に新刊本の発売を控えている。自らが撮影・取材を手がけるサイト「unmixlove」も話題に。

Photographer/ Masakazu Sugino Writer/ Tomomi Suzuki Editor/ Maki Kunikata

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