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がん保険の一時金(診断給付金)は必要?金額の目安&使い道をFPが解説

  • 2020.3.10
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がん保険の一時金(診断給付金)はがんになったら受け取れる、用途が限定されないまとまった資金です。がん保険の中で一番重要な保障と言っても過言ではありません。

ただ、使い勝手がいい反面、掛金が高いので金額をいくらにするかなどは悩むところでもあります。今回は診断給付金などの一時金の必要性や有効性についてわかりやすく解説していきます。

診断給付金の概要と必要性

がん保険の診断給付金とは、がんと診断されたときに支払われる一時金です。特定の治療目的の給付金と違い、自由に使えるため、入院や通院にかかる費用以外に使うことができます。また、がんのために収入が減った時に生活費の補填に使うこともできます。

生命保険の死亡保険金以外でこのような大きい金額のお金の給付は他にはありません。しかも、死亡保険金と違い、がんになった人が自分のために使えることも魅力です。

診断給付金のメリット
  • がんと診断されただけで、治療が始まる前にお金が受け取れる
  • 使途に縛りがなく、個人個人の事情に合わせて活用することができる
  • 死亡保険金と違い、非課税
がん治療の最近の傾向

「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」はがんの3大治療と呼ばれています。放射線治療は通院による治療が主で、抗がん剤治療も通院による治療が急激に増えています。

さらに、手術についても鏡視下手術など身体へのダメージが少ないものは入院なしで受けられることがあります。

厚生労働省の「患者調査」によると、悪性新生物の平均入院日数は2002年では35.7日ありましたが、2017年には17.1日と15年間で約半分に短期化しています。

診断給付金の必要性

上記の諸事情を踏まえて、がん診断給付金の必要性の有無を考えていきたいと思います。

日本において販売されていた古いがん保険の中で、一時金がなく、入院給付金が主な保障の商品がありました。現在のように外来だけで治療をする場合もあるとしたら、この保険は全く役に立たないことになります。

診断給付金であれば、治療費やそれ以外の経済的リスクを広範囲でカバーすることができます。今日の日本の医療事情において診断給付金は、最も有効かつ必要性があると言えるでしょう。

がん治療の平均的な費用と診断給付金の目安

がんの治療費はどのくらい?
がんにかかるお金にどんなものがあるか
  • 血液検査やレントゲンなどの検査費用
  • 外来での診察費
  • 手術費用
  • 薬代
  • 入院費用
  • 通院のための交通費
  • 診断書代
  • 入院時の日用品などの雑費
  • 差額ベッド代
  • 食事代
実際のところ、いくらくらいかかる?

がん政策情報センターによる「がん患者意識調査2010年」のデータによると、がん治療において1年間で実際に負担した費用で最も回答が多かったのは100万円~150万円でした。この結果から、がんの治療費はそれほど莫大なものになる可能性は低いことがわかります。

目安になる診断給付金の額は?

診断給付金は多いに越したことはありませんが、掛金を無限に負担できるわけでもありません。おおよその費用から「がんになったときに、とりあえず100万円受け取れればかなりの助けになる」と筆者は考えます。

治療が始まる前に100万円を受け取っておければ、がんになった精神的ショックも少し落ち着くでしょう。ただし、診断給付金の用途は治療費だけではありません。「がん保険に何を求めるか」で金額は変わってくるはずです。

がんを取り巻く諸事情と診断給付金の使い道

とはいえ、やはり使い勝手のいい一時金はなるべく多く受け取りたいものです。なぜなら、治療費以外にがんについては考えておくべきお金のことがあるからです。

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治療費だけではない、一時金の使い道

一般的なイメージではがん保険の給付金は入院費やその他の治療費が目的と考えられているようです。しかし、診断給付金の使い方にはそのような縛りはありません。

場合によっては自由診療を受ける可能性も

筆者の知人でがんになり、抗がん剤の投与で副作用が出たため、抗がん剤専門の医師のいる県外の病院へ転院した人がいました。その場合、交通費以外にそれまで外来で受けていた治療を入院で受けるなど、自己負担もかなり大きくなりました。

さらに、抗がん剤で自由診療の薬を使っていましたので、かなり高額な費用だったと考えられます。けれども、がんにかかって「治りたい、元気になりたい」との思いから、高額な療法を選択するケースも十分考えられます。

そんな場合、診断給付金に余裕があればそのような療法を選択することができます。

今、注目の「免疫療法」とは?

免疫療法とは人間の身体に備わっているがん細胞等の異物を取り除く免疫機能を利用した、がんの治療法です。免疫療法には様々な種類があり、研究開発が進められています。

今、注目されている「オプジーボ」は免疫療法で使われる薬剤です。オプジーボは非常に高価(年間1000万円以上)なことで知られていますが、一部のがんについては健康保険が適用されるようになりました。それ以外については保険適用外の自由診療になります。

仮にオプジーボを投与する場合、診断給付金だけでは費用はまかないきれませんが、薬代の一部に充てることはできそうです。ちなみに商品によっては診断給付金の最高額が1000万円くらいにできるものもあります。

利用する可能性が高い、高額療養費が使えない場合も考えておく

がんの医療費は高額になる場合が多く、健康保険で自己負担が3割だとしてもまだ大変なケースもあります。そんな場合のために公的健康保険には「高額療養費」という制度があります。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは公的健康保険において、医療機関でかかった医療費の自己負担額が1カ月で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。がんの治療をする場合、利用する可能性が非常に高い制度です。

高額療養費制度の例

70歳未満で、標準報酬月額が28万円以上~50万円未満の方に100万円の医療費がかかった場合を例にあげます。健康保険の自己負担額は3割の30万円です。このケースは高額療養費の対象で、自己負担限度額は8万7430円になります。高額療養費の支給額は21万2570円となります。

月をまたぐと対象にならない場合もある

高額療養費の判断の基準は暦月の1ヶ月単位です。例えば自己負担額が15万円だったとします。同一の月であれば高額療養費の対象になります。

ところが、例えば前月7.5万円、今月7.5万円の場合だとどちらの月も対象になりません。必ず高額療養費が使えると思っていたら当てが外れた、ということもありうることに注意が必要です。

このような場合にも、がん保険からの診断給付金や治療給付金があると助かります。

治療が長びいた場合、医療費以外の経済的リスクが発生

がんの費用の自己負担分が年間100万円もあったときに保険に入っていなければ、かなり経済的に苦しくなるでしょう。さらに、治療が長びいた場合、高額療養費制度を利用しても自己負担はかさんでいきます。

病気のために働けなくなるリスク

がんになると、高額な医療費負担だけでなく、療養中は働けず収入が途絶える可能性も高くなります。

会社員の場合、健康保険に傷病手当金の制度があるため、休職しても月給の約2/3を1年6ヵ月にわたって受け取ることができます。ありがたい制度ですが、生活費は変わらないのに医療費もかかる状況で、収入が2/3になってしまうのは大変なダメージです。

しかも、自営業者やフリーランスには傷病手当金のような所得を補償する制度もありません。

がんが長びくと収入減への対策も必要になる

例えば、ある世帯の1カ月あたりの生活費が25万円だったとします。仮にがんで1年働けないとしても、その間の生活費は300万円、医療費が100万円かかります。傷病手当金のない自営業者やフリーランスなら、まるまる400万円を自己負担しなければならないというわけです。

男性、女性に限らず世帯の収入の担い手にとって、収入減への対策は不可欠といえるでしょう。そのような場合でも、がん保険の一時金なら収入減をカバーすることもできます。

乳がんで乳房を失ったときの乳房再建

乳がんの手術で乳房を失うと身体のバランスが悪くなって肩が凝ったり、喪失感にさいなまれたりする女性は多いです。乳房を再建することで、これらの問題を解決もしくは軽減することができます。

乳房再建手術の費用は健康保険の適用対象です。自己負担分は片側でおよそ10万円から40万円くらいです。がん保険の中には乳房再建費への保障がある商品もありますが、そのような保障がなくても診断給付金で費用を賄うこともできます。

抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けた場合

抗がん剤の副作用で脱毛した場合、治療が終われば髪の毛は生えてきます。それでも、脱毛中に他人に会う場合など、気持ちが落ち込むことも多々あるでしょう。

そんなときに医療用ウィッグ(かつら)は、自分らしく生きていく助けになります。診断給付金があればかつらを買うこともできます。

保障と掛金のバランスの見極めが、がん保険最大のポイント

以上を踏まえ、がん保険の保障を最適にするにはどうすればいいかを検討します。

  • 診断給付金の受取り回数をチェック
  • 診断給付金を保障のメインに
  • 放射線などの治療給付金も有効
  • 先進医療は必要
  • 保険料払込免除もあったほうがいい
  • 通院給付金はできればほしい
  • 費用対効果の高い保障を組み合わせる

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診断給付金の受取り回数をチェック

診断給付金の支払いが初回限定か複数回無制限かはがん保険選びの最重要ポイントです。現在、売れている商品の中には一時金の支払いが1度だけのものがあります。それに対し、治療が続く限り一時金を毎年受け取れるという商品もあります。

女性に多い乳がんなどは5年生存率が高い反面、再発・転移のリスクも高いため長期にわたる治療を覚悟しなくてはなりません。仮に再発した場合に「もう大きな金額の一時金は支払いません」という保険では役に立ちません。ゆえに、一時金が何回でも支払われることは必須です。

診断給付金を保障のメインに

診断給付金は、がん保険になくてはならない必須の保障です。がんと診断されたらすぐに、自由に使える大きい金額のお金が受け取れるのです。公的医療保険が使えない自由診療だけでなく民間療法にも使えます。また、がんによる収入減のカバーにもなります。

仮にがんにかかって保険の入り直しができなくても、一時金を何回も受け取ることができれば、がんの医療事情の変化にも対応できるでしょう。診断給付金は、自営業者やフリーランスの場合はできれば200万円くらいほしいところですが、掛金が高くなるのがネックです。

放射線などの治療給付金も有効

最近のがん治療は抗がん剤、ホルモン剤、放射線の割合が高くなってきました。これらを外来で行うことが多いため、従来のがん保険の中心だった入院給付金より抗がん剤給付金や放射線治療給付金などのほうが有効です。

そうした治療給付金を付ける場合、長びく治療に対応するため、回数が無制限のものを選びましょう。

先進医療は必要

先進医療は、重粒子線治療などがんに関わるものが多く、費用も数百万円になります。医療保険などに付いていれば十分ですが、基本的には必要な保障です。

掛金も安いため、付けるか付けないかを検討するまでもないでしょう。もし、自分にとって有効な治療なのにお金が払えないために諦めざるを得ない、そんなことにはならないようにしたいものです。

通院給付金はできればほしい

通常、医療保険の通院給付金は「入院後の通院のみ保障」です。これに対し、がん保険の場合、入院後に限らず通院のみで保障される通院給付金も多いです。

このタイプであれば、掛金があまり高くならなければ付けて損はないと思います。抗がん剤や放射線の治療は通院で行われることが多いためです。

保険料払込免除もあったほうがいい

がん保険の払込免除特約は、「診断確定で、以降の保険料の払込を免除する」というもので、上皮内新生物は対象外の場合が多いです。がんにかかったら給付金があるとはいえ、掛金を払い続けることが困難な場合もあるでしょう。

終身払いで、掛金があまり高額でない場合は付けておきたい特約です。

費用対効果の高い保障を組み合わせる

以上、診断給付金を中心にがん保険の有効な保障をご紹介しました。一時金は医療目的だけなら100万円、生活費にも充てたい場合は200万円などと考えていきます。

男性は50代以降、がんにかかる確率と掛金の両方が高くなります。あまり負担感の大きくない掛金で効果的なの保障の組み合わせを検討しましょう。また、がん保険は保険料の安い若いうちに加入したほうが有利です。

がん保険の一時金(診断給付金)についてのまとめ

がん保険の診断給付金は必要不可欠な保障です。がんの医療事情が変わっても自由に使える一時金があれば、がん保険が役に立たなくなることはありません。掛金とのバランスを考えて最適な一時金を設定してください。

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