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五輪の華・マラソンで東京オリンピックに挑む鈴木亜由子と服部勇馬。本番を前にした思いとは

  • 2020.3.4
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東京2020オリンピックのフィナーレを飾るマラソン。誰もが注目するこの花形競技に、愛知県豊橋市出身の鈴木亜由子選手と愛知県田原市を拠点に活動する服部勇馬選手が出場を決めた。期待が集まる両選手に、本番への意気込みを聞いた。

【写真を見る】服部選手のMGCでの走り。「勝負は40km過ぎの上り坂」と見定め、服部選手は努めて集団の中で走るように心掛けた。

MGCではレース中盤から単独2位をキープ。苦しい時に出る「笑顔」が大きな話題を呼んだ ※写真は2019年11月の全日本実業団対抗女子駅伝競走大会のもの
提供:日本郵政株式会社

オリンピックに出たい! その一心で2位を死守

2度目のマラソン挑戦で、見事東京2020の出場権を手にした鈴木亜由子選手。昨年9月15日に行われたマラソングランドチャンピオンシップ(以下MGC)では堂々の2位でゴール。MGCでのレースを鈴木選手はこう振り返る。「ゴールした瞬間は安堵もありましたが、優勝を目指していたので悔しさのほうが大きかったですね。中間点を過ぎたあたりで、“これ以上ペースを上げるのは厳しい”と判断し、どうやって最後までエネルギーを持たせるかという考えにシフトしました。オリンピックに出たいという思いだけで2位を死守できたことには満足していますが、自分自身の課題が明確になったレースでもあります」。

2018年にマラソンの道に飛び込むまではトラック選手として名を馳せた鈴木選手。前回のリオオリンピックには陸上女子5000mに出場した。その後はマラソンに軸足を移し、2つのマラソンを経験した今、どんな手応えを感じているのだろうか。「マラソンは、良くも悪くも練習が直結する競技なので、意図を考えて練習に取り組むようになりました。また、ハードに追い込む時と身体を回復させる時のバランスがより大切になると感じています」。

MGCで結果を出し、3度目のマラソン挑戦の舞台は東京2020に決まった。そんな鈴木選手のもとに、思いがけない知らせがもたらされたのは昨年10月。東京から北海道札幌市への開催地変更。年末にはコースも正式決定したが、世間を騒然とさせたこのニュースも、鈴木選手にはどうやら追い風となりそうだ。「札幌は私にとって初めてマラソンを走った地(2018年の北海道マラソンで優勝)であり、MGC出場権を獲得した縁起のよい場所でもあります。コースが決まったことで本番へのイメージも湧いてきましたし、練習にも一層力が入りますね」。

現在、オリンピックに向けて自分を追い込む毎日だが、第一の課題にしているのは、どんなレースになっても対応できる力を養うこと。また、心肺機能を高めるために高地トレーニングにも励んでいくという。「最初から速いペースで走るなど、実践的な練習を積み重ね、基本的な“器”を大きくしたいですね。それと同時に、世界と戦うという気持ちも高めていきたいです」。

本番での目標は、「MGCでの自分を越えること」だと鈴木選手。「そのためにはもう一段、二段と上にいけるように覚悟を持ってしっかりと練習に取り組み、自分の力を最大限に発揮できるようにしたいです」と、言葉に力を込めた。

【写真を見る】服部選手のMGCでの走り。「勝負は40km過ぎの上り坂」と見定め、服部選手は努めて集団の中で走るように心掛けた。
提供:月刊陸上競技

手に汗握るデッドヒート 「冷静さ」が勝利を呼び込む

一方、鈴木選手と同じ2位フィニッシュでMGCのゴールテープを切った服部勇馬選手。レース終盤に大迫傑選手と繰り広げた白熱のデッドヒートは記憶に新しい。大迫選手を抜き去った瞬間は、「無我夢中で覚えていない」と話す服部選手だが、競り勝った要因は、「100%の力を出せたこと」だと分析する。

「スタートからゴールまで、終始冷静に走れたことが大きいですが、それもレース前のトレーニングが完璧にできていたからこそ。思い描いていた通りの練習ができていたので、レース中は自分自身の力をすべて出し切ることだけを考えていました」。

ずっと目指してきた憧れの舞台へ。それだけに、札幌への開催地変更には、少なからず動揺したという。「どうなるかわからないという期間がしばらく続き、その間は気が気でなかったですね。でも決まってからは、だんだんと、どこでも同じだと思えるようになっていきました。どんな場所でも、持てる力を100%に近い状態で出せる安定感こそが自分の強みなので、それを活かすだけだなと。コースが平坦になったことは、自分のリズムで走れるという意味ではメリット。また周回コースのため、たくさんの応援を受けられるのもプラスだと感じています」。

ただし、東京に比べて涼しく、体力の負担が軽減されると予想されるため、スピードの絶対値を上げることをトレーニングの強化ポイントに挙げた。加えて、課題となってくるのがケガをしないことだ。今年元日に行われた「ニューイヤー駅伝」では、左足太もも裏の故障により本来の走りができなかった服部選手。幸いケガの回復は順調で、今後はアメリカ・ソルトレイクシティや練習拠点である田原市での走り込みを予定している。「とにかく今は、ケガをしないことを大前提に、しっかり練習することに尽きます。レース終盤の苦しい時も、“これだけやったんだから大丈夫”と思える状態で走りたい。本番での目標は、自分の力を最大限に発揮すること。結果は後からついてくるものなので気にせず、自分自身の足元を見て、冷静にレースを進めたいと思っています」。

トヨタ自動車田原工場に勤務の傍ら、練習に励む服部選手。三河湾の風が吹きつける環境が風対策に有効だそう。
KADOKAWA

地元の熱い声援に感謝!走る姿でファンに勇気を

注目の東京2020のマラソンは、鈴木選手が出場する女子が8月8日(土)、服部選手が出場する男子が最終日の8月9日(日)に行われる(共に午前の7時スタート)。愛知県のファンの応援には、「いつも感謝している」と口をそろえる2人。鈴木選手は、「地元の方々はきっと楽しみにしていただいていると思います。オリンピック本番では、皆さんの応援を力にして、自分らしい最高の走りをしたいです。メダルを目指して最善を尽くしますので、熱い声援で背中を押してください」とメッセージを送る。また服部選手は、「日頃から熱い応援をしてもらっていて、すごく感謝しています。僕が走る姿を見せることで、皆さんに少しでも勇気を与えられたり、“力をもらえた”と言ってもらえるような走りができたらと思っています」と意気込みを語ってくれた。

オリンピックマラソン本番まで、残すところ約5か月。爽やかな北の大地を颯爽と駆け抜ける両選手の雄姿に期待したい。

情報提供「aispo!」(東海ウォーカー・福和すみえ)

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