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法人化を検討する個人事業主必見!条件&メリット・デメリットをFPが徹底解説

  • 2020.2.26
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企業が副業を禁止する時代から、副業を認め社員のスキルアップに繋げる時代に移行した昨今、個人事業主から将来的に法人化を検討する人も増えてきました。

そんな中、いつ、どのタイミングで法人化するのが妥当な選択肢なのかというご相談をよくいただくことがあるので、今回は個人でやっている事業を法人化することのメリットや条件などについて詳しく解説したいと思います。

【個人と法人の違い①】法人化のメリットから比較

個人事業主の方の中には漠然と法人化を目標としているケースがありますが、そもそも個人と法人では具体的に何が変わってくるかご存知でしょうか?

節税対策になることは何となく聞いているけど、それ以外のことはあまりよくわかっていないという方のために、それぞれの違いについて簡単に触れていきたいと思います。

法人のメリット1:税金のかかり方が違う

個人と法人で最も違う点、それは税金のかかり方です。個人事業主の場合、事業主とはいえ基本的には個人の所得に対して所得税がかかってくるため、稼げば稼ぐほど税率が上昇していき納税する税金も増えていきます。

対して法人の場合は個人とは別人格となるので、一旦法人で利益を出した上で個人に所得を分配する形となります。

そのため、個人事業主に比べると家族などに所得を分配することで課税される税率を低く抑えられ、最終的に納税する税金を低く抑えることができるのです。

必要費用にできる範囲が異なる

所得税の節税については、売上から差し引くことができる経費の幅が非常に大きな影響をもたらします。個人事業主については、あくまでその事業のために支出した経費に限定されるので、必要経費にできる範囲が狭く所得が高くなる傾向にあります。

法人の場合は、原則として法人の活動におけるすべての支出が経費にできるので、個人事業主の時に比べると必要経費の範囲が増えて節税することが可能です。

法人のメリット2:社会的な信用

法人化というと節税のことばかり考えがちですが、本来法人化する目的は事業規模の拡大にあるはずです。

例えば複数の会社と取引をするような事業の場合、個人事業主よりも法人化することで社会的信用度が高まるため、取引先の拡大につながるというメリットがあります。

特に名の知れている大きな会社については、法人でないと取引の承認が下りないこともあるので、会社を作ることでビジネスチャンスが一気に広がるのです。

ちなみに、法人化には株式会社の他にも合同会社や合資会社などの方法もありますが、個人事業主から法人化を目指すのであれば圧倒的に株式会社にするべきです。

株式会社の社会的な知名度に比べ合同会社や合資会社は知名度が低く、取引先に漠然とした不安感を与えてしまうことが多いので、基本的には株式会社で法人化する方がよいでしょう。

人材の確保

一人で事業をする場合とは違い、従業員を雇用するとなると個人事業主では規模が小さいと思われがちなので良い人材が集まらない可能性があります。

法人化することで世間的に会社として認識されるので、人材募集もしやすくなり確保した人材も定着するようになるのです。

法人のメリット3:任意償却ができる

法人化すると減価償却の取り扱いが個人事業の時と大きく変わります。例えば不動産投資事業をする場合、アパート経営や不動産投資の経費というと真っ先に出てくるのが減価償却費です。

減価償却費とは簡単にいうとものの劣化に対する費用で、アパートの購入金額を法定耐用年数で分割して徐々に経費として計上します。アパート経営の場合、減価償却の対象となるのは建物やその付属設備だけで土地は劣化しないため含まれません。

この減価償却費に関する扱いが、個人事業主と法人とで次のように異なります。

個人事業主の場合

減価償却費については、毎年経費として計上しなければなりません。つまり、経費として計上するかどうかを選ぶことはできず、強制的に計上することになります。

法人化した場合

減価償却費を計上するかどうかの判断は、会社の任意で決められます。仮に利益が出ている年度であれば減価償却費を計上し、反対に赤字が出ている場合は減価償却費を計上しないという選択も可能なのです。

減価償却費事業において非常に大きな経費なので、どのように償却できるのかについては非常に大きなポイントとなります。

法人のメリット4:日当で節税できる

意外と経費で重要になってくるのが交通費です。例えば、地方の人が東京に出張する場合には、新幹線代などの高額な交通費がかかることがあります。この場合についても、個人事業主と法人とで次のような違いがあります。

個人事業主の場合

事業に直接関連する交通費であれば、実費を経費として計上することができます。但し、自分に対して遠方へ出張したことに対する手当、つまり日当を支払っても経費にはできません。

法人化した場合

法人の場合は出張旅費規定などの社内規定を作成することで、日当を支給して経費にすることが可能です。

当該規定に基づく日当であれば経費として計上することができるだけでなく、日当は交通費の実費ではなく出張したことに対する手当なので、実費を超えていてもよほど高額な金額でなければ問題なく経費にできます。

支給した後の日当については、出張旅費規定に基づいていれば給与として扱われません。よって、所得税や住民税についても日当には課税されないというメリットもあります。

このように法人化には大きなメリットがありますが、実はメリットだけではありません。法人化することのデメリットをよく理解していないと、逆に法人化したことで後悔するというケースもあります。

【個人と法人の違い②】法人化のデメリットから比較

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会社の維持費がかかる

法人化というと会社設立の際にかかる初期費用を心配する人が多いのですが、実は初期費用よりも設立後の維持費の負担の方が大きいという点に注意が必要です。

設立費用については一時的な出費なので、事前に準備しておけば対処できますが、ランニングコストについて正しく把握しておかないと、節税効果以上にキャッシュアウトしてしまう可能性も十分ありえます。

では、具体的にどのような維持費がかかるのでしょうか。

社会保険料の金額

法人化すると社会保険に加入しなければならないので、たとえ従業員が自分だけだとしても一定の金額を負担しなければなりません。健康保険料や厚生年金などについては、毎月納付書が送られてくるのでそれなりの負担となります。

金額自体は給与の設定金額にもよりますので一概にはいえませんが、個人事業主の時にはなかった出費なので、予め計算に入れておかないとキャッシュフローがきつくなるため注意が必要です。

給与コスト

法人化することで従業員を雇用すれば、その分給与コストがかかることになります。たとえ従業員が自分だけだとしても、設立当初は何かと出費がかさむので注意が必要です。

特に役員報酬を経費にするためには、金額を設定すると1年間は変更できないので設定金額は慎重に決めましょう。

税理士報酬の目安

個人事業主の時とは違い、法人の決算申告は必要になる書類が多岐にわたるため、経営者自身が自分で経理も兼任して対応することはほぼ不可能になります。

そのためほとんどのケースで、法人設立と顧問税理士との顧問契約はセットになることが多いです。

中には税理士費用を懸念して、自社で経理部を立ち上げてそこで全て処理しようとするケースもありますが、そうなると余計に給与コストがかかるので、規模が小さいうちはできるだけ税理士に会社の会計部門をアウトソーシングすることをおすすめします。

税理士報酬は会社の規模によって異なりますが、最近では記帳代行で月額3万円程度と低価格な税理士法人も増えてきたので法人化を考えている人にとってはありがたいところです。

ただ、税理士報酬で注意しなければならないのは毎月の顧問料よりも決算申告の費用です。決算申告費用は20万円以上が一度にかかるため、規模が小さいうちはキャッシュフローを圧迫します。

法人の場合はたとえ赤字だったとしても、法人住民税の均等割が課税されるので、利益が出ていなくても資本金が1,000万円以下であれば7万円が課税されてしまいます。そのため決算時期のキャッシュが不足しないよう注意しなければなりません。

法人化の条件と方法

法人化のメリットとデメリットがわかったところで、具体的にどのような条件が揃ったら法人化すればよいのでしょうか。

そもそも、事業拡大を目的として法人化するのであれば特にタイミングを考える必要はないので、今すぐにでも法人化したほうがよいでしょう。検討が必要になるのは、節税を目的に法人化する場合です。

先ほども述べた通り、あまり法人化のタイミングが早すぎるとかえって経費がかかりすぎて年収が減ってしまう可能性も十分ありえます。

法人化の目安は600万円

個人事業主と法人の節税効果の分岐点は、個人と法人で計算方法や税率が異なるため一概にはいえませんが、概ね所得600万円が1つの目安となります。

所得の分散で節税効果アップ

個人事業主の場合は全て自分の所得になりますが、法人化すれば会社の利益を複数の人間に分散して所得を散らすことができます。

所得税は所得が低いほど税率が低いので、自分の家族を従業員にして給与を支給することで、自分一人に所得が集中する時よりも課税される税金を節税することができるのです。

例えば、個人事業主で1,000万円の所得がある人が法人化して所得を夫婦で500万円ずつ分けた場合、500万円ずつ分けた方の税率が下がります。

給与所得による恩恵

個人事業主の場合は事業所得となるものが、法人化した場合は給与所得として扱われます。給与所得は給与所得控除が使えるので、無条件に所得を引き下げて節税する効果があるのです。

役員報酬の注意点

自分で会社を設立すれば、自分に支給する役員報酬も自由に設定することができますが、これには一定のルールがあるため注意しなければなりません。

役員報酬の改定については、決算日から3ヶ月を経過する日までに行わなければならず、毎月同じ金額にする必要があります。これを定期同額給与といいます。

また、会社の決算期の途中で役員報酬を増額することも可能ではありますが、増額した部分は経費として認めてもらえないため注意が必要です。

役員報酬を自由にいつでも変更できるとすると、会社の利益を見ながら役員報酬を操作して節税できてしまうため、役員報酬や役員賞与は上記のルールに従って設定するようにしましょう。

法人化に必要な初期費用とは?

株式会社の設立手続きにかかる最低限の費用は、資本金を別にして考えるとズバリ24万円です。思ったよりも安いと思った人もいるかもしれませんが、具体的な内訳について確認してみましょう。

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公証人認証手数料・・・5万円

会社に関する基本的な情報を記載した会社定款という書類を作成して、公証役場で認証を受けるためにかかる手数料です。

登録免許税・・・15万円

会社を設立するためには、法務局で会社の登記申請をする必要があり、この際に登録免許税として15万円かかります。15万円は最低料金で厳密にいうと資本金×7/1000の計算式で登録免許税を算出します。

定款の印紙代・・・4万円

会社設立の時に作成する会社定款は、課税文書のうち第6号文書に該当するため、原本に4万円の印紙を貼る必要があります。行政書士に定款作成を依頼すると、電子定款といって紙ではなくデータで定款を作成してくれるので定款の印紙代を丸々節約することも可能です。

上記をすべてトータルすると、5万円+15万円+4万円=24万円となり、これが株式会社設立時に最低限必要な初期費用となります。

この他にも謄本の交付手数料として数千円程度、法人設立に必要な実印などの印鑑作成の実費(1~2万円程度)また、会社設立手続きを司法書士や行政書士に依頼すると、別途業務報酬として数万円程度がかかります。

これら以外にも資本金の準備は必要ですが、設立費用だけであれば24万円で法人化できるので規模の小さな個人事業主でもハードルはそんなに高くないといえるでしょう。

個人事業主&法人化に関するまとめ

個人事業から法人化することで節税になるケースは多いですが、所得が600万円以下のうちは急いで法人化するとかえって年収が減る可能性があります。法人化すると毎月のランニングコストも増えるので焦りは禁物です。

節税だけを法人化の目的とするのではなく、自営業からの事業拡大のプロセスとして検討するのが本来のセオリーではないでしょうか。

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