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兄弟トラブルになる前に。遺産相続の割合や揉めないための対策をFPが徹底解説!

  • 2020.2.18
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親の遺産をめぐって起こりがちな兄弟トラブル。それまで仲が良かった兄弟でも、財産の話が絡むと確執が生じることもあります。

本記事では、相続が発生すると、なぜ兄弟間で争いになるのかを説明します。将来揉め事にならないよう、あらかじめできる対策も知っておきましょう。

父母の遺産に対して兄弟が持つ権利は同じ

父母が亡くなったとき、その子供は全員相続権を持ちます。兄弟がいれば、兄弟間では公平に財産を分けるのが原則です。

相続人の順位と割合

法律上相続人になる人は、配偶者(夫・妻)と血族(子供、父母、兄弟姉妹)です。配偶者はどんな場合にも相続人ですが、血族については優先順位があり、(1)子供、(2)父母、(3)兄弟姉妹となっています。

相続できる財産の割合は、配偶者と一緒にどの血族が相続人になるかで次のように変わります。

  • 配偶者と子供・・・配偶者1/2、子供1/2
  • 配偶者と父母・・・配偶者2/3、父母1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
兄弟間では権利は平等

子供は第1順位なので、死亡した人に子供がいれば必ず相続人になります。子供が複数いる場合、子供と子供の間には権利の差はありません。子供は皆相続人となり、取得できる財産の割合(相続分)も同じになります。

たとえば、父親が亡くなり、母親と子供(姉、妹)で財産を相続する場合、母親の相続分は2分の1、子供の相続分は姉も妹も4分の1ずつです。

親の財産を相続する兄弟の定義は?

家族でなくても、亡くなった親と法律上の親子関係がある兄弟姉妹がいることがあります。家族でなくても法律上の血縁関係があれば、遺産相続に巻き込まなければなりません。

養子にも実子と同じ権利がある

亡くなった親に養子がいることがあります。養子縁組とは法律上の親子関係を発生させる手続きなので、養子は法律上れっきとした子供です。

子供の中に親の養子がいれば、実子と同様に相続人になります。この場合には、養子も含めた兄弟間で平等に財産を分ける必要があるということです。

異母兄弟・異父兄弟も相続人に

親が再婚している場合など、異母兄弟や異父兄弟がいることがあります。異母兄弟や異父兄弟も、死亡した親の子である以上、相続人になります。相続分も他の兄弟と変わりません。

異母兄弟や異父兄弟がいるけれど、会ったこともないという人も多いでしょう。しかし、相続の場面では関わらざるを得ないことがあります。

兄弟の中に非嫡出子がいる場合

非嫡出子とは、結婚していない男女の間にできた子供です。これに対し、結婚している男女の間にできた子供は嫡出子と呼ばれます。死亡した父親が愛人との間に子供を設けている場合、父親が認知をしていればその子供は非嫡出子となり、父親の子供として相続権を持ちます

嫡出子と非嫡出子とは、以前は相続分が違いました。法改正により現在では、嫡出子と非嫡出子の相続分には差がなくなっています。

父親が認知していない場合

父親と愛人との間に子供ができているけれど、父親が認知していない場合には、法律上の親子関係は発生しません。たとえ生物学上は親子であっても、その子供は父親の相続権を持たないことになります。

遺産を相続するまでの流れ

親が死亡した後、相続手続きをする際の大まかな流れは次のとおりです。

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1. 戸籍謄本を集める

相続手続きを行うためには、戸籍謄本を揃える必要があります。戸籍謄本を確認することで、相続人が誰であるのかを確定することもできます。

戸籍謄本を集めるときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍はもちろん、相続人とのつながりがわかる戸籍もすべて取り寄せなければなりません。

相続に必要な戸籍謄本は一般に数が多く、自分で揃えるには手間がかかります。相続手続きを依頼するなら、戸籍謄本の収集の段階から行政書士・司法書士などの専門家に依頼すると良いでしょう。

戸籍謄本を集めている過程で、それまで知らなかった異母兄弟や異父兄弟が出てくることがあります。この場合には、異母兄弟や異父兄弟にも連絡をとって相続手続きを進めなければなりません。

2. 遺産の内容をリストアップ

相続財産を明確にします。どのような財産があるかわからない場合には、被相続人の自宅などを探して手がかりになるものを見つけます。預貯金がある場合には金融機関で残高証明書を発行してもらい、不動産がある場合には法務局で登記事項証明書を取得しておきます。

3. 相続人全員で遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をもらうか、どういう比率で分けるかなどを話し合います。

話し合いは皆が集まって行う必要はありません。電話や手紙のやりとりでも、全員の意思確認ができればOKです。分配方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。

話し合いに参加してくれない人がいる場合や、財産の分け方で全員の意見が一致しない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停(または遺産分割審判)を申し立てて解決を図ることができます。

4. 財産の名義変更手続き

遺産分割協議で決まった内容に沿って、財産の名義変更手続きを行います。預貯金については金融機関で払い戻しまたは預け替えをし、不動産については法務局で相続登記をします。

兄弟の相続でよくあるトラブル

親の財産を兄弟で相続するときには、どういったことでトラブルが生じるのかを知っておきましょう。

不動産の遺産分割方法が決まらない

遺産として土地や建物といった不動産がある場合には、兄弟間で揉めてしまいがちです。不動産というのは動かせるものではなく、バラバラに分けられるようなものでもないからです。

たとえば、亡くなった親名義の家に同居していた子供がいれば、当然家を相続したいでしょう。しかし、一人が家を相続すると、他の兄弟が相続するものがなくなってしまうことがあります。

親の介護をした人が多くもらえるわけではない

子供の頃は一緒に育った兄弟姉妹でも、大人になると親とのかかわり方は同じではないでしょう。平等に配分すると、かえって不公平に感じることもあります。

たとえば、妹は親と同居して親の介護をしていたけれど、姉は家を出て年に1回くらいしか実家には戻ってこなかったということもあります。

このような場合、親の介護をしていた妹はその分財産を多くもらいたいと思うこともあるでしょう。一方の姉は、自分にも権利があるのならその分は確保したいと言うかもしれません。そういったところから確執が生じやすくなります。

親の介護で寄与分は認められる?

被相続人に特別の寄与をした人を優遇する「寄与分」という制度も民法上用意されています。

親子間には相互に扶養義務があるので、介護をするのはある意味当然のこととも考えられます。裁判所を通して遺産分割する場合でも、親の介護をしただけでは寄与分は認められにくいのが現状です。

親から生前贈与を受けている人がいる場合も

子供の中に、親からお金の面で援助を受けていた人がいる場合もあります。親からの援助が民法上の「特別受益」に該当すれば、遺産分割の際にその特別受益を遺産に加算し、特別受益者はその分は受け取ったものとして遺産分割することが認められています。

結婚の際の持参金や留学費用などが特別受益に当たることが多いですが、明確でないものや証拠がないものなどもあり、争いになりがちです。

兄弟で不動産を分けるときの注意点

相続した親の不動産を分けるときには、トラブルにならないよう分け方に気を付ける必要があります。

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遺産分割の方法は3種類

まず、遺産分割の方法としてどんな方法があるのかを知っておきましょう。一般には、次の3種類の方法のいずれかで決めることになります。

現物分割

財産の現物をそのまま分ける方法です。たとえば、遺産として土地・建物と預貯金があり、長男と次男が相続人である場合に、長男が土地・建物、次男が預貯金という形で分けるのが現物分割です。

換価分割

遺産を売却してお金に換えてから分ける方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみの場合、一人が自宅をもらうと、他の人がもらうものがなくなります。このような場合、自宅を売却してお金に換え、お金を相続人全員で分ければスッキリ分けられます。

代償分割

財産を取得した人が他の相続人にお金(代償金)を払って、相続により得た財産額が公平になるように調整する方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみで、一人がどうしても自宅がほしいという場合には、他の相続人に代償金を払うことで承諾を得てもかまいません。

土地や建物を共有にしない

不動産は持分を設定して共有にすることができます。不動産を物理的に分けることはできなくても、共有にして各相続人の権利を確保することは可能です。

しかし、不動産の分け方が決まらないという理由で共有にするのは、できるだけ避けた方が無難です。共有の不動産にはトラブルも多いので、問題を先送りにしてしまうにすぎません。

共有にした場合のトラブルとは?

土地や建物を共有にすると、簡単に売れなくなってしまいます。不動産を売却等して処分したい場合には、共有者全員の合意が必要です。

一人が土地を売りたいと言っても、他の人が売りたくないと言えば、その土地は売れないことになります。土地の持分を売却することは可能ですが、特別な事情がない限り、土地の持分だけを購入したいという人はいないでしょう。

また、共有者のうちの誰かが亡くなった場合には、亡くなった人の相続人が持分を相続することになり、不動産の共有者が増えてしまうという問題もあります。権利関係が複雑になれば、ますます全員の合意が難しくなってしまうでしょう。

分け方によって税金が変わる

遺産の分け方の違いで、税金にも差が出ることがあります。

土地を誰がもらうかで相続税が変わる

相続税を計算するときには、土地の評価額を出さなければなりません。被相続人の自宅の土地については小規模宅地等の特例が適用になり、評価額を8割減額できる場合があります。

小規模宅地等の特例は、誰がその土地を取得するかによって適用の可否が分かれます。たとえば、親と同居していた人が自宅の土地を相続した場合には適用されますが、親と同居していた人がいるにもかかわらず他の人が土地を相続した場合には適用されません。

評価額を8割減額できるかどうかは大きな問題です。兄弟の誰が自宅の土地をもらうかで、税金の金額が変わる可能性も視野に入れておきましょう。

換価分割では譲渡所得税に注意

換価分割を行った場合、譲渡所得が発生していれば譲渡所得税の課税対象となり、相続人全員に譲渡所得税がかかります。マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合には、3,000万円の特別控除が受けられ、税金の負担が軽くなります。

相続した親の自宅を売却した場合、親と同居していた相続人については3,000万円の特別控除が受けられます。一方、親と別居していた相続人は特別控除が受けられません。兄弟で平等に分けたつもりでも、手元に残る金額に差が出ることがあります。

遺言で相続トラブルを防ぐ

親の死後の兄弟トラブルを防止するために、親に遺言書を書いておいてもらう方法があります。

親に遺言書を作成してもらおう

被相続人が遺言書を残している場合、被相続人の意思を尊重して、法定相続よりも遺言が優先することになっています。親に遺言書を用意しておいてもらえば、兄弟間で遺産分割協議をする必要もありません。親の希望だからと言うことで、兄弟全員が納得する可能性もあります。

兄弟の遺留分に気を付けておく

親に遺言書を書いてもらうときには、遺留分に注意しておかなければなりません。遺留分とは遺言の内容にかかわらず確保できる最低限の取り分です。子供が親の相続人になる場合には、子供は皆遺留分を持ちます。子供の遺留分は次のとおりです。

たとえば、父親が既に亡くなっており、母親の財産を兄弟3人で相続する場合、1人あたりの遺留分は4分の1を3人で割った12分の1です。兄弟全員が少なくとも12分の1の財産を取得できるように、母親に遺言を書いてもらう必要があります。

相続における兄弟トラブルに関するまとめ

親が亡くなったとき、遺産に対して兄弟が持つ権利は平等です。不満を持つ人が現れないよう、全員の権利に配慮しながら遺産を分配する必要があります。

将来、遺産相続で兄弟トラブルになることが予想されるなら、親に遺言を書いてもらう方法も検討しましょう。

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