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住宅ローンは一括返済がお得?知っておきたいメリット・デメリットをFPが解説

  • 2020.2.6
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今回は住宅ローンに関する解説ですが、特に一括返済についての解説になります。住宅ローンは人生の中でも一番高額な金額になりますが、誰もが早く返済したいですよね。そしてなるべくお得に返済したいという方が多いと思います。

お得な方法は何があるのか、メリット・デメリットを解説していきますので、住宅購入している方やこれからローンを組む方は是非ご覧ください。

住宅ローンの基礎知識を解説します

始めに住宅ローンの基礎知識、仕組みから解説していきたいと思います。住宅ローンという名称は商品名になり、住宅を購入する、リフォームする場合に利用される事が殆どです。

例えばお子様の教育資金に利用するとか、車を購入する場合には別商品の教育ローンやマイカーローン等になりますので、目的以外の事には使えない様になっています。

基本的な仕組みは?

住宅ローンは原則最長35年間まで組む事が可能です。または完済(ローンを返し終える)時の年齢が80歳までとなっています。現在の定年退職を考えると、65歳定年なら30歳の時に35年ローンを組めば定年時には全額返し終える事になりますね。

また審査も厳しく、年収や借入、勤続年数等調べられた上で融資可能かどうか判断されます。また、保証会社の保証を受けられるかどうかも重要なポイントです。そして、銀行系の融資の場合、必ず団信に加入しなければ融資はしてくれません。

団信とは団体信用生命保険の略で、借入をした方が返済期間中に万が一亡くなった場合やがん、心筋梗塞、脳卒中など働けない状況に陥ってしまった時に、住宅ローンを一括で返済してくれる保険です。 住宅ローンを組む際にこの保険に加入しなければなりません(フラット35は必須ではありません)。この時、生命保険ですから、お体の健康状態が必要になり、大きな病気をしたことがある方等は加入できないケースもありますので注意しておきましょう。

借入金額、金利によって利息負担は異なる

先程までの解説は基本的な部分でした。ここからの流れは、少し金利選びに触れていきます。毎月の返済額が異なる部分でもありますので、お得になる、安くなる等の効果が分かりやすい部分です。本記事を執筆している時点での最安金利を調べてみました。ざっくりですが比較してみます。

  • 変動金利0.399%
  • 10年固定金利0.570%
  • 全期間固定金利1.270%

試算の条件として4,000万円を借入(頭金無し)、35年間の返済期間を組んだとします。尚、変動金利、10年固定金利も35年間金利変更が無いという条件で試算してみます。試算の結果下図のようになりました。

結果から見ても変動金利の返済額が一番安く、利息負担も低いですね。つまり金利は低いに越したことはありません。変動金利と、全期間固定金利では毎月の差額が約16,000円あり、総額負担で見ると、約670万円も開きがありますね。

毎月の負担を軽減するためには低い金利選びは非常に重要です。また金利は借りる時期によって変動しますので、借入が近い方はHP等チェックしておきましょう。

住宅ローン控除について

住宅ローンを解説するに当たって、欠かせないのが住宅ローン控除です。この控除は非常に大きく、税金が返ってくる実感があるので、必ず利用するようにしましょう。

今回のテーマでもありますが、一括返済をしてしまうと、住宅ローン控除が使えなくなる等のデメリットが生じます。詳しくは後述しますが、ここでは住宅ローン控除の仕組みについて簡単に解説していきますね。

住宅ローン控除の仕組みは?

住宅ローン控除の仕組みですが、年末時点のローン残高の1%が減税の対象になり、10年間適用される制度です。税金と言っても、所得税の減税効果が大きく、場合によって控除しきれない時は、住民税にも効果が及ぶ様になっています。

一般的な住宅であれば年間最大40万円、長期優良住宅であれば年間最大50万円の減税となります。

消費税増税のタイミングに購入した方は3年間延長

昨年に消費税が8%から10%へと増税しました。これにより支払額も大きく異なりましたよね。例えば4,000万円の物件で8%なら320万円の消費税、10%なら400万円の消費税となり、僅か2%の違いでも高額になればなるほど大きな負担になります。

この様な計算を見込んで、駆け込み需要もありましたが、タイミングが増税後になれば住宅購入が冷え込む事にも繋がります。

そこで、2019年10月1日から2020年12月31日迄の期間中に購入・入居した方は、3年間ほど控除期間が延長される事になりました。本年一杯という事ですね。但し11年目からの減税効果は10年間と違って税額が小さくなります。

とはいえ、減税が有るか・無いかで支払う税金が変わりますので、恩恵はしっかりと受けておきたいところですね。

一括返済のメリット・デメリットを解説します

さて、ここまでは住宅ローンに関する基礎知識を解説してきました。ここから、テーマに沿って解説していきます。一括返済する事のメリット・デメリット、注意点や方法をお伝えしていきます。

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一括返済のメリット

まずはメリットから解説します。一括返済のメリットは何と言っても、利息カットの効果が大きいという点でしょう。今回4,000万円で35年間全期間固定金利の1.270%で計算しました。毎月の返済額は前述した通りです。すると次の図の様な返済計画になります。

1年間の返済総額が141万円になる事が分かります。そして、その中の利息負担分をご覧ください。1年目の部分を見ると、利息負担は約50万円になっている事が分かります。翌年の利息負担は49.1万円になっている事がわかります。

この様に返済年数を重ねる度に利息負担が減り、逆に元金が減るペースが速くなっていきます。

一括返済は老後の安心材料

高額な住宅ローンほど定年後の老後に残したくないですよね。現役の時は収入が見込めますが、定年後の収入は年金のみとなります。一括で全額を返済する事で、毎月の返済額が無くなる為、老後にローンを残さずに済むメリットがあると言えますね。

また、早い段階で一括返済をする事が出来れば、将来支払うはずの利息を支払わなくて済むことになります。

一括返済や繰上返済の仕組みは?

ここで少し返済方式について解説しておきます。毎月の返済は元金と利息それぞれに充当される様になっています。

では途中で一部大きな金額を返済する繰上返済や一括返済はどんな仕組みなのか解説しますと、途中で入金等する場合は元金にのみ充当される事になる為、利息を支払わなくて済むといった大きなメリットが生じます。

例えばですが、先程の4,000万円の借入をした場合、1年後に全額を返済するとなると、将来の利息を支払わなくて済みますので、計算では約900万円もの利息負担を軽減出来る事になる訳です。900万円あれば車が2台くらいは買えますよね。

この効果は非常に大きいので、返済出来るのであればなるべく早めの方が効果的と言えるでしょう。

一括返済のデメリット

ではデメリットはどうでしょうか。デメリットの部分で言うと、先程解説を挟みました住宅ローン控除が使えなくなる点です。これはあくまで、控除対象期間中に一括返済した場合のデメリットを指します。ではどんな違いが生まれるのか、具体的に解説していきます。

住宅ローン控除の効果は?

こちらの図をご覧ください。先程の4,000万円、全期間固定金利で計算した年末残高、控除額の表になります(10年間で作成しています)。

この様に10年間に渡って合計約350万円近くの減税効果が発生している事になります。10年間という所がポイントになりますが、この10年間の間に一括返済を行った場合、減税される事は無く、通常通り税金を納税しないといけなくなります。

例えば、1年後に全額を返済すると仮定します。減税の恩恵を受けるのは1年目だけで、残り9年間は住宅ローンの残高そのものが無くなりますので、控除を受けられなくなるという事です。

計算では約310万円もの金額の損失が出る事になる訳です。これは勿体ないですよね。せっかく税金を減らせる効果があるのに、一括返済を行うと、効果を放棄する事になります。一括返済を考慮されている方は10年後、若しくは13年後が望ましいと言えそうです。

他にデメリットは?

また別の角度から見た場合のデメリットを解説すると、一括返済は大きな金額を必要とします。例えばですが、購入後20年後に一括返済出来る資金が貯まったとします。

返済実行後、住宅ローンは無くなりましたが、住宅の水回り等、経年劣化して改修工事を必要とする事になった場合、新たにお金を借りるか、用意しなければならなくなります。

水回りの工事はトイレ、お風呂、キッチンといった部分で工事代金は高いです。この様にならない為に、先々の事も見据えておく事も必要になってきます。またお子様の進学や車の購入、家電製品などの耐用年数を考慮してある程度のお金を残しておく事も必要だと言えます。

特にお子様の教育資金は待ったなしで必要になりますので、貯蓄で準備するのか、学資保険なのか、教育ローンなのかある程度事前に準備しておく事が必要ですし、どれくらいのお金がかかるのか想定しておく事も大切です。

対策としてはライフプランシミュレーションを

お金の流れを把握するためにうってつけなのが、ライフプランシミュレーションです。これは将来のお金の流れが分かるもので、お子様の教育資金計画、耐久財購入、車両、その他ライフイベントにどの様なお金を必要とするのか計画できます。

住宅の事だけに囚われてしまうと、他のライフイベントに支障がでますので、事前にお金の計画を立てておく事も重要だと私は思います。

一括返済、繰上返済の注意点

ここで、一つ注意点を解説します。先程、一括返済を10年後、13年後に行う事が望ましいと解説しましたが、もっと注意すべきは繰上返済についてです。

実は繰上返済を控除期間に行う事が吉なのか凶なのか検証したところ、金利の水準で行う・行わないという事になります。次の様な方は繰上返済をする際は要注意です。

  • 借入金利が1%未満の方は控除対象期間後に繰上返済、一括返済がオススメ
  • 借入金利が1%以上の方は控除対象期間中に毎年繰上返済をする事がお得

過去の記事で比較していますので、そちらも参照して頂ければと思います。税効果や総返済額に違いが生じる事になりますので、まずは借入金利がどの水準なのかを確認し一度シミュレーションしてみるのも良いかもしれません。

他に注意点は無いの?

他に注意点があるとすれば、途中で大きな金額を入金しようとする場合、手数料を取られる事もありますので、注意が必要です。繰上返済時に手数料がかかる銀行や全くかからない銀行など様々です。借入を比較検討する際にこの手数料の部分に関してはチェックしておいて下さいね。

また前述した団信ですが、完済後は団信も消滅します。例えば、フラット35などの任意加入の場合、人によっては民間の生命保険を活用していらっしゃる方もいます。

住宅ローンを完済し終えたら、生命保険の見直しを実施する事で、掛け金の負担を軽くする事もできますので、忘れずにやっておきましょう。

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一括返済の方法は?

では一括返済の方法に関して説明しておきます。一括返済を行う場合、いつ入金するのかというタイミングによって返済金額が異なるので、まずは融資してもらった金融機関に、いついつ全額返済するので金額を教えて下さいと伝えればそれでOKです。

金融機関としては高額な融資金額を早く完済してくれるのであれば問題はありませんので、返済する金額が手元にあればなるべく早めに返済をしておきたいところですね。

また毎月の返済は指定口座からの引落ですが、一括返済となると銀行指定の口座に振り込む必要が出てきます。この場合振り込み手数料は自分で負担しなくてはなりませんので、手数料の低い金融機関をチョイスできればベストだと思います。

住宅ローンの一括返済に関するまとめ

今回は住宅ローンの一括返済に纏わる解説でした。一括返済となるとある程度の高額なお金を要します。そのお金をいきなり使う事よりも、資金計画をしっかり立てて損が無いようにしておきたいですね。その為に事前準備はしっかりとやっておきましょう。

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