1. トップ
  2. スキンケア
  3. 【医師監修】ニキビをつぶすのはNG! 正しいケア方法を知っておこう

【医師監修】ニキビをつぶすのはNG! 正しいケア方法を知っておこう

  • 2020.2.1
  • 5088 views



突然できる不快なニキビ。ついつい気になって触ってしまったり、つぶしたくなってしまったりしませんか。しかしきちんと治したいなら、つぶすのは禁物です。ニキビをきれいに治すためにはどうしたらいいのでしょうか。

今回は「ニキビの正しいケアの方法」をご紹介していきます。

【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生


婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。

著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。


■ニキビってそもそも何?

▼ニキビとは


ニキビとは、医学名では「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という毛穴の炎症の病気です。特に皮脂分泌が盛んになる思春期はできやすく、男女問わず9割以上の人が経験しているといわれます。

「思春期ニキビ」は年齢13歳~18歳くらいまでにできるものをいい、18歳を超えてできるニキビを「大人ニキビ」と呼んで区別することもあります。大人ニキビは一般的に「吹き出物」ともいわれています。

ニキビは日常的にある皮ふトラブルであり、熱が出るなどの症状はないため、放置したり、セルフケアを怠ったりする人も多いでしょう。特に「病院に行って治す」という意識も低めなのが現状です。

ニキビには段階があり、炎症を伴わない「白ニキビ」「黒ニキビ」、炎症を起こしている「赤ニキビ」「黄ニキビ」があります。適切なセルフケアなどを怠ると、炎症が強くなって赤くなったり、痛みを伴ったりなど、さまざまな症状が出てきます。

炎症を伴うニキビの場合、ひどくなって皮ふの奥まで広がってくると、ニキビあとが残ってしまう場合もあり、注意が必要です。

参考サイト:
日本皮膚科学会皮膚科Q&A「にきび」

▼ニキビの原因


ニキビは、皮脂の分泌が増えて、毛穴が詰まることが原因とされています。

ニキビのできやすい思春期は、男女ともに第二次性徴を迎えるため、皮ふの乾燥を防いで皮脂分泌を促す「性ホルモン」が多く分泌されます。また、まだホルモンバランスが不安定なので、皮脂が過剰に分泌されることもあります。

また、この時期は毛穴の角質が増えて、毛穴の出口がふさがりやすくなります。結果、皮脂が毛穴にたまってしまい、ニキビができやすくなってしまうのです。

毛穴には多くの常在菌がいて、通常は何もしないのですが、中には数が増えることで悪さをするものがいます。ニキビの原因菌「アクネ菌」はその一つです。アクネ菌は毛穴の皮脂をエサにして増えていきます。そして毛穴に炎症を起こし、ニキビを作っていくのです。

実は、部位によって、ニキビ発症を助長する原因は異なります。

顔は皮脂の分泌が多い部分です。特におでこや鼻などの「Tゾーン」はニキビのできやすい場所です。さらに、顔はいつも空気にさらされていて、皮脂が酸化しやすい部位でもあり、長時間細かいほこりなどが付着するなど、毛穴が詰まりやすい部分でもあります。

さらに思春期以降の女性は化粧をする人が増えて、洗顔では落としきれない化粧残りが角質と同様に毛穴の詰まりを引き起こしていきます。これらの複数の要因が、顔のニキビの原因になっています。

背中や胸も皮脂分泌が多いため、ニキビができやすい部分になります。衣類を着ているので蒸れやすく、アクネ菌も増えやすい環境です。お風呂の時も、背中などは洗いにくい部分のため、洗浄が不十分になってしまうこともあります。そのため、背中や胸のニキビは炎症が悪化しやすい傾向にあります。





■ニキビをつぶすのはNGなの?

▼ニキビはつぶさずにケアする


ニキビは長引くほどに「早くつぶしてなくしてしまいたい」と思う人も多いでしょう。しかし、ニキビをつぶすのは禁物です。下手にいじってしまうとあとが残ったり、さらに菌が入り込んでしまったりする可能性があるからです。

また、たまたま何かの拍子にニキビがつぶれてしまった、というケースももちろんあるでしょう。

その場合、白ニキビなどの初期のニキビなら、あとが残らないこともあります。しかし炎症の強い赤ニキビがつぶれた場合、あとが残る可能性は高くなります。ニキビがつぶれたら、血やうみが出ている場合はティッシュペーパーで軽く拭き取って、できるだけ触らないようにしましょう。

触ると、さらに菌が入り込んで炎症が悪化したり、刺激になって治りが遅くなったりする場合があります。

▼段階によって違うニキビのケア方法


ニキビには段階があり、ケアの方法も異なってきます。

皮脂や汚れで毛穴の出口が狭くなり、そこに増えた皮脂がたまることで、ニキビはできはじめます。そこから、皮ふが角化異常を起こしていくと「白ニキビ」となります。一方、皮脂や汚れが詰まって毛穴を押し広げていくと「黒ニキビ」となります。

この白ニキビと黒ニキビはまだ炎症を起こしていない状態ですが、それを放ってしまうとアクネ菌が増えて、皮ふの内側で炎症が起こり始め「赤ニキビ」の状態になります。赤ニキビが進行して、中心に黄色っぽいうみがたまった状態が「黄ニキビ」です。

白ニキビ


白ニキビはまだ炎症が起こっていない状態です。医療用語では「閉鎖面ぽう」といいます。ニキビケアは1日2回を目安に洗顔をして、乾燥しないように保湿をしていきます。肌を清潔に保ち、毛穴にたまった角質や皮脂を取り除いて、いじらないことが大切です。

すべてのニキビに共通することですが、化粧をしている人はメイク落とし(クレンジング)で化粧はしっかり落としましょう。その後、洗顔料を使って洗顔をします。メイク落としがオイル製のものでも、きちんと洗顔をすれば問題はありません。

スクラブ入りなどの洗顔料は、ニキビが刺激され、悪化する原因になるため控えましょう。

化粧水などは「ノンコメドジェニックテスト済み」と記載のあるものがおすすめです。これは、ニキビのできにくさのテストをクリアした製品という印で、安心して使用できるでしょう。

黒ニキビ


黒ニキビは医療用語では「開放面ぽう」と呼びます。こちらも白ニキビと同様にまだ炎症は起こっていません。ケアの方法は基本的には白ニキビと同じです。

洗顔で肌を清潔にし、アクネ菌を増やさないことがポイントです。また、抗酸化作用のあるビタミンCを使ったケアを取り入れるのもいいでしょう。

赤・黄ニキビ


赤ニキビは医療用語で「紅色丘疹」といいますが、炎症が起こってしまった状態です。毛穴のなかで増えてしまったニキビの元の「アクネ菌」が白血球と戦っています。赤くはれて、痛みを伴うこともあり、悪化してしまうとあとが残ってしまうため、無理につぶすことはやめましょう。

ケアはできるだけ刺激をなくし、お化粧やコンシーラーもできるだけ控えておきます。市販のニキビ用の塗り薬を使ってみるのもいいでしょう。

黄ニキビは赤ニキビがさらに進展して膿疱(のうほう)ができた状態です。破裂するとニキビ内の皮脂や角質などがもれ出てしまいます。対処としては市販薬を塗るなどがありますが、赤ニキビも黄ニキビも強い炎症が起こっているため、病院を受診するのがおすすめです。

▼つぶしてもいいと言われているタイミングもあるけど…?


「白ニキビはつぶしたほうが早く治る」という意見を聞くことがあります。

しかし、素人が自己流でニキビをつぶすことは、かえって炎症を引き起こしてしまったり、菌が入り込んでしまったり、さまざまなリスクが伴います。

初期の白ニキビをつぶすことで、わざわざ悪化させてしまったら本末転倒です。ニキビをつぶすのは控えておきましょう。

■つぶしたくなるけど我慢! ニキビの正しいケア方法

▼正しいケア方法1:しっかり洗顔


ニキビケアの基本は1日2回、しっかり洗顔することです。洗顔料はよく泡立て、毛穴の皮脂や汚れが落ちるように洗います。強くこする必要はありません。すすぐ時は、洗顔料が残らないように水でていねいに洗います。タオルで拭き取るときもやさしく行いましょう。

▼正しいケア方法2:保湿をして自然治癒を待つ


ニキビケアには肌の保湿も大切です。なぜなら、肌が乾燥してしまうと、皮脂の分泌量が増えてしまうからです。

保湿のための化粧水は自分の肌に合うものを選んでください。前述の、ニキビのできにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」処方のものを選ぶのも賢い選択です。初期ニキビなら、そのまま様子を見て自然治癒を待つのも手でしょう。

▼正しいケア方法3:ニキビのケアアイテムを使う


ニキビケアアイテムはドラックストアでも多く販売されています。ニキビの炎症を抑える成分の入った化粧水や保湿クリーム、ピンポイントでつける市販薬もあります。忙しい人はそれらのアイテムを使用して、ケアするのもいいでしょう。

ただし、2週間ほど使っても改善されない場合や効果を感じない場合は、ほかの市販薬に変えてみたり、皮膚科の受診を検討してみましょう。

▼正しいケア方法4:病院で治す


赤ニキビや黄ニキビなら、早めの受診がおすすめです。ニキビの状態によって治療は異なりますが、一番確実に治すことができるはずです。

塗り薬では、角質をやわらかくして毛穴詰まりを抑える外用薬と炎症を抑える外用薬を併用することが一般的です。飲み薬では抗菌薬やビタミン剤、漢方薬などが処方され、体の内外から効果的にニキビを治していきます。

▼正しいケア方法5:メディカルエステという方法も


ほかにも「メディカルエステ」という選択肢もあります。これは、専門医の指導のもとに行うエステで、医学的な見地からエステ施術ができるので、安心感があります。

主な施術としては、古い角質を除去するピーリングやニキビあとに効果的なレーザー治療などを行います。


■まとめ



ここまで、ニキビの正しいケアの方法をご紹介してきました。

ニキビの様子や状態によって、適切なケアは異なります。しかし、すべてのニキビケアに共通することは、ニキビをつぶさないように気をつけ、できるだけ触らないこと。そして洗顔も保湿もやさしく行うこと、です。

また、このようなセルフケアは大切ですが、なかなか改善しない場合は、医療機関の受診も検討していきましょう。

参考資料:
・日本皮膚科学会

(斉藤カオリ)

元記事で読む
の記事をもっとみる