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笠松将、今の課題は「人と自分の差異に折り合いをつける」こと

  • 2020.1.15
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まもなく主演映画『花と雨』が公開するほか、多数の作品で異彩を放つ、話題の俳優・笠松将さん。彼の素顔を探るように、フォトグラファーの前原哲也さんが撮影。建設途中の巨大マンションが林立していながらも、不思議な静寂に包まれている街を、思うままに歩いてもらった。

笠松将さんと、撮影した前原哲也さんに東京についてお話をうかがいました。

晴海×笠松将

写真・前原哲也

――今回が初対面のおふたり。笠松さんをどんなふうに撮りたいと思っていましたか?

前原:笠松さんとは初めてお会いしますし、自分の職業とはまったく違う方だし、緊張もするし、どう撮ろうかなって昨日の夜考えていたんです。でもやっぱり僕はポートレートって自由な感じが好きなので、指示は「あそこに座ってほしい」とかそれぐらいで、あとは笠松さんの動きに任せました。

笠松:僕は何も考えずにやらせてもらえて、“ありがとうございます!”って感じでした。実は僕、指示されるのが苦手で…。指示というより“指図”ですね。指示されるのは、むしろ好きなんですけど。なので、指図に関しては、素直に言うことを聞けないんです(苦笑)。

前原:撮っていて思ったんですけど、笠松さん、おもしろいですね。

――どういったところが?

笠松:あんまり悪いこと言えないですよね、こんな時って。

前原:まさにこういうところ(笑)。写り込まないように逃げているスタッフのほうに体を向けたり、電灯の柱に隠れてみたり。いたずらっぽいところが、おもしろいなって。それに実は映画の役柄の印象が強くて、厳しい方だったらどうしようと思っていたんです。でも、実際に会ってみたらそんなことなくて、それも嬉しかったです。

笠松:嬉しいです、僕も。

――ロケーションは、オリンピックに向けて選手村が建設されるなど、変化を遂げた晴海でした。

前原:あんなに大きな建物がいっぱいあるのに、まだ誰も人が住んでいないという、すごく不思議な空間でしたね。

笠松:僕の中で街や建物の新しさや、変わるものとか変わらないものってそんなに重要じゃないんです。たとえばそこに住んでいた人との大切な時間や記憶があれば思い入れもありますが、僕にはオリンピック選手の友達もいなければ、あの場所に何の縁もないですから。単なるモノには、あんまり価値を感じていないんです。

前原:ちょうどこの間、そういうことを考えていて。映画や写真って、撮ったそばから古くなってしまうじゃないですか。でも、新しいものを撮ろうとしている。そういうある種、意味のないものに少し色をつけられるのが、写真であり、映画なのかな、と。

笠松:それ、わかります。映画でもドラマでも、自分では納得がいっていなくても、前原さんが言ったような“何か”が乗っかった瞬間、一気に別物になる。たとえば、世に出た時に意外と評価されることもあれば、逆もある。人と自分の差異に折り合いをつけるのが、今の課題です。

前原:自分の作品なのに、手元から離れると自分のものではなくなってしまう。僕はもう、自分を信じるしかない、と思っています。

来るにぎわいを受け入れる湾岸に建設される新しい街。
巨大な選手村の場所として、オリンピックイヤーを迎えスポットライトがあたっている晴海エリア。オリンピック後は、約44haともいわれる膨大な敷地一帯が新たな街となり、多くの人を受け入れる。レインボーブリッジを一望できる景観のよさも特徴。都心へのアクセスも整備が進行しており、その今後に注目が集まる。

かさまつ・しょう 1992年11月4日生まれ、愛知県出身。主演映画『花と雨』が1月17日に、出演する『転がるビー玉』が1月31日に先行公開。1月8日スタートのドラマ『僕はどこから』(テレビ東京ほか)に出演。

フーディー¥13,000 パンツ¥12,000 シューズ¥20,000(以上NIKE/atmos 新宿店 TEL:03・6457・8755) シャツ¥26,000(カズユキ クマガイ/アタッチメント代官山店 TEL:03・3770・5090)

まえはら・てつや 2010年より腰塚光晃氏に師事。‘13年に渡英し、アシスタントをしながら写真を学び、‘17年帰国。広告や、『ELLE JAPON』『Numero TOKYO』などで、ファッション、ビューティ分野を中心に活躍中。

※『anan』2020年1月15日号より。スタイリスト・藤長祥平 ヘア&メイク・松田凌(Y’s C) インタビュー、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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