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実在する漁師のバンドがモデル…イギリスを席巻した奇跡の実話

  • 2020.1.10
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新年を迎えたばかりのこの時期は、新たな決意や夢など、さまざまな思いを胸に抱えて過ごしている人も多いのでは? そこで、そんな前向きな気持ちを後押ししてくれる驚きの実話をもとにしたオススメの注目作をご紹介します。それは……。

『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』

【映画、ときどき私】 vol. 284

イギリスのコーンウォール地方にある小さな港町ポート・アイザック。レコード会社でマネージャーとして働くダニーは、同僚たちとの旅行でこの地を訪れていた。彼らが街を観光していると、現地の漁師たちが港で舟歌を歌っているところに遭遇する。

すると、ダニーは上司から漁師たちと契約を交わすように命じられてしまうのだった。その後、よそ者嫌いの彼らをなんとか口説き落とすダニーだったが、はたして競争の厳しい音楽業界で成功を手にすることができるのか……。

本国イギリスでは、なんと10億円の大ヒットを記録した本作ですが、その勢いに負けないほどの高い人気を誇っているのが、漁師たちで結成された実在のバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」。そこで、多くの人を虜にした彼らの魅力から舞台裏まで、こちらの方にお話をうかがってきました。

イギリスのクリス・フォギン監督!

完成した脚本を読み、すぐに心を鷲掴みにされたというフォギン監督。今回は、実際の漁師たちとの出会いやイギリスのパブ文化などについて教えていただきました。

―本作に登場するフィッシャーマンズ・フレンズについておうかがいしますが、もともと監督はどの程度ご存じでしたか?

監督 実は、最初は彼らのことを知らなかったんですよ。でも、2013年に脚本を通して知り、「こんなバンドがいるのか!」と驚きました。そのあと、彼らのことをいろいろと調べていくうちに、ぜひ自分の手で映画化したいと思うようになったんです。

―重厚感のある歌声とどこか懐かしい雰囲気は、彼らのことを知らない人にでも響くものがあると感じました。実際に彼らの歌を生で聴いたときは、いかがでしたか?

監督 初めて聴いたのは、彼らと地元のパブで会ったとき。突然彼らが歌い始めたんですが、まるで背骨に衝撃が走るようでした。歌声はもちろんのこと、その場にいた地元の人たちと一緒に食べたり、飲んだり、歌ったりしている姿を見て、ゾクゾクするような感覚があったんです。

なぜなら、歌だけでなく、彼らの家族やコミュニティとのつながり方は心に響くものがあり、その姿が感動的だったから。今回は1年間ほどポート・アイザックに通いながら撮影しましたが、歌を聞くたびに息を飲むような体験をしました。彼らの歌声は本当に素晴らしいんですよ。

住民たちの地元を愛する気持ちに心が動かされた

―“海の男”といえば、厳しいイメージもありますが、交流を続けるなかで、彼らから学んだことは?

監督 これは彼らだけでなく、男性女性を含む地元のみなさんを見ていて気がついたことですが、自分の出身地を誇らしく思う意識にとても心を動かされました。僕はイギリス北部の出身ですが、同じようにコミュニティや地元に対する愛がすごく強いので、それを町全体から感じられたことが、一番印象的でしたね。

―確かに、彼らの地元に対する愛情は、海のように深いものがありますが、その気持ちも理解できるほど、コーンウォール地方の自然と海の景色は素晴らしかったです。とはいえ、自然が相手の撮影で大変なことはありませんでしたか?

監督 海のシーンではいろいろと心配事があって、最初はかなりナーバスになってしまいました。でも、幸いなことにキャストと僕は船酔いすることなく、うまくいったのはよかったです。ただ、スタッフのなかには、かなり具合が悪くなった人もいて、大変なこともありましたが……。なので、船の上での撮影が終わったときは、本当にハッピーでしたね(笑)。

監督がオススメするコーンウォール地方で過ごし方とは?

―この作品がきっかけで日本から訪れてみたいと思う人もいると思うので、監督からオススメのコースを教えてください。

監督 まずは、街の中心にあるポート・アイザック港。フィッシャーマンズ・フレンズのライブも開催される浜辺なので、彼らが歌っているのを見たあとに、パブに行ってビールを1杯飲むというのが最高ですよ!

―それは楽しそうですね。劇中では、彼らが繰り広げるテンポのいいやりとりや下ネタ、漁師ならではの迷信など、どれもおもしろかったですが、あれはコーンウォール地方の出身者特有のものですか? それともイギリス人全般的なものとして描いたものですか?

監督 いいところを突いてますね。うまく答えられるかわからないですが、僕はあの地方独特のものだと感じています。というのも、みんながお互いのことを知っているだけでなく、本当に仲が良いですし、何か問題が起きないようにちゃんとそれぞれがお互いに気配りしているような地域を僕はあまり知らないからです。

みんなが相手のことを思い合っているからこそ、誰もがありのままの自分でいることもできるんですよね。そして、それによってリラックスした空気感があの土地全体から醸し出されているので、そういう部分はすごくユニークだなと感じました。

家族や友人と一緒に過ごせるパブが何よりも好き

―なるほど。また、本作ではパブが大きな役割を果たしていますが、イギリス人にとってパブは欠かせないものだと思います。監督にとってはどんな存在ですか?

監督 僕はパブで生まれるカルチャーも含めてパブが大好きなんですが、イギリス人はみんなそうだと思いますよ。以前、友達の結婚式で東京に滞在したとき、僕と妻はせっかくだから日本ならでは場所に行きたかったのに、ほかの友人たちの希望で日本にある英国風のパブに行ってしまったくらい(笑)。

それはそれで楽しい経験だったし、そうやってみんなが一か所に集まって楽しめる場所であるところがパブの好きなところでもあります。僕はそこまでお酒が飲めるほうではないけれど、家族や友人と一緒にビールを飲んだり、楽しんだりできるから、パブが一番の趣味と言えるかもしれないですね。

―劇中でもパブを舞台にさまざまなことが起きますが、監督にとって忘れられない思い出といえば?

監督 いろいろありますが、いま思い出すとすれば、この作品のためにポート・アイザックを訪れたときに、地元の人たちやキャスト、スタッフの全員でパブに行き、一緒に飲んだり、歌ったりしたことかな。それが僕にとっては、最高の思い出ですね!

―その光景が目に浮かぶようです。それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします!

監督 僕にとって日本は大好きな国でもあるので、大好きな日本の方々にとにかく楽しんでもらいたいと願っています。映画を観て笑顔になってほしいし、イギリスやポート・アイザックに行ってみたいと思ってもらえたらいいですね。世界でもこういった場所はほとんどないですから。そして、家族や友人、地元のコミュニティを大切にする彼らの姿を見て、何か感じるところがあればうれしいです。

笑いあり、涙あり、歌ありの三拍子そろった感動作!

他人との交流や絆が希薄になりがちな現代に、改めてコミュニティの持つ力を感じさせてくれる本作。そして、年を重ねると新しい挑戦に対して逃げ腰になってしまう人にとっては、フィッシャーマンズ・フレンズの力強い歌声が応援歌としても心に響くはず。2020年は、男らしくてまっすぐな海の男たちが熱く盛り上がるかも

思わず体が揺れる予告編はこちら!

作品情報

『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』
1月10日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
© FISHERMAN FILMS LIMITED 2019

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