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住民税と所得税の違いをFPが徹底解説!働く人が知っておきたい基礎知識

  • 2020.1.6
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今回は住民税と所得税の違いに関して解説していきます。税金という意味では同じですが、日頃言葉として使う事があまり無いので、区別がつきにくいかもしれません。

そこで今回、中身や制度、計算方法等どんな差があるのかを詳しく解説していきまので、最後までお付き合い頂ければと思います。

住民税と所得税の関係

所得税の納税方法は?

納税の方法に関してですが、サラリーマンと個人事業主とで異なります。サラリーマンの場合は源泉徴収制度といい、給与を支払う企業が代行して納税する仕組みです。ここで用語を解説しておきます。

源泉徴収制度とは、サラリーマン等給与所得者の納税額の精算に関わる手間を簡略化するために、所得を発生させる源泉から一定の税率を差し引き所得税を納税させる為の制度です。この制度によって確定申告を不要する事が出来る為、企業内部は大変ではありますが、従業員は何も気にする事はありません。

毎月の給料から所得税も住民税同様に天引きされている事になります。この天引きは大まかな計算でなされており、最後の12月に1年間の総所得が計算される事になります。この12月の年末調整によって、しっかりと計算され差額の徴収、還付が行われるわけです。

対して個人事業主は翌年の2月16日~3月15日までの期間内に確定申告を行い、税金を納めなければなりません。

この場合申告期限である3月15日までに現金で納付するか、振替納税といって口座から引き落とす場合は4月20日前後(暦によって日付が異なります)の引落に間に合う様に準備しておかなければなりません。

住民税と所得税についてのまとめ

ここまでは住民税と所得税について解説を行ってきました。一旦ここまでを纏めてみたいと思います。

上の表のようになります。税率の違いや納付先も違いますね。次にその違いについて触れていきますね。

住民税と所得税の違い

さて住民税と所得税について解説してきましたが、ここからは大まかな違いについて触れていきたいと思います。税金で身近なもので直ぐに思い出せるのは「消費税」でしょう。その他にはガソリン税や酒税、たばこ税等、生活の中に税は関連しています。

税は国民皆さんの生活サービスや医療、福祉、公共事業等様々な事に使われています。税金無くして生活は豊かになる事はありません。その税の中でも、意外にも身近な住民税と所得税について解説を進めます。どんな違いがあるのでしょう?

  • 納付先
  • 使い道の対象
  • 納税のタイミング
  • 課税対象期間
  • 控除額

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納付先が違う

住民税と所得税では税金を納める先が異なります。住民税は地方税ですので、お住いの都道府県、市区町村に納税しなければなりません。対して所得税は国税です。納付先は税務署、つまり国に納税する事になります。この違いもあり、次の使い道の点でも違いが生まれます。

使い道の対象が違う

住民税と所得税は税金という意味では同義ですが、細かく言うと、住民税は地方税で、所得税は国税に該当します。

よく耳にするのは県が管理している、国が管理しているといった事を聞きますが、住民税は自治体管理の分野で利用され、所得税は国が管理している分野で使い分けられる事になります。

大きな金額になれば、国がいくら使って、県や市がいくら使うといった事をイメージして頂ければ分かりやすいでしょう。

納税のタイミングが違う

前述しましたが、住民税と所得税はサラリーマンの場合は毎月のお給料からの天引きとなりますので、大きな違いはありません。しかし個人事業主となると納付期限が違います。

住民税は6月からの支払いに対し、所得税は申告期限である3月15日まで、若しくは4月20日前後の振替納税期日までとなっております。所得税の方を先に納税し、後に住民税の徴収が始まると憶えておいて下さい。

課税対象期間が違う

1年間の所得に対して課税される事は変わりはありませんが、所得税と住民税では対象期間が異なります。ここではサラリーマンの場合を対象に解説しておきます。

所得税はその年の所得に対して課税される

所得税は、所得が発生すれば早速課税される仕組みとなっていまして、裏を返せば所得が無ければ課税される事はありません。対象期間は収入が発生した月からと憶えておけば問題ありません。源泉徴収され、年末調整で整えられる事を憶えておきましょう。

住民税は前年の所得に対し課税、翌年納税

対して住民税は、前年の所得に対して課税され、翌年の6月より天引きが開始される事になります。昨年まで収入が無ければ、翌年は課税される事はありません。

また年末調整等で還付が受けられるといった性質はありません。課税額が決まったら必ず天引きされる事になりますので、この点も憶えておいて下さい。

控除額が違う

住民税と所得税は共に所得控除というものが存在します。これは課税額を導き出す過程において、所得に応じて控除されるもの、既婚者か独身者で使える控除枠が違うなど、いたるところで違いは出てきますが、計算過程の控除額の違について解説をしていきます。

控除の内訳

所得控除の内訳は次の通りです。

  • 社会保険料控除
  • 医療費控除
  • 雑損控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

上記4つの控除は控除額が住民税、所得税共に変わらないものです。次に挙げる控除は控除額が異なるものになります。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 寡婦・寡夫控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄付金控除

これまで挙げた14の所得控除を使い課税所得を計算します。

所得控除一覧の見方

先程解説した、控除額の異なる10の控除の一覧がこちらになります。

見方として、左側が所得税についての控除額で、右側が住民税の控除額となっており、例えば基礎控除で見て見ると、所得税控除は38万円ですが、住民税となると33万円と控除額が低くなっている事が分かります。

この様に、皆さんの使える控除額は各ご家庭で異なりますので、上記の表を参考にして頂ければと思います。

住民税、所得税を計算・比較してみました

先程の控除の違い等も含め、住民税、所得税の額を比較してみたいと思います。

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事例①年収450万円の場合

次の事例で計算してみます。

  • (夫)会社員:41歳、年収450万円、他収入無し、住宅ローン無
  • (妻)パート:39歳、年収100万円、他収入無し
  • (子)小学校3年生、小学校1年生
  • (条件)生命保険料控除、配偶者控除のみ

上記条件で試算した結果、住民税が163,514円 所得税が81,757円となりました。このケースでは住民税の方が高い事が分かります。

事例②年収800万円の場合

では上記の事例で年収を800万円に上げた場合はどうなるか計算してみました。年収が800万円の場合は住民税が426,380円、所得税が425,260円の結果となりました。年収が約2倍になるとご覧の様に税金がかなり跳ね上がる事が分かります。

事例③年収1,000万円の場合

では年収が1,000万円の場合ではどうでしょうか?試算の結果住民税が584,844円、所得税が742,189円となり、所得税額の方が住民税よりも大きくなりました。先程解説しました、超過累進税率の効果が大きく反映されている事になりますね。

税額控除を利用した場合

ここでは税額控除を利用したケースで試算してみます。税額控除について解説しておきます。

税額控除とは、所得税、住民税の課税額が算出された後に、その金額から更に控除を受けられる制度。所得控除とは異なり、計算の最終段階で控除される事になります。主な控除は住宅ローン控除があります。

では先程の家族構成は変えず、年収、住宅ローンがあるという事で次のケースで試算してみます。

  • (夫)会社員:41歳、年収450万円、他収入無し、住宅ローン控除有
  • (妻)パート:39歳、年収100万円、他収入無
  • (子)小学校3年生、小学校1年生
  • (条件)生命保険料控除、配偶者控除、住宅ローン控除残高2,000万円としてみます。

上記の条件で試算の結果住民税は65,000円、所得税は非課税となりました。先程事例①でご紹介したケースと比較すると、住民税では98,514円節税されており、所得税に至っては81,757円が節税された事になります。

このケースで考えた場合、住宅ローン控除がかなり大きく作用している事がよく分かります。

事例②の条件で住宅ローンがある場合は?

では先程の事例②に住宅ローンを組み込んだ場合どうなるでしょう?年収が800万円になっています。住宅ローンの残高を3,000万円に変更してみます。

試算の結果、住民税は先程の試算と変わらず426,380円、所得税が125,260円になりローン残高の1%の節税効果が発生致しました。この様に、住宅ローン控除を使うと、先に所得税から節税され、使い切れなかった部分が住民税に及びます。

個人事業主の方の住民税と所得税について

ここまでの記事はサラリーマンの方を中心に書いてきました。では個人事業主の場合ではどうなるのかという点について触れておきます。

個人事業主の方は、確定申告で納税額を申告し、納税する事になります。確定申告は所得税の確定申告となっており、本来住民税を申告するものではありません。

しかし、控除額が違うだけで、計算過程は全く同じになります。よって確定申告を税務署へ提出した際に、所得などのデータが自治体に渡り、6月に住民税の納付書が送られてくる事になります。特別何かをしなければならないという事はありませんので、ご安心下さいね。

住民税と所得税の違いに関するまとめ

今回は住民税と所得税の違いについて解説してきました。計算方法は同じでも控除額の違いや使い道、分類等様々な違いがある事がお分かり頂けたかと思います。

また税額控除を利用する事も大きな節税効果がある事もありますので、今後住宅購入をご検討の方はしっかりと税金とシミュレーションを行って頂ければと思います。

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