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5日間で2.5kg減!…自然と食事量が減る「2020年ダイエット新常識」 #17

  • 2020.1.6
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年末年始の暴食でデニムがきつくなってヤバい。なのにハッと気づくとスナック菓子を袋ごと完食して大後悔…。お腹が減っているわけじゃないのにイライラや気分の落ち込みで甘いものやジャンクフードを大量に食べてしまうなんてことはありませんか? 食事制限よりもこの「心の飢え」を満たすことがダイエットに先決というのが“エモーショナル・イーティング(感情摂食emotional eating)”専門の心理学者ファーカス博士。そこで「心の飢え」を治し、憂さ晴らし暴食から脱出する方法をお伝えします。

取材、文・土居彩 看板写真・Yumiko Sushitani

【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 17

今日も残業、はぁー疲れた。予算は厳しいし部長はうるさいし。これからスーパーに寄って食材調達して料理するなんて余力全然無いわ。当然帰ってダニエル・デルプシュ(元フランス大統領専属シェフ)の温かい手料理が待っている、なんてことは無いし。箸持つ気力すら残ってないよ。コンビニにでもとりあえず寄っておくか。

そして「食欲もないからひと口だけ」と買った唐揚げと、「朝ならいいでしょ」とお疲れな毎日のご褒美に朝食用の新作スイーツ。部屋に入ってお気に入りのYouTubeチャンネルや友達のインスタをチェックしていたら、いつのまにか唐揚げを完食。濃厚ホイップがついた新作スイーツのプラスチックの蓋がテーブルに物悲しく転がっているのはなぜ? ぎょ、誰がこれ全部、食べたの? この家には、魔法の小人がいる??

暴飲暴食の罠、エモーショナル・イーティング。

残念ながら、いません。エモーショナル・イーティング(感情摂食emotional eating)という言葉をご存知ですか。それは「お腹が空いた」と体が欲したからではなく、感情のおもむくままに食べること。「楽しいなぁ」「幸せだなぁ」というポジティブな感情で食欲が増す場合もありますし、「ムシャクシャする」「心寂しい」というネガティブな感情で過食のスイッチが入ることもあります。ダイエット外来では特に後者のエモーショナル・イーティング、つまりイライラや気分の落ち込み、不安や孤独感というネガティブな気持ちを紛らわせるための食べすぎを治療します。

ハワード・ファーカス博士は、エモーショナル・イーティング専門の心理学者で 『エモーショナル・イーティングを終えるための8つの鍵(8 Keys to End Emotional Eating)』という本を出版しました(1)。彼はセラピストとして、嫌な気分を和らげるために食べ過ぎてしまう人を何年も診てきて、彼らの性格には共通する4つのパターンがあると言います。それは

ストレス過食してしまう4タイプ。

他の人の気持ちをなだめるために自分の欲求を二の次にし、怒りを感じている。
自分は人生で成功するに値しない人間だと思い、恥をかくことを恐れている。
完璧主義で自分の行動で間違いを犯すことを心配している。
コントロールを失うことを恐れて、ネガティブな感情全てを抑圧している。

これって、世に言う周りを気遣う、真面目ないい人ですよね。このなかでどれかあなたにも当てはまる項目はありますか? ファーカス博士によるとこんな人たちがエモーショナル・イーティングの過食に陥りやすいというのです。

私たちの心は“何かを奪われる”ということに対して抵抗するもの。とくに誰もが根源的に持つ「外部の力に振り回されずに自分で決めたい」という自律性への欲求は手放したくないものです。それはすでに1歳半から3歳頃から芽生え、「なんでも自分でやりたい」とコップから水を飲もうとしてこぼしたりと失敗しながら「できた!」を重ねて子どもの心は大人へと発達していきます。

食事制限によるダイエットは、意志の力で自律性への欲求を抑えるという手法です。そこで当然ながら必死にダイエットの厳しいルールに従っていても、疲れていたりストレスで意志の力が弱まれば、食べるという手軽な憂さ晴らしで「好きに行動できる自分を再認識したい」と無茶食いしてしまうのです。これが俗に言うリバウンド。

ストレスホルモンが食欲をどーんとアップ!

短期的なストレスは食欲を抑制する可能性がありますが、長引くと副腎がコルチゾールというストレス・ホルモンを出して食欲をアップします。そして「丸ごと食べてしまえ!」が蒸し野菜やローカロリーなタンパク源などに素敵なデザートを少し、と淑女のテーブルのようにバランス良ければいいのですが、エモーショナル・イーテイングの場合そうは問屋がおろしません。数多くの研究結果でも「ホッとする食べ物」として選ばれるのは、糖分の多い、高脂肪・高カロリーの食品になりがちです (2)。

ファーカス博士は心の飢えで太ってしまうパターンを克服するには、意志の力を駆使したダイエットではなく、エモーショナル・イーティングという心理状態を終焉することこそが必要だと考えます。

食べ物を良い悪いで判断していませんか?

「痩せたい」目線になると食べ物を「食べても良いヘルシーな食べ物」と「太りそうな悪い食べ物」という分類で捉えるようになります。「食べていいのは良い食べ物だけ」と頭でっかちに食事制限しては、何をどれだけ食べたいのかという体のサインをキャッチできなくなり、エモーショナル・イーテイングの思うツボ。それに対して食べ物にどんな風味や食感がするのか、また空腹や口にする欲求をどう満たしてくれるものなかという感覚に意識的になることで、ひと口の喜びも最大化するのだそう。その結果、少量でも満足度が高まって食べ過ぎなくなるのだとファーカス博士は言います。

お気に入りスイーツで、食べる瞑想を。

ではあなたの大好きなスイーツを五感で味わう「食べる瞑想」(マインドフル・イーテイング)を練習してみませんか。教材費として1粒500円する高級ボンボンショコラを選ぶと「絶対やりとおす!」と本気スイッチが入っていいかもしれません。恐れ多くて二個目の誘惑をそう簡単には受け入れられない感じもいいですよ。

1. スイーツをひとつとり、手のひらにのせます。どんな感触がしますか?
2. 生まれて初めて見るもののように観察してみます。どんな色や形ですか?
3. 少し顔を近づけてみます。どんな香りですか? 今までそれに気づきましたか?
4. 口に含んで舌にのせます。少しずつ味わいが強くなっていきます。唾液が出ます。少しずつ味わいが薄れていきます。噛んでみるとどんな食感ですか?
5. ゴクンと飲み込む音に耳をすませましょう。喉から気管へとスイーツが移動していく様子はどんな感じですか?

これは私がティク・ナット・ハン師というお坊さんに食べる瞑想を習ったときの内容をアレンジしたものです。600人の合宿中は毎食このように全員肩を並べて無言で食べるわけですが、本当にびっくりしたのが日を追うごとに食事量が減っていくのです。私は5日間で2.5キロ体重が減りました。そしてお坊さんも尼さんもファンデいらずのピカピカ肌。

私たちの多くは、コントロールを抑制と同一視しています。しかしファーカス博士は、食べ過ぎないためには別のタイプのコントロール、自律性を目指すべきだと言います。「自律的であることは、自分の責任で処理できる能力と自由を持つことを意味し、外からコントロールされていると感じることはその反対です」。あれを食べちゃいけない、これだけダイエットではなく、“私はこれを食べている”と気づきながら食事することがリバウンド知らず、マインドフル時代の幸せなダイエットの鍵ということなのです。

土居彩

編集者、翻訳者。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を務める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にて、畏怖の念について研究するダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、13世紀の道元禅師を初めて英訳し欧米に伝えた禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)を翻訳中。恩人たちに支えられ続けながら、会社を辞めて渡米奮闘したドタバタな当時の様子を綴ったananweb連載『会社を辞めて、こうなった』も。

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