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「遺言ってどうやって書くの?遺書と遺言って同じなの?」

  • 2020.1.24
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親世代や自分が将来行うであろう、相続に関する手続きは誰しも気になるもの。でもなかなか、必要になる前に学ぶ機会がない方も多いのではないでしょうか?

そこで本シリーズでは、連続して10日間、全10回に渡り、相続・贈与・遺言のエキスパートである税理士の井口麻里子さんに、相続に関する素朴な疑問に答えていただきます。

井口 麻里子さん
税理士
(いぐち・まりこ)税理士。辻・本郷税理士法人相続部に所属。富裕層の大規模な相続から、一般家庭のミニマムな相続、さらには国際相続まであらゆるケースに精通した相続・贈与・遺言のエキスパート。近年はあらかじめ作成すれば、要らぬトラブルを避けられる遺言の啓蒙に力を入れている。井口麻里子のブログ

第2回目は、基本的なことですが意外と知らない、「Q.遺言ってどうやって書くの?」です。

まず知っておきたいのは、遺言の種類には2種類あること

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遺言には2種類あります

まずは遺言の種類を理解しておきましょう。

「遺言には一般的に公正証書遺言自筆証書遺言の2種類があります」

■1:手軽だが不備も多い「自筆証書遺言」

「自筆証書遺言とは、遺言全文、日付及び氏名を手書きする遺言で、自分ひとりで手軽に書くことができ、費用もかからないのが特徴です。2018年民法改正で様式が緩和され、書きやすくなりました。しかし、デメリットが多い点を理解してほしいところです」

(1)自筆証書遺言を書いた後に自宅で保管していた場合は、相続発生後に家裁の検認が必要で、遺言執行に時間がかかる
(2)素人が書くため、遺言の法的要件が不備で、無効となるケースが多い
(3)「本当に本人が書いたのか?」などと、偽造や改ざんのリスクが高く、親族間の火種となりやすい

■2:不備が少なく争いにも発展しにくい公正証書遺言

「一方、公正証書遺言とは、遺言者が口述した遺言を公証人が筆記して公正証書により作成する遺言です。公証人という専門家が作成してくれるため、法的要件の不備で無効になる心配がなく、相続発生後は家庭裁判所での検認も不要である点がメリットです。

さらに大きなメリットは、公証人の他に証人2名以上の立ち会いが必要であるため、遺言者の認知能力等につき疑義の入る可能性が低い点で、さらに遺言原本は公証役場で保管するため、改ざんのリスクもありません

また、証人2名はお友達や知人に頼む必要はなく、公証役場にお願いすれば、証人一人あたり6,000円程度の手数料で用意してくれます。人に遺言内容を知られたくない、と躊躇していた方は、抵抗感が少なくなったのではないでしょうか?

2020年7月10日(金)より、法務局における自筆証書遺言保管制度が始まりますが、遺言の内容についてアドバイスしてくれるわけではありません。基本的にはあくまで保管してくれるだけですので、やはり専門家と内容を検討した公正証書遺言がおすすめである点は、従来通り変わりません」

「遺書」とは違います!「遺言」の書き方

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遺言の書き方のポイントを知ろう

続いて、具体的に遺言の書き方を井口さんに教えていただきました。

「遺言は、自分の財産をどうしたいかを具体的に指示するツールと心得ましょう。感謝の気持ちや、恨みつらみだけ書いたものは、法的な意味の『遺言』ではなく『遺書』です」

公正証書遺言の場合

「公正証書遺言の場合は、直接公証役場に遺言を書きたい旨を伝え、手続きをするアポイントメントや必要書類について指示に従うか、税理士等の専門家に相談し、内容面も熟慮して原案を作成してもらい、公証役場へ連れて行ってもらいます」

自筆証書遺言の場合

「自筆証書遺言の場合は、紙とペンを用意。自分の財産について誰にどのように残したいかを、基本的に全文自筆で記載します。ただ先述のとおり、民法改正により財産目録については、ワープロで作成してもOKとなるなど、一部緩和されました。

『この財産は誰に』とひとつひとつ詳しく書きます。預貯金だけは分けられるので『何分のいくつは誰に』という書き方もOK。併せて相続人や親族への想いなども書くとよいです。

そして、遺言作成日が特定できるよう、日付を記載します。このとき注意したいのは『令和2年1月吉日』では特定できないため無効となってしまうこと。例えば『令和2年1月17日』と具体的に書きます。

内容を書き終えたら、署名押印します。印鑑は必ずしも実印である必要はありませんが、後々の火種を残さないよう、実印を押印し、併せて印鑑証明書も一緒に保管しておくとベターでしょう。

また、用紙が2枚以上に及ぶ場合は、ホッチキスで綴じて契印をし、封筒に入れて封をします。表に『遺言』と書き、裏に自分の名前と『開封せずに家庭裁判所へ持参すること』と記載しておきましょう」

子どものいない夫婦は、お互いに遺言を書き合うのがおすすめ

ところで、遺言の書き方に関連して、井口さんはこんなことも教えてくれました。

「子どものいないご夫婦の場合、片方の配偶者が亡くなると、残された配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人になることが多いです。このとき、故人の親や祖父母が既に死去していると仮定します。

兄弟より配偶者に相続させたい、と考える方が多いので、その場合は夫婦がお互いに遺言を書き合うことをおすすめしています。故人の兄弟には遺留分がないため、『全財産を妻へ(夫へ)』と遺言を書き合っておけば、何の話し合いも必要なく、遺言通りに全財産を配偶者へ渡してあげられます」

今回は、遺言の書き方について教えていただきました。やがて来たる、自分の親や自分のためにも、覚えておきましょう。

相続について学ぶ全10回シリーズ、明日は「遺言は自宅保管ではダメなのはなぜ?」という疑問にお答えしていきます

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