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目覚めよ知性! 『VOGUE』エディターが「示唆を得た」愛読書5選。【VOGUE BOOK CLUB】

  • 2019.12.24
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『シャネル ザ・ファッション』エドモンド・シャルル=ルー著/新潮社

フランスの権威あるゴンクール文学賞受賞作家で、仏版『VOGUE』編集長を16年間務めた著者による、史上もっとも詳細なココ・シャネルの伝記。農村出身のココがその精神を持ち続けながらデザイナーとして大成していく物語のみならず、ココを知る人々への十数年に及ぶ綿密な取材をもとに、その激動の人生を淡々と描く語り口がかっこいい。歴史的、地理的、文化的文脈からファッションを紐解く面白さに満ちた、教科書的存在です。(渡辺三津子)

『子どもたちの階級闘争』ブレイディみかこ著/みすず書房

知識を更新するためのコンテンツが世にあふれるなか、この本に詰まっているのは著者の知見。英国の底辺託児所の保育士ではない一読者の私にとっては所詮疑似アップデートでしかないけれど、客観性と人間愛に貫かれたグルーヴィかつ緻密な文章が、そこにあるリアルな社会に立たせてくれる。政治の怖さや社会の底力とともに、「経験に勝る知はなく、そこに思考と考察と行動が並走すると、その知は最強」と教えてくれるA級社会学書。(松本野花)

『FIND YOUR WHY あなたとチームを強くするシンプルな方法』サイモン・シネック、デイビッド・ミード、ピーター・ドッカー共著/ディスカヴァー・トゥエンティワン

自分探しならぬ「なぜ」探し。「本質的」という言葉が好きな私が、半信半疑で手に取った一冊。何になりたいかではなく、「なぜ」それをしたいか。誰もが抱える人生の問いに対し、生物学にも適ったシンプル(かつ目から鱗!)なセオリーで各々の「なぜ」へと導いてくれる。そう、とても本質的なお話でした。リーダー論の視点から実践的手引書としてまとめられていますが、誰もが探すべき「なぜ」と、その理由が示されています。(浜野静恵)

『“複雑なタイトルをここに”』ヴァージル・アブロー著/アダチプレス

多数のプロジェクトを同時進行でこなす「超仕事人」、ヴァージル・アブローが2017年にハーバード大学で行った講義録。Tシャツとフーディーからスタートした彼は、ストリートとモードを分断する「直線」ではなく、どちらをもまたぐ「ジグザグ線」を引きたいと語り、「凝りすぎないことが大切」と説きます。「完璧の追求」より「常時更新」に価値を置く姿勢はテック起業家的で、ゆえに業界は彼のような変革者を求めるのかと納得します。(名古摩耶)

『モードの迷宮』鷲田清一著/ちくま学芸文庫

「衣服とは一体なに?」─モード誌の編集に携わっていながら、そんな根源的な問いへの答えを見出せずにいた私。「これじゃいけない!」と手に取ったのが、日本におけるファッション論の草分け的存在の著者による本書でした。ここで浮き彫りになるのは、裏切りと矛盾に満ちたファッションというディスプロポーション(不均衡)な存在。名だたる哲学者の引用を豊富に織り込みながら展開される鋭い分析がモードの深淵へと導きます。(中野愛理)

Illustration: MARCO(POCKO) Editor: Maya Nago

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