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子どもを産んでも夫を憎まないために。夫婦のミゾに落ちない結婚と育児

  • 2019.12.23
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「子どもが生まれるまでは違ったのに…」

夫婦関係の分岐点を“子どもが生まれるまで”と捉える男女は少なくないはず。

母親として育児や家事に追われる毎日のなかで、気づけば夫の存在が心のなかで不在になっていたり、逆に家族のためにと仕事に打ち込んでいるうちに、いつの間にか夫として父親として家族から孤立していたり…

幸せになるための家庭という場が苦しみの原因を作ってしまうことさえあるのです。

ならば、子を産み、育てながら、家族として幸せに生きていくためにはどうしたらよいのか?

そんな難題に真正面から向き合ってくれるのが、男女のパートナーシップについて漫画でわかりやすく描いた『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(KADOKAWA)です。

著者である渡辺大地さんの実体験を元に、2人の男女が出会い、結ばれ、家族となり、その後のさまざまな課題に直面しながら乗り越えていく姿は目からウロコのヒントにあふれています。

<著者 渡辺大地さん>

「株式会社アイナロハ」代表取締役。「産後サポート ままのわ」事業を運営し、受講者累計1万人以上を突破する父親学級の講師も務める。著書に『赤ちゃんがやってくる!~パパとママになるための準備カンペキBOOK~』、『産後が始まった!』(KADOKAWA)、 『産後百人一首』(自然食通信社)、 『お産とオッサン。-SANGO ON FIRE!-』、「産後手帳」シリーズ(アイナロハ)、『ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方』(医学書院)など。


■結婚前からこんなに違う男と女の頭の中
現在、一男二女の子どもをもうけ、家族5人で暮らす渡辺家。順風満帆に3人の親となり、家族円満の日々を過ごしてきた…というわけではなく、一人目出産後には育児に対する夫婦のすれ違いにより離婚危機を経験したという夫の大地と妻のコトミ。

そんな経験をふまえ、産後の問題はけっして「子育て」の問題だけでなく、「夫婦のあり方」が重要であると説き、産後を乗り越え、家族のつながりを深めるための「パートナーシップ」ついて書かれたのが本書です。

ストーリーは、さかのぼること大地とコトミのなれそめから始まります。

コトミからの逆ナンをきっかけに出会った2人は、その後交際に発展し、同棲期間を経て、結婚。

知り合いから恋人へ、そして夫婦になるまでの一連の流れを描いた第1章では、2人の男女がお互いの価値観や習慣の違いに初めてぶつかり、自分の「普通」とパートナーの「普通」の違いについて学んでいきます。

家計への考え方やもらってうれしいプレゼントの違い、帰宅時間を連絡する・しないなど些細なことで喧嘩が絶えない2人。



考え方の違いは、他人だからこそ当たり前。

しかし問題は、「帰宅時間を連絡する男はダサい」という思い込みにとらわれる大地が、ご飯を食べず大地の帰宅を待っているコトミの気持ちに気付かないことです。

結果的にコトミの言葉により、パートナーとの考えの違いを認識し、相手を尊重することを学んだ大地ですが、そもそも自分とは違う考えを受け入れたり、気持ちに気付いたりすることは容易なことではありません。

しかしお互いを理解し、気持ちを知るためのカギを握るのが、「パートナーとのコミュニケーション」なのです。

面倒であっても会話をきちんと交わすことが、パートナーに対して興味関心を示すことであり、課題解決には必要不可欠であることを本書はまず訴えます。

さらに結婚に対する価値観が異なる大地とコトミがそのハードルを乗り越えられたのもまた、話し合いにより「こうあるべき」の思い込みを取り除くことができたからでした。



大地が結婚への勝手な思い込みで自分をがんじがらめにして身動きがとれなくなった時、問題解決に導いてくれたのはコトミによる新しい価値観の提案でした。

パートナーとの違いを認め、受け入れるのはとても難しいことです。しかし自分にはない新しい考えによって時に救われたり、人生の選択肢を広げてくれたりするのも、また事実なのです。


■なぜ夫を嫌いになるのか? 夫婦に待ち受ける深い落とし穴

産後、急激に夫婦仲が悪化する状況を指す「産後クライシス」。

本書のコトミと大地も第一子誕生を機に夫婦のすれ違いを起こし、まさに産後クライシスの状況に直面します。

しかし大地は自称イクメンを名乗り、「よいパパ」であることを信じて疑わないため、夫婦の危機にももちろん気付かない状況…。




夫がよかれと思ってやっていることがすべて裏目に出てしまっている状況のなかで、夫を頭ごなしに否定することもできなければ、「子育ては母親の仕事」という思い込みから、夫の助けを求めることもできないコトミ。

このまま話し合いもなく、すれ違っていくことを恐れたコトミはあることを思いつきます。



夫婦会議とは週1回1時間、テーマを決めて夫婦で軽い話し合いをするというもの。

子どもが生まれて、夫婦の会話が子ども中心になった生活に危機感を抱いたコトミが発案した夫婦のコミュニケーションの場でした。

愛し合って結婚したはずの2人が皮肉にもわが子の誕生をきっかけに歯車が狂い出し、完全に冷めた関係に陥る…。これはけっして珍しいことではないのではないでしょうか。

むしろ夫婦関係の落とし穴はすぐ足元まで迫っていることも…。

問題は育児や仕事、それぞれの忙しさを理由に向き合うことから逃げ、取り返しのつかないほど2人の時間を逃していると当人同士が全く気づかないこと。

ちょっとした話し合い1つで解決できた問題を、余裕がないことを言い訳に面倒なことから逃げ続けた結果が、修復不可能な夫婦関係なのです。

夫婦のコミュニケーションは、子を授かった幸せを大切に守り続けるためにも絶やしてはいけない夫婦の必須事項であることを、あらためて本書を通して知ることができます。


■思い込みからの解放!息苦しくない家族のあり方

2人だけの世界に浸れた恋人期間とは異なり、結婚には家同士のつながりが生まれ、義父母との付き合いに頭を悩ませることも…。

家庭ごとに文化が異なるため、義実家とはまさにアウェイの地。

なじみのない習慣や考え方にどう対処すればよいかは、なかなか難しい問題でもあります。



「家事は女がするもの」という家庭に育ったコトミに対して夫婦平等の考えを持つ大地。対して実家からの連絡がほとんどない大地の家庭とは真逆なほど家族との関わりを重要視するコトミ。

生まれ育った環境が異なることで、意見を衝突させることもしばしば。

人は異質なものに対してつい「普通は…」と自分ルールで相手をねじ伏せたい気持ちになるけれど、「普通」の定義は人それぞれなのです。



価値観に正しさを突きつけることはお互いにとって息苦しいだけの結果を招いてしまいます。

結局大切なのは、違いを認め合い、受け入れること。

そして違うことに良し悪しの評価を持ち込まないこと。

なぜなら“家族は味方”だからこそ、相手を非難し、傷つ合うことで何も生まれないからなのです。



夫婦は合わせ鏡と言われるようにパートナーとの関係は、今の自分の姿を映す鏡でもあるのです。

夫にイライラしたり、妻の存在を面倒に感じたり、相手を非難し嫌うことは、その相手を選んだ自分自身を罵り、否定しているのと同じ。

そして相手と向き合うことから逃げることは、自分の弱さから逃げていることでもあるのです。

子どもが生まれ、一筋縄にはいかない育児のなかで、よりよい夫婦関係を築くのは容易なことではありません。

しかし、よりよきパートナーシップへの挑戦は、自分自身と向き合い、新しい自分とも出会うきっかけとなるもの。

夫婦、家族という小さな共同体の場で、私たちはそれぞれの成長を促され、弱い自分に立ち向かう勇気と覚悟を試されているのかもしれません。


まだ「イクメン」が珍しかった2014年に発売、“パパ目線の産後クライシス”のリアルなエッセイとして話題となった『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』の第2弾。著者が実体験を通じて考え、学び、たくさんのファミリーの悩みを解決して確立した、さまざまな家族の問題を乗り越えるための「夫婦のパートナーシップ学」を解説します。
●公式HPアイナロハ
●Instagram:@ainaloha2011
●Twitter:@ainaloha2011

(倉沢れい)

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