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ついに国会で「レイプ犯はあなた」が歌い踊られる、世界を圧巻するその歌詞を【全訳】

  • 2019.12.18
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「The Rapist is You(レイプ犯はあなた)」と歌いながら踊るムーブメントが、世界の各都市で巻き起こっている。(フロントロウ編集部)

「レイプ犯はあなた」チリ発の曲が世界に飛び火

今年2019年11月に、南米の国チリで社会的格差や経済格差に声をあげた女性たちは、性暴力やレイプ問題にも抵抗するため、「A Rapist in Your Path(そこにいるレイプ犯)」をテーマ曲として選んだ。

この曲は、チリのフェミニストによる演劇団体ラス・テシスによって作詞されたもので、アルゼンチンの思想家であり人類学者のリタ・セガート氏による「性暴力とレイプは、モラルの問題ではなく、政治的問題として語られるべきである」という理論のもとに制作。女性の問題を深刻に扱わない警察や政府、被害者に責任をなすりつける風潮を批判している。

「A Rapist in Your Path」歌詞

「家父長制は裁判官/私たちが生まれたことを批評する/私たちの罰は あなたが見ないその暴力
家父長制は裁判官/私たちが生まれたことを批評する/私たちの罰は あなたがすでに見たその暴力
それはフェミサイド(※)/殺人犯への罰はない/それは雲隠れ/それはレイプ
そしてそれは私の責任ではない/私がどこにいたか/なにを着ていたかの問題ではない
そしてそれは私の責任ではない/私がどこにいたか/なにを着ていたかの問題ではない
そしてそれは私の責任ではない/私がどこにいたか/なにを着ていたかの問題ではない
そしてそれは私の責任ではない/私がどこにいたか/なにを着ていたかの問題ではない
レイプ犯はあなた/レイプ犯はあなた/それは警察/それは裁判官/それは国家/それは大統領
抑圧的な国家は 男性のレイプ犯そのものだ/抑圧的な国家は 男性のレイプ犯そのものだ
レイプ犯はあなた/レイプ犯はあなた
静かに眠る 純粋な少女よ/甘い笑顔の夢のために 悪党の心配なんかせずに/恋人の警備兵を見なさい
レイプ犯はあなた/レイプ犯はあなた/レイプ犯はあなた/レイプ犯はあなた」

※フェミサイド:女性が女性であることで標的にされる殺人。

この曲とパフォーマンスは世界中の女性たちの間で急速に広がり、チリのほかにも、メキシコ、コロンビア、インド、スペイン、フランス、イギリス、ベルギーなどの国々で多くの女性たちが参加する事態となっている。

トルコでは国会で女性たちが歌う

トルコでは、2019年に約430人の女性がフェミサイドの犠牲になり、過去10年では約2,600の女性が犠牲になっていることが、We Will Stop Femicideの調査で明らかになっている。

そんなトルコでも、近年世界で活発になるMetooムーブメントやThe Rapist is Youムーブメントを受けて、多くの女性たちがプロテストに参加。そんななか、トルコの最大野党である共和人民党の女性議員たちが、国会で内務大臣を前に、「A Rapist in Your Path(そこにいるレイプ犯)」を歌い踊った。

これに参加したのは女性だけでなく、男性議員たちも女性議員の後ろで、過去に殺されてしまった女性被害者の顔写真を掲げ、国民民主主義党も女性議員たちのアクションをサポートした。

裁かれない性加害者が世界的問題に

「A Rapist in Your Path(そこにいるレイプ犯)」でも歌われるように、性犯罪では、司法が加害者をきちんと裁かないことが問題になっている。

日本では、2019年に3月に静岡で12歳の娘を過去2年間にわたりレイプしていたとされる実父が無罪判決となっており、さらに4月には当時19歳の娘を複数回レイプした実父も無罪判決となっている。また、ジャーナリストの伊藤詩織氏が安倍晋三首相と親しい大御所ジャーナリストにレイプされたと訴えた2015年の事件では、警視庁本部の当時の刑事部長からの指示で逮捕が取りやめとなっていたことが発覚し、政治関係者からの圧力が疑われた。

画像: 裁かれない性加害者が世界的問題に

2015年のイタリアでは、レイプ被害者の容姿が魅力的でないという理由で、レイプの証拠があったにもかかわらず男2人に無罪判決を出し(※)、2016年にはアメリカで、女性をレイプした大学生の男が司法取引の末に4万円だけ支払い、性犯罪者リストに登録されることもなければ、前歴や前科がつくこともない結果に。2017年にはイギリスで、レイプ被害者がレイプキットを使った証拠を提出したにもかかわらず、その態度が「しっかりしている」という理由から犯人が不起訴になったり、2018年にはアイルランドで、レイプ被害者がレースのTバックの下着を着用していたことで加害者に無罪判決が出されたりと、司法による性犯罪への対応には問題があることが、世界各国で浮き彫りとなっている。
※国内外から批判が集まり、最高裁が裁判のやり直しを要請。再審は、当初の担当州ではなく、別の州で行なわれることとなった。

2017年にMetooムーブメントでセクシャル・ハラスメントの被害が次々と告発されてから約2年、女性に対するハラスメントや差別に対する批判は拡大を続けており、今回は「The Rapist is You(レイプ犯はあなた)」という歌と踊りという形で、司法や国のアクションが求められている。(フロントロウ編集部)

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