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月礼拝とは何か【動画で学ぶポーズとやり方】アンガーマネジメントにも効果があるヨガシークエンス

  • 2019.12.3
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月礼拝とは何か:現代人は活性化しすぎている

競争社会に生きるアメリカのヨギたちは、体をエネルギーで満たし、筋肉を鍛える練習に魅了されているようだ。実際、欧米でもっとも盛んに行われている練習は間違いなく、究極の発熱シークエンスとも言える太陽礼拝だ。サンスクリット語ではスーリア・ナマスカールと呼ばれるが、直訳すれば「太陽に頭を垂れる」となる。両腕を引き上げたら前屈し、背骨を伸ばしてから後方にジャンプしながら、太陽エネルギーを体内に吸収していく。体のすべての部分を余すところなくストレッチし、引き締め、そして温める。
しかし、疲れ切ったり、興奮しすぎたり、活性化しすぎたときは、太陽礼拝には月礼拝(チャンドラ・ナマスカール)という姉妹のシークエンスがあることを思い出そう。名前が示すように、月礼拝は鎮静効果のあるシークエンスであり、頭を垂れて心地よい月のエネルギーを体内に満たすのだ。
「この種の練習は、ストレスを抱えている男性にも女性にも効果があります」と語るのは、プラナフローヨガの創始者であり、ここでシークエンスのモデルも務めているシヴァ・レイだ。「疲労困憊になる前にエネルギーバランスを調整するのに最適な方法です」。レイが月礼拝を初めて学んだビハール・ヨガスクールでは、シークエンスの前後に瞑想を行い、さらにポーズごとに月エネルギーに関係したマントラを唱えるように指導している。

月礼拝で月のパワーを取り入れよう

月礼拝は太陽礼拝ほどには知られていない。というのも、月礼拝には太陽礼拝のような長い歴史がないからだ。このシークエンスが考案されたのは、おそらく20世紀後半だろう。1960年代にヨガの専門学校として創設されたビハール・ヨガスクールは、69年に刊行された『アーサナ、プラーナヤーマ、ムードラ、バンダ』で初めて月礼拝を紹介している。(ちなみに、クリパル・ヨガセンターは、80年代に月礼拝のバリエーションを発表している)
しかし、元気回復のために月を仰ぐという考えは決して新しいことではない。事実、約500年前のタントラ(ヨガに先行するインドの実践哲学)の教本『シヴァ・サムヒタ』では、月は不死の源泉と記されている。『アルケミカル・ボディ』(デヴィッド・ゴードン・ホワイト著)の中で、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の宗教学の教授が、タントラの実践者は、「太陽」はみぞおちに位置し、「月」は頭頂に位置すると信じていたと指摘している。月は「聖なる不老不死の甘露」というアムリタ(またはソーマとも呼ばれる)を包含し、それは活力あふれる雨となって地上へ降り注ぐと考えられていた。腹部に宿る灼熱の太陽はヨガの実践プロセスを誘導していくのに重要だったが、その熱はまた時間とともに老化、腐敗、そして死へと至らしめるものだった。このプロセスを食い止めるために、ヨギたちは逆転のポーズやムドラ(引き締め、または印)などを実践することで、アムリタを生成し、保存しようとした。このように逆転のアクションは、下部のチャクラから上部へと生命維持に必要な液体を送り込み、頭頂においてそれはアムリタに変換されるという。
この秘伝的な教えを現代的なハタヨガに応用すれば、太陽礼拝は体を温めて内的な炎と情熱をかき立てることでヨガの実践プロセスを誘導し、より深くヨガの修練に打ち込めるだろう。一方、月礼拝は私たちに体を鎮静させる方法を教え、それはまた生命エネルギーの補充に役立つのだ。「つまり、私たちは自分自身の体内でソーマを生成できるということです。それは瞑想と月のサダナ(練習)を通して培えるのです」とレイは言う。
古代のヨガの教本によれば、体には温めるエネルギーと冷やすエネルギーがあり、ヨガとプラーナヤーマ(呼吸法)によって両方のエネルギーのバランスと調和が保たれるとされる。そうして体に対して悟りの境地への準備を整えさせるのだ。長年、活力溢れる太陽礼拝の練習をしてきたレイは、月礼拝の定期的な練習によって自分自身が変わったことを認めている。「個人レベルでは、月礼拝によってより広い視点を持てるようになりました」と彼女は言う。「私たちはみな自分のエネルギーの満干を感じることができます。そして今、私にとって両方とも同じく価値あるものです。私は低エネルギーを否定的なものではなく、より瞑想的なエネルギーだと思っています」

音楽や照明、時間帯にこだわって、ムードを盛り上げよう

レイによる月礼拝のシークエンスは、太陽礼拝とすべて異なるわけではない。しかし、その目的、ペース、動きの性質は完全に異なっている。月エネルギーを高めるために、レイは時間をかけて練習の雰囲気を意識的に盛り上げることをすすめる。できれば、月の見える場所で練習するか、天気がよければ夕方、屋外で練習してみよう。屋内なら、照明を落とし、キャンドルを何本か灯し、子宮の中のように安心できる環境を演出してみよう。癒し系の心地よい音楽もムードづくりに役立つだろう。自分にとって何が効果的か試してみよう。
月礼拝に入る前に、月光瞑想によって月とのつながりを深め、内側に意識を向けて練習における感受性を養おう。さらに内側への集中力を高めるために、ポーズからポーズへ移るときに伝統的な月のチャンティング、「オーム ソーマヤ ナマハ」を繰り返してもいい。
一つひとつの動きの性質に特別な注意を払おう。素速く動いたり、太陽礼拝でやるようにジャンプしてポーズに入ったり出たりすることなく、まるで水中を動いているかのように、ゆっくり動いてみよう。また、ポーズの中で自発的な動きを加えることもできる。たとえば、発熱を促す後屈であるコブラのポーズにすぐ入っていく代わりに、両肩を後ろへ回転させ、左右にゆすってから、あなたなりの自然なコブラのポーズにたどり着いてもいい。レイはこれをサハジャ(「生来の」「自発的な」という意味)と呼び、「生来の内なる叡智に耳を傾けたときに生まれる自発的な動き」と表現する。
可能なら、月礼拝は夕方に練習してみよう。太陽礼拝は伝統的に日の出とともに行われていた。それは太陽に畏敬の念を表し、一日の始まりに体をウォームアップする方法だった。であるなら、月礼拝を月が出ている夕方から行うのも理にかなっている。安眠の準備に最適の手段であるだけでなく、ヨガの指導者でヨガジャーナルの定期寄稿者でもあるリチャード・ローゼンが指摘するように、日の出と日没はハタヨガの練習に最適の時間帯だと考えられてきた。
「この時間帯には、明るさと暗さのバランスがとれています。昼でも夜でもない。あなたはその2つの交差点にいるのです」とローゼンは説明する。「これはあなたの体の内面にも影響します。つまり、あなたの温かいエネルギーと冷たいエネルギーもまたバランスがとれた、練習するのにふさわしい時間帯なのです」

生理中の女性にもおすすめ

一日の時間帯に加えて、練習する時期も考慮しよう。レイは、新月、満月、下弦の月(満月から14日目)から2、3日を選ぶことをすすめる。「生理中の女性にとって、月礼拝は低エネルギー日の鎮静薬になりえるんです」とレイは付言する。
もっとも大事なことは、ゆっくり動くことだ。太陽礼拝でやるように吸う息または吐く息にシンクロさせる必要もない。とにかく、丹念につくられた食事と同じように練習を十分に味わい、そして意識を今だけに集中しよう。
「この練習は、応急処置的なものではありません」とレイは言う。「ゆっくりと動き、ポーズに目標を持たないアーサナを通して流れていくことは、たとえ20分間であっても、心身の回復やありのままの自分を受け入れる能力という点では、驚くような波及効果が生まれます。重要なのは、どれだけ長くやったかではなく、心の在り方の質なのです」

月礼拝のやり方(月礼拝のシークエンス)

ヨガジャーナルオンライン(@yogajournalonline)がシェアした投稿 - 2018年 3月月9日午前12時54分PST

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1.礼拝の印:アンジャリ・ムドラのバリエーション
月礼拝 アンジャリ・ムドラ
(Photo by JASPER JOHAL)

両足を腰幅に開き、両手のひらを上に向け、小指同士をつけて、「すべてを手放し内なる声に耳を傾ける」ムドラ(印)を組む。

2.胸を開くポーズ:立位のアナハターサナ
月礼拝 胸を開くポーズ
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吸いながら両腕を広げ、吐きながら両手を仙骨の上にのせる。息を吸いながら胸とお腹を引き上げる。このポーズと次の月の立位前屈を交互に3回繰り返す。

3.月の立位前屈
月礼拝 立位前屈
(Photo by JASPER JOHAL)

前屈して膝をゆるめ、首をリラックスさせる。胸を太腿に寄せて、手のひらは床につけて上に向ける。背骨を通して緊張を解きほぐす。

4.ハイランジ
月礼拝 ハイランジ
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吐きながら左足を後方にステップしてハイランジになる。前脚(右)の膝を直角に曲げ、後ろ脚の左足かかとを後方へ押し出す。

5.月のヴィンヤサの花蜜Ⅰ
月礼拝 月のヴィンヤサの花蜜
(Photo by JASPER JOHAL)

ハイランジから、息を吸いながら右腕を頭上にあげ、両脚を時計まわりに回転させていく。前脚の膝は直角に保ち、後ろ脚は横向きのプランクポーズとなる。

6.月のヴィンヤサの花蜜Ⅱ
月礼拝 月のヴィンヤサの花蜜2
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吐きながら右手を後方へ回し、体側から後ろ脚のほうまで伸ばしていく。胸を開き、両肩を平行に保ち、脚を引き締める。ソーマチャンドラーサナのⅠとⅡを2回以上繰り返す。

7.自発的に流れる半分のスクワットへの移行
月礼拝 半分のスクワット
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吸いながら全身を反時計まわりに大きく回したら、両足を広げて平行にする。

8.自発的に流れる半分のスクワット
月礼拝 半分のスクワット
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吸いながら左膝を曲げ、右脚をまっすぐ伸ばす。背骨は長く伸ばす。息を吐きながら脚の内側から骨盤底へとエネルギーを集め、流れるように体を左側へ運んでいく。今度は同じように右側へ戻る。両腕と上体を海の中で揺れる海藻にように動かしながら、この往復運動を2回以上繰り返す。

9.ハイランジ
月礼拝 ハイランジ
(Photo by JASPER JOHAL)

左脚のほうへ体を移動させてハイランジになり、前脚(左)の膝を直角に曲げ、後ろ脚の右足かかとを後方へ押し出す。

10.板のポーズ
月礼拝 板のポーズ
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吸いながら左足を後方へステップして板のポーズへ。肩の真下に両手を置き、コアを引き締め、頭頂から尾骨、かかとまで長いエネルギーラインを保つ。

11.胸を開くポーズ
月礼拝 胸を開くポーズ
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吐きながら両膝を床につけ、お腹に力を入れる。両腕を肩幅に開いて両手を前方へと歩かせ、胸を地球にあずけて解き放つ。

12.自発的に流れるコブラのポーズ
月礼拝 コブラのポーズ
(Photo by JASPER JOHAL)

肩の下に両手を置いて胸を引き上げ、左右の肩を交互に回して首の力を抜く。背骨を自由気ままに流れるように動かす。

13.喜びに満ちたダウンドッグ
月礼拝 ダウンドッグ
(Photo by JASPER JOHAL)

息を吐きながら、月の感覚を持って流れるようにダウンドッグになる。かかとを上下させて足踏みをしながら、腰や背骨などを自由に動かす。あごの力を抜き、首も自由に動かす。そうして解き放たれた犬のように湧き上がる喜びを感じてみよう。

14.3本足のダウンドッグ
月礼拝 ダウンドッグ
(Photo by JASPER JOHAL)

通常のダウンドッグでとどまり、数呼吸する。息を吸いながら右脚を空に向かって伸ばし、息を吐きながら右脚を左脚の隣に下ろす。息を吸いながら左脚を空に向かって伸ばしたら、今度は左脚を前方へ運び入れてハイランジになる。

15.ハイランジ
月礼拝 ハイランジ
(Photo by JASPER JOHAL)

ハイランジで息を吸う。息を吐きながら、腰をゆっくり左右に振ってのんびり歩くように右足をマットの先端まで運んでいく。

16.月の立位前屈
月礼拝 立位前屈
(Photo by JASPER JOHAL)

両足を合わせるか腰幅に開いて、月に頭を垂れるように前屈する。両腕は地上にしっかり垂らし、両手のひらは上に向ける。

17.立位の胸を開くポーズ
月礼拝 立位の胸を開くポーズ
(Photo by JASPER JOHAL)

立ち上がって両手を仙骨の上に置く。両足を地面に安定させたら、両脚から胸、頭頂へと伸びていく。あごをリラックスさせる。月の花蜜のしずくを受け取るように口蓋(口腔の天井部分)をゆるめる。

18.礼拝の印:アンジャリ・ムドラのバリエーション
月礼拝 アンジャリムドラのバリエーション
(Photo by JASPER JOHAL)

サイドを変えるときに内省する時間をとろう。片側のシークエンスが終わったら、最初の礼拝の印に戻り、献身、感謝、平和への願い、万物の平安などに祈りを捧げよう。

※反対側でも同じように全シークエンスを行ってみよう。今度は右足を後方にステップしてハイランジに移る。

Story by Andrea Ferretti
Photos by Jasper Johal
Sequence and model by Shiva Rea
Translated by Moe Ide
yoga Journal日本版Vol.21掲載

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