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【医師監修】妊娠32週の壁とは? 胎児やママの様子はどうなる?

  • 2019.11.22
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いよいよ妊娠9カ月に突入する妊娠32週目。妊婦生活もあとわずかとなり安心する一方、ますます大きくなったおなかを抱えてマイナートラブルに見舞われるころでもあります。

妊娠32週とはどんな時期であるのかを知り、少しでも快適に過ごせるように工夫しましょう。

【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生


小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。

著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。


■妊娠32週の胎児の様子

赤ちゃんの成長度合い


妊娠32週ごろの胎児は、体重1368~2243gにまで成長しています。平均体重は1805gです。体長は42~47センチ程度なのですが、なんとこれはパイナップルほどの大きさ! 赤ちゃんは、おなかの中でそれほど大きくなっています。

妊娠28週のときにピークを迎えた羊水の量が徐々に減ったことや、赤ちゃんがますます大きくなったこともあり、子宮内で赤ちゃんが動くスペースも狭くなってきます。

このころになると内臓の器官ができあがりつつあり、妊婦健診時のエコーでは心臓の弁が動いている様子が見られることもあります。

参考サイト:日本産婦人科学会「胎児計測と胎児発育曲線について」

皮下脂肪がつき始める


32週になると胎児には皮下脂肪が増えます。これによりしわがなくなり、ふっくらとした体つきに。皮下脂肪が増えたことで、ガラスのように透けていた赤ちゃんの肌もツヤのあるピンク色へと変化。また、髪の毛やつめも伸びてくるので、胎児とはいっても、ほとんど新生児と変わらない見た目になります。

32週の壁とは? 早産のリスクと関係がある


妊娠27週から37週未満で赤ちゃんが生まれることを早産といい、もし32週の時点で出産した場合は早産にあたります。早産で生まれた赤ちゃんは、命の危険や合併症を起こす可能性も。

しかし、医療の発達によって助けられる赤ちゃんも増えてきました。一般的に出生時の体重が1500gあればリスクが少なく、2000gにもなれば正産期に生まれた赤ちゃんとほぼ変わらずに成長することが多くなってきました。32週の赤ちゃんの平均体重は約1800gですから、この例に該当します。



しかし、在胎期間が短いとそれだけ小さく生まれるということ。早産で生まれた子どもが標準的な発育をしている子どもと同様に成長するまでには時間がかかります。

1歳の時点で追いつけるのは、32週未満なら21%、32週から37週未満なら69%です。誕生後の発育状況を考えると、同じ早産でも妊娠32週がひとつのポイントになるといえるでしょう。

早産の原因で多いのは、細菌性ちつ症や子宮けい管無力症です。妊婦健診で発見でき、治療すれば早産を防ぐこともできるので、リスクを減らすためにも2週間に1度の妊婦健診は必ず受けましょう。

参考サイト:厚生労働省「低出生体重児の訪問指導に関する研究 低出生体重児保健指導マニュアル~小さく生まれた赤ちゃんの地域支援~」







■妊娠32週のママの様子

ママの変化


よりいっそうおなかが大きくなる時期。ママの体重の増え方が気になりますが、妊娠前の体重プラス6~7kg程度が目安です。もちろん、妊娠前のママの体重にもよるので、あくまで参考程度に。

おなかが重いので、あお向けで寝ると苦しくなってしまうことも…。そんなときには、上半身をうつぶせにして、おなかから下は横向きにするシムズの体位がおすすめ。自分にとって楽な姿勢で過ごしましょう。

胃が圧迫されてたくさん食べられなくなる


妊娠32週になると、子宮底がみぞおちのあたりまで上がってきて胃を圧迫します。いつも通りに食事がとれなくなることも。そんなときは、1日4~7食に食事回数を増やしてみましょう。

食事を少量ずつとることで食べ物の逆流を防ぎ、胸やけがしづらく、食事が楽しめるようになります。また、血糖値の上昇がゆるやかになり、食べ物をゆっくり消化できるので便秘になりにくいというメリットもあります。

メニューは玄米おにぎりや全粒粉のパン、野菜スティックやプロセスチーズなど、少しでも食べ応えがあり、栄養が補えるものがおすすめです。

動悸や息切れがつらくなる


これまで感じたことのないような動悸(どうき)がすると、少し不安にもなりますよね。動悸を感じたらすぐに安静にして。休憩しておさまるようなら心配はありません。

妊娠32週にもなると、血液の量が通常時の1.5倍にも増加。心臓に負担がかかりやすくなっているため、動悸がすることもあります。

動悸や息切れがひどいときは、貧血や心電図などの検査をしてもらいましょう。

ももの付け根が痛くなる


大きくなった子宮が足の付け根にあるじん帯を引っ張るため、痛くなったり、足がつることも。内ももの筋肉を伸ばすストレッチをすると、少し楽になります。

また、おなかが大きくなると足への負担が大きくなり、足がむくむこともあります。そんなときは血液の循環をよくすることが大切。お風呂にゆっくりつかったり、ふくらはぎを下から上に向かってマッサージしたり、足首を回したりしてみましょう。

シミやそばかすが増えることも…!


胎盤からのホルモンの刺激により、妊娠中にはメラニン色素が増加。紫外線からママの体を守ろうとするため、シミやそばかす、黒ずみが出やすくなるのです。女性としてはなんともゆううつではありますが、肌の黒ずみは出産を終えたら自然と目立たなくなるので安心してください。

しかし、シミやそばかすは残念ながら一度出たら消えません。外出のときにはしっかりと紫外線(UV)ケアをしましょう。妊娠中は肌が敏感になっているので、低刺激の日焼け止めや帽子で紫外線対策をすると安心です。



■妊娠32週になったらやっておきたいこと

働いているママは産休の準備をしっかりと


労働基準法により、出産予定日を含む6週間前から(双子以上は産前14週間から)産前休業を取ることが認められています。一方、産後休暇は8週間取得することが定められており、たとえ本人が希望しても働くことはできません。ママが働けない間に職場の仲間が困ることのないよう、産休に入る前にしっかりと準備をしておきましょう。

妊娠32週だと産休に入るまでにまだ日があると油断しがちですが、思いがけず体調を崩したり、出産が早まることも。引き継ぎは早めにしておくと安心です。社内での引き継ぎはもちろんのこと、取り引き先にも産休に入ることを連絡し、後任者を紹介しておきましょう。

つらい動作はパパに代わってもらって


おなかが大きく突き出し、体が重くなってくるころ。日常生活の中であっても、注意が必要になります。

自分の足元さえも見づらくなるため、思わぬところでつまずいてしまうことも。一歩先を見て歩くことや、階段では手すりを持つことを心がけ、常にゆっくり動くことを意識しましょう。

おなかに圧力のかかる前傾姿勢や反動をつけた動き、片足立ちはしないように。赤ちゃんが生まれたあとの生活を想定して、部屋の模様替えをすることもありますね。ただし、家具の移動や重い荷物を持つときなどはほかの人にお願いしましょう。



■まとめ

安定期、しかも妊娠後期にもなるとほっとひと安心。そんなときに、おなかが大きくなることで見舞われるマイナートラブルもあったりして、やはり妊娠生活は気が抜けないと実感しているママもいるかもしれません。

でも、大変なことばかりではありません。大きくなったおなかに目をやると、もうすぐ赤ちゃんに会える喜びだって感じることでしょう。赤ちゃんとの新生活の準備をしたり、バースプランを考えてみるのもいいかもしれません。

正産期までもう少し! 赤ちゃんが生まれてくる日を楽しみにしながら過ごしてくださいね。

参考資料:
・日本産婦人科学会
・厚生労働省
・『月数ごとに「見てわかる!」 妊娠・出産 新百科』(ベネッセコーポレーション) 総監修 杉本充弘
・『おなかの中を可視化する! はじめての妊娠&出産』(大泉書店) 監修 竹内正人
・『主婦の友社新実用BOOKS 最新 はじめての妊娠&出産』(主婦の友社)監修 北川道弘
・『はじめてママの「からだとこころの悩み」お助けBOOK』(世界文化社) 監修 竹内正人

(河野能子)

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