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母子家庭は医療費を免除できる?制度の仕組み&申請方法をFPが解説!

  • 2019.11.22
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母子家庭では、病気やケガをしたときが不安だと思います。手術や入院をすれば、医療費の負担は大きくなってしまいます。経済的に厳しい母子家庭の医療費は免除してもらえるのでしょうか?

今回は、母子家庭でかかる医療費を支援する制度や申請方法について解説しますので、これから離婚を考えている方は参考にしてください。

母子家庭でかかる病院代や手術費用は免除になる?

低収入で生活していくのが精一杯という母子家庭では、病気やケガの際にかかる医療費も心配です。

健康保険では実際にかかる医療費の2~3割の負担ですみますが、長期間の通院や入院では負担が大きくならないかが心配でしょう。しかし、母子家庭には公的な援助の制度があります。

母子家庭の数はどれくらい?

まず、日本では現状どれくらいの母子家庭があるのかを見てみましょう。

直近の国勢調査によると、母子世帯の数は約75万世帯

母子家庭の収入は?

平均年収が200万円と言っても、一部の高収入世帯が平均収入を押し上げているだけで、母子世帯の過半数が年収200万円未満であることがグラフから読み取れます。母子家庭の現状はかなり厳しいのが現実です。

母子家庭には公的な医療費の助成がある

収入の少ない母子家庭でも医療費の心配をせずに病院にかかれるように「ひとり親家庭医療費助成制度」が設けられています。ひとり親家庭の医療費は、一部を自治体が助成してくれます

助成制度があるおかげで、生活に余裕がない母子家庭でも安心して病院にかかれる仕組みになっています。

医療費の負担が軽くなる!ひとり親家庭医療費助成制度とは?

シングルマザーはひとり親家庭医療費助成制度により、医療費の負担を軽減できます。離婚する際の不安を解消するために、助成制度について知っておきましょう。

自己負担額を超えると無料で診察が受けられる

医療費助成制度の内容は、自治体によって異なります。一般には、自己負担額が決まっていて、それを超える金額の医療費を市町村に負担してもらえる内容になっています。

金額は市町村によって異なる

ひとり親家庭医療費助成制度は自治体ごとに定められている制度なので、医療費の自己負担額も市町村によって違います。

【例:大阪市の場合】 1医療機関ごとに、入院・通院それぞれ1日あたり500円が限度額です。同一医療機関では自己負担額を月2回まで支払えばよく、3回目の診察料は無料になります。また、病院で院外処方箋を交付されて薬局を利用した場合には、薬局での費用は無料になります。

大阪市では1か月の医療費負担額の上限は2,500円となっており、超過分は払い戻しが可能です。

入院費も助成してもらえる

ひとり親家庭医療費助成制度でお金を払ってもらえるのは、通院の際の診察料だけではありません。入院費も助成の対象になります。

手術費用がかかっても、保険適用の治療なら、自己負担額を超えた分は払わなくてもかまいません。

親の医療費も対象

自治体によっては子供の医療費が無料だったり、子供の医療費の一部が助成される制度が設けられていたりすることがあります。離婚しなくても子供の医療費の心配はないという人も多いでしょう。

ひとり親家庭医療費助成制度のメリットは、親の医療費も支援してもらえる点です。自分一人で子供を守らなければならないシングルマザーだからこそ、体調を崩したときには病院にかかって早く治すことを考えなければなりません。

医療費の心配なく病院を受診できることは、大きな安心感につながるでしょう。

医療費助成の申請方法と受け方

ひとり親家庭医療費助成制度の適用を受けたいなら、自治体で申請手続きをする必要があります。離婚したときには忘れないように役所で申請手続きをしましょう。

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申請方法は各市町村で確認

医療費助成制度は自治体ごとに定められているので、申請方法も市町村によって異なります。自分の住んでいる市町村の役所で、申請手続きについて確認しましょう。

申請に必要な書類は?

健康保険証のほか、戸籍謄本が必要になることがあります。必要書類についても、自分が住んでいるところの役所で確認しましょう。

医療費助成の受け方

医療費助成の方法も、各自治体によって違います。

【例:大阪市の場合】

ひとり親家庭医療費助成の対象者には、医療証が発行されます。

大阪府内の病院を受診するときには、保険証と一緒に医療証を病院の窓口に提出すれば、自己負担額の500円までしか請求されません。

一方、大阪府外の病院では医療証は使えないため、通常の健康保険適用の金額を病院で支払った後、大阪市医療助成費等償還事務センターで払い戻しを受けることになります。

医療費助成が受けられない人はいる?

母子家庭であれば、必ず医療費助成が受けられるわけではありません。支援が受けられないケースについても知っておきましょう。

所得制限をオーバーすると受けられない

ひとり親家庭医療費助成にも、所得制限があります。シングルマザーでも高所得の人は医療費助成が受けられません

所得制限については、ひとり親家庭向けに支給される児童扶養手当と同じになっているところも多くなっています。つまり、高収入シングルマザーは、児童扶養手当やひとり親家庭医療費助成などの優遇制度は受けられないということです。

ひとり親家庭向けの優遇制度は、生活に困っている母子家庭や父子家庭を支援するためのものです。単に母子家庭というだけで優遇されることはありません

収入には養育費も加算される

医療費助成の所得制限限度額を判断するときには、児童扶養手当と同様、働いて得た収入だけでなく、元夫からもらっている養育費も加算した収入が基準になるのが一般的です。

無職のシングルマザーでも、養育費をたくさんもらっていれば、優遇が受けられない可能性があります。

生活保護を受けている人は対象外

生活保護受給者は、ひとり親家庭医療費助成の対象にはなりません。生活保護では、医療扶助として医療費を全額支援する制度があります。

生活保護を受けていれば、ひとり親家庭医療費助成を受けるまでもなく、医療費は無料ということです。

医療費助成を受ける際の注意点

母子家庭になって自治体から医療費助成を受けることになったとき、注意しておきたいのは次のような点です。

公的医療保険の対象とならないものはカバーされない

医療費助成制度で負担してもらえるのは、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)が適用される医療費です。保険適用外の治療には助成が受けられません。

たとえば、風邪やインフルエンザで病院にかかった際の治療費はカバーされますが、ホクロの除去などで美容外科にかかった際の費用や歯科インプラント、眼科のレーシック手術などの費用はカバーされません。

医療費控除で税金を安くできることも

母子家庭向けの優遇ではありませんが、医療費の負担を軽減する制度として、医療費控除があります。

医療費控除は所得控除の1つで、年間で払った医療費の合計額が10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合に控除が受けられるというものです。

保険適用外の治療でも、医療費控除が受けられるものはあります。医療費の負担を軽減するためには、医療費控除も忘れずに活用しましょう。

助成が受けられるのは子供の高校卒業まで

母子家庭でかかる病院代を自治体に支援してもらえるのは、子供が18歳になった次の3月31日までです。子供が高校を卒業すると、親も子供も医療費の助成が受けられなくなってしまいます

継続的に病院に通っている場合、子供が高校を卒業した途端負担が増えることが考えられます。早めに病院に行って治療ができるものは、早めにすませておくのがおすすめです。

シングルマザーも保険に入った方がいい?

もしものときの不安を解消するためには、生命保険や医療保険に入っておくのが有効です。保険に入るとなると保険料の負担があるため、生活の厳しいシングルマザーは躊躇してしまうことも多いでしょう。

保険に入らなくても、公的な支援が受けられることもあります。シングルマザーが保険に入る必要性について考えてみましょう。

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社会保険による補償も受けられる

シングルマザーの場合、自分に万一のことがあったら、子供のことが心配です。リスクをカバーするために、公的な社会保険制度によっても補償が用意されています。

保険に入る前に、社会保険制度からどのような補償が受けられるのかを知っておきましょう。

遺族年金

シングルマザーが亡くなったら、子供には遺族年金が支給されます。遺族年金には、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。

遺族基礎年金は年額で約78万円です。これに、社会保険の加入状況により遺族厚生年金が加算されることになります。

生命保険に入っていなくても、ある程度の補償は受けられます。遺族年金で足りない分をカバーしたいなら、無理のない範囲で生命保険に入ることを検討しましょう。

傷病手当金

病気やケガで会社を休まなければならなくなったとき、健康保険から給付が受けられるのが傷病手当金です。傷病手当金としては、給料の3分の2程度の金額が、最長1年6か月の間支給されます

病気等で働けなくなって給料が入ってこなくなっても、会社員なら傷病手当金があるので当面の不安は解消できます。なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はないので、自営業やフリーランスの人は民間の所得補償保険就業不能保険に入っておくと安心です。

もしものときのリスクは収入保障保険でカバー

シングルマザーが入っておくと安心できる保険として、収入保障保険があります。収入保障保険は、あらかじめ定められた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金を年金形式で受け取れるものです。

収入保障保険に入っておくと、死亡または高度障害になった場合に、残された子供の生活費を賄うことができます。収入保障保険は保険料も安いので、シングルマザーでも入りやすい保険です。遺族年金と組み合わせれば、もしもの場合の安心感が得られます。

学資保険で教育費を確保

子供が小さいうちに学資保険に加入している人は多いと思います。学資保険に入っていれば、親に万一のことがあっても予定している子供の教育費を用意できます

学資保険では、貯金と同様、毎月保険料を払って学資金を積み立てます。貯金と違うのは、保険期間中に親が亡くなったら、残りの保険料の支払いが免除されるという点です。

たとえば、子供の大学進学前に200万円が支払われる学資保険に入っていれば、死亡により保険料を払いきれなくても、必ず200万円を受け取れることになります。

シングルマザーの場合、自分が亡くなったせいで子供が進学できなくなってしまうことは避けたいでしょう。学資保険に入っていれば、もしものことがあっても教育費を確保できるというメリットがあります。

シングルマザーが医療保険に入るなら

シングルマザーは医療費助成が受けられるので、治療費についてはあまり心配する必要はありません。しかし、母親の入院によって収入が途絶えてしまうと、子供の生活にも影響が出てしまいます。

医療保険に入るなら、入院保障によって子供の生活費を賄うことをメインに考えるとよいでしょう。

母子家庭の医療費に関するまとめ

母子家庭には医療費助成制度があるので、通院や入院でかかる治療費については心配いりません。ただし、シングルマザーが働けなくなって収入が途絶えたら、子供が即困ってしまいますので、そのための準備はしておいた方がよいでしょう。

社会保険でカバーできない部分については、民間の保険を活用し、リスクに備えておくのがおすすめです。

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