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マウンティングは歪んだ愛情が原因? しいたけ.さんが回避方法を伝授

  • 2019.11.29
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いつも優しい言葉で、私たちの悩みを受け止めてくれるしいたけ.さん。元号が変わり、2020年という節目の年を迎える今、心がもやもやしている人も多いと思います。今、多くの人が悩んでいる「マウンティングされる」「心の傷を引きずっている」「浮かれることについていけない」という3つのテーマと、読者の具体的なお悩みについて、しいたけ.さんにそっと聞いてみました。

しいたけ.の部屋

SNSやネットを使って、世界や多くの人とつながることが容易になった昨今、なんだか息苦しさを感じている方も多いようで…。

「みんなが、無意識のうちにがんばることを求められていると感じている。そして、間違えてはいけないという空気は確かに感じます。しかも、真面目だから、休むことに罪悪感を抱いてしまう。これは、日本人にとても多いことだと思うんです」(しいたけ.さん)

「マウンティング」「心の傷」「浮かれられない」という3つの大きな悩み。

「この3つって、共通点があって、どこか愛情に対する恐怖心が関わっている気がするんです。うまく、伝えられないとか、受け取れないとか。ちょっと体がこわばっているようにも感じます。だから、この部屋でちょっとお茶でも飲む気分で読んでほしくって、それで体を少しゆるめてほっとしていただけたらいいなと思います」

それでは、お邪魔します! 今回は「マウンティング」について。

仕事場や友人、初対面の人…。マウンティングされやすい人へ。

こんな人はぜひ!
  • 人から下に見られやすい。
  • 理不尽なことをよく言われる。
  • 「あなたにはわからない」という前提で話されることがある。

先日、よくお仕事をご一緒しているスタッフさんから、こんな相談を受けました。

「マウンティングされやすくてつらいです」

そこで僕も、この問題について少し考えてみましたので、お付き合いいただけると幸いです。

マウンティングとは、相手よりも自分のほうが優位であることをアピールする行為とありますが、一口にマウンティングと言っても、その背景にある原因はさまざまだと思います。

たとえば、マウンティングをする人って、その人の親からの扱いが強く影響している場合も多いです。親からお姫様のように扱われている人は、外でも同じような扱いを人に求めるようになるからです。あなたのお母さんは寝床までおかゆを持ってきてくれるかもしれないけれど、他の人は違います。これはマウンティングという名の甘え。こんなふうに、自分以外の人間は自分を際立たせる背景としか思えない人は、マウンティングしてしまう可能性が高いです。

また、職場で起きがちなのは、「あいつだけがいい思いをしているのが許せない!」という種類のマウンティング。芸人さんがよくテレビで「自分が売れていない頃、テレビに出ている同期が許せなかった」という話をしているのを耳にしますが、人はとくに同業の人の活躍はやっぱり恨めしい(笑)。同じような努力をしてきたのに何かの機会で当てちゃう人はうらやましいです。

一方、友達同士の間では、自分の親友の友達が許せないみたいな気持ちが起きて、「あの子のことを一番理解しているのは私!」みたいな、三角関係マウンティングが勃発したりします。また、女性の場合、そこに利害関係が絡んでいたりすると、「付き合う相手=自分の価値」になってくるので、「そういう服、着ないで。あなたが汚い格好していたら、私までそう見られるから」みたいな審査型のマウンティングになる場合もあります。

と、ここまで話をしていると、マウンティングをする人がいかにも“悪の心を持った人”という印象を受けるかと思います。でも僕がマウンティングを根深い問題だと考えるのは、誰でも気がつかない間にマウンティングをする側になってしまう恐れがあると思うからです。

というのも、マウンティングは悪意から生まれるものだけではなくて、愛情のねじれたカタチでもあると思うからです。人が誰かに恋愛感情や愛情を抱いた時、一番最初にやってくる感情は「この人を失いたくない」という恐怖心です。相手と対等な関係でいたら、いつ「もう会いたくない」と言い出すかわからない。だからその人を失わないように、あらかじめ支配下に置いて「あなたに会いたくないです」と言い出せない関係を作っておく。相手をちょくちょく否定するのも、自分が答えを持っていることを示して、また問い合わせにきてもらいたいから。そんな支配欲や操作欲、歪んだ愛情が原因となることも多い気がします。

また、「人の役に立たなければ」という強迫観念がマウンティングという行為として表れることもあります。とくに日本は役割社会。課長に任命されたら課長らしく振る舞わないといけないし、子どもを産んだら親らしく振る舞わないといけない。そこで自分の個性を殺すことにも慣れています。だから、「課長なのに、親なのに、そんなことも知らないの?」と言われることを恐れるあまり、自分より下の立場の人を予め傷つけておく、みたいなことが起こってしまうし、なんとかしてこの人を導かないといけないと勝手に役割を請け負って、「ちゃんは、ここを直せばよくなるよ」と、自分でも気がつかない間にプロデューサー型のマウンティングをしていることもあります。

こうやって考えてみるとマウンティングをしてしまう人って、努力家でもあると思うし、仕事ができる人なのだと思います。物事を秒で決定することを人生訓としているようなところがあるから、戸惑っている人を見ると「あなたはこうだから」とすぐに決めつけてしまうし、自分にも隙を作りたくない。今の時代は、社会全体にそんな“即レス”を求められる風潮がある気もしていて、そうなるとマウンティングは個人の問題ではなくて、ある種の“社会現象”といえるのかもしれません。

しかし、理由や背景はどうであれ、マウンティングをされたほうは、心にもやっとした気持ち、ざわっとした気持ちが残ります。マウンティングする人は、相手の心にその“もや”や“ざわ”を残すためのテクニックを日々磨いているので、そういう気持ちになるのは仕方がないことです。

では、そんな時どうしたらいいか。

ここで少しカラーの話をしたいのですが、18色のうち、一番マウンティングに強いのは何色の人だと思いますか? それは、白の人です。なぜかというと、白の人って「この人とはどうせこの場限りの関係だし」とか、「こいつによって自分の人生が損なわれるわけがない」とか、強い自負心のようなものを持っています。ですから、マウンティングされやすくて困っている人も、白の人のように、どうか心に一本、日本刀を持っていてほしいのです。実際にマウンティングをする人は、人間不信で人から好かれている自信がないかわいそうな人。ですから、「この人はなんてかわいそうな人なのだろう」と、哀れむまで消化できたら最高です。そうすればきっと、そつない対応ができるようになります。

とはいえ、誰もがそこまで強くなれないし、人からの悪意や攻撃を真正面から受けてしまうと、すごくダメージを負ってしまうもの。ですから、そんな時は心の中で自分の背後に海や仏像があると思ってください。そして、マウンティングをしてくる人が自分を通り越して海や仏像に向かって喋っているとイメージする。そうやって人からの攻撃をスルーするクセをつけてほしいのです。マウンティングは決して、相手が“あなただから”起こるわけではありません。マウンティングをする人からしたら、相手なんて誰でもいいんです。たまたま言いやすくて攻撃を真正面から受け止めてくれるあなたが選ばれてしまっただけだから。

しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究する傍ら占いを学問として勉強する。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)、『しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢』(KADOKAWA)など。

※『anan』2019年11月27日号より。イラスト・100%ORANGE 文・菅野綾子

(by anan編集部)

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