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【医師監修】 着床はいつ? 受精の仕組みと着床時期に見られる症状

  • 2019.11.20
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妊娠を成立させるためには、卵子と精子が出合い、受精〜着床と数々のプロセスが必要になってきます。

新しい命が生まれる過程で、体の中では一体どんな変化が起こっているのでしょうか? くわしくご紹介していきましょう。

【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生


小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。

著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。


■着床はいつ起こる?

性交後、卵子と精子が出合ったら、即「はい、妊娠!」というわけではありません。卵子と精子が受精した後、受精卵が子宮内膜にたどり着き、着床することでようやくオメデタになるのです。

受精・着床・妊娠の違い
受精とは


受精とは卵子と精子が合体することです。女性には左右に1つずつ卵巣がありますが、月に1度、どちらかの卵巣から1つの卵子が排出されます(排卵)。排卵した卵子は卵管采(らんかんさい)と呼ばれる突起物にキャッチされ、卵管へと誘導されます。

このとき、性交により射精された数億個の精子は、子宮口から子宮頸管(けいかん)、子宮腔(くう)、卵管、そして卵管采へと一気に向かい、一番にたどり着いた1個の精子のみが卵子と出合い、ここでようやく受精にいたります。受精が成立すると、その瞬間に卵子の表面にバリアが張られ、あとから来た精子は入り込むことができなくなります。

着床とは


卵子と精子が受精して生まれた受精卵は、卵管の中をゆらゆらと漂いながら、1週間ほどかけて子宮へと移動。この間、受精卵は卵管にたっぷり含まれる栄養と水分を吸収しながら細胞分裂を繰り返していきます。

こうして無事子宮に到着した受精卵が子宮内膜にもぐりこみ、お母さんの血管から栄養を吸収するようになります。この状態を着床といいます。

受精から着床までのおおよその目安は1週間ですから、たとえば排卵日に性交した場合、その1週間前後で着床する計算になります。

妊娠とは


受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠となります。妊娠したかどうかは、分泌されるホルモンによって判断できます。着床するとhCG(じゅう毛性性腺刺激ホルモン)と呼ばれるホルモンが分泌され、月経や排卵をストップさせます。妊娠すると生理がこないのは、このホルモンの影響によるものなのですね。

hCGの分泌によって子宮内膜は分厚く、柔らかくなり、妊娠に向けての準備が進みます。hCGは妊娠したときのみ分泌されるため、妊娠検査薬ではこのホルモンが尿中に分泌されているかどうかで、妊娠の有無を判断しているというわけ。

体外受精の場合は、着床はいつになるの?


なかなか授からない場合は、体外受精という選択肢もあります。体外受精とは、卵子と精子をそれぞれ採り出し(採卵・採精)、人工的に受精させ、育った受精卵(胚)を子宮に戻し、妊娠を促す方法。タイミング法や人工授精に比べ妊娠率が上がるため、この治療法で誕生する赤ちゃんは年々増加しています。

体外受精の場合、人工的に育った受精卵を卵管と同じような環境の培養器の中で育て、細胞分裂させながら成長させていきます。採卵から3〜5日後、ある程度受精卵(胚)が育ったら、いよいよ子宮に移植(胚移植)。

無事移植され、胚が子宮内膜の細胞に食い込んで固定されたら、ようやく着床したことになります。体外受精の場合、採卵から約2週間後にしっかり着床し、成長しているかどうかを血液や尿で調べます。

参照サイト:日本経済新聞「体外受精で18人に1人誕生、16年 最多更新」

体外受精後の過ごし方


胚移植をした後、妊娠判定が出るまでなかなか落ち着かない人も多いと思いますが、とくに何かを制限する必要はありません。いつもどおりの生活を送りながら、リラックスして過ごすことが一番です。

ただ、移植当日の入浴は避け、シャワーだけですませるように。また会社勤めの方はなるべく出勤は控え、翌日から普段どおり出勤することをおすすめします。下腹部に過度な振動を与えるような激しい運動もNG。喫煙や飲酒、冷えは体に悪影響を及ぼしますので、これらも日常的に意識することが大切です。





■着床できるかどうかは○○による



受精後、無事子宮内膜にたどり着けば、すべての受精卵(胚)が着床できるわけではありません。着床できない場合は、いくつかの要因が考えられます。代表的なケースを見ていきましょう。

胚の質


まず考えられるのが、受精卵(胚)の質です。良質かどうかを正確に調べるのは難しいですが、胚の中の細胞が均一で密度が高く、数が多い方がグレードが高く、このような良質な胚ほど妊娠率が高いといわれています。

逆に、グレードの低い胚は密度が低く、細胞の形もばらばら。このような胚は染色体異常などの可能性があり、受精してもうまく着床できなかったり、流産の可能性が高くなります。

胚の質は年齢が要因の一つになっていて、女性の年齢が上がれば上がるほど質が低下するといわれています。つまり不妊の一因となる場合もあるのです。

環境


子宮筋腫、子宮内ポリープ、卵管水腫、子宮内膜炎など、子宮内に異常がある場合も着床障害を起こします。

ただし、こうした子宮内の病気は、手術や薬物治療で改善することができますので、「生理の出血量が増加した」「下腹部に違和感を感じる」「なかなか妊娠しない」など、何かしら心当たりのある方は、早めに病院を受診し、検査することをおすすめします。

参照サイト:
第71回日本産科婦人科学会学術講演会「生涯研修プログラム5 難治性不妊の取り扱い」



■着床すると痛い? この時期に見られる5つの症状

受精卵が子宮内膜に着床すると、生理前にも似た症状が出ることもあります。いわゆる“妊娠超初期症状”と呼ばれるもので、人によって症状の程度はさまざま。なかには体調の変化にまったく気づかない人も少なくありません。

妊娠を望んでいる場合に「いつもと何かちがうな」と感じたら、着床を疑ってもよいかもしれません。ただ、この時期に妊娠検査薬を使ってもまだ反応は出ませんから、焦らずにリラックスして過ごすようにしましょう。

症状1:着床出血


着床するときに出血することがあります。これは受精卵が子宮内膜にもぐりこむ際に子宮内膜が少し傷つけられることで起こるもので、うっすらと下着につく程度の軽い出血が1~3日ほど続いたり、茶色いおりもののようなものが出たり、人によってさまざま。いずれにせよ、数日で症状はおさまります。

症状2:胸の痛みやハリ


乳房の張りやかゆみ、乳首の先にさわると痛みがあるなど、症状はさまざまですが、生理前と同じような違和感を胸に感じることもあります。

症状3:つわり


通常、つわりは妊娠初期(妊娠4〜7週ころ)に始まることが多いですが、なかには着床時(妊娠3週ころ)からはき気を覚える人も。

症状4:腰痛・頭痛


生理前のような腰痛や頭痛を覚えることも。痛みを感じたら薬にはなるべく頼らず、安静にして様子を見ましょう。

症状5:けん怠感


いくら寝ても眠い、ちょっと動いただけですぐ疲れる、微熱が続き風邪のときのようなだるさを感じるといった、妊娠特有の症状に悩まされることもあります。

■まとめ

いかがでしたか? 受精から妊娠まで、わずか7日前後の間におなかの中では目まぐるしい変化が起こるのです。妊娠のメカニズムを理解しておけば、いざ「オメデタ」になったときも動揺することなく、リラックスして自分の体調の変化と向き合うことができますね。

参考資料:
・日本経済新聞
・第71回日本産科婦人科学会学術講演会
・「ママになる夢かなえよう! 妊活 治療と生活アドバイス」(主婦の友社)
・「はじめての妊娠・出産百科」(主婦の友社)



文/長谷部美佐


(ライターチーム123)

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