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ブリトニー・スピアーズ、ドン底からの復活の「鍵」【セレブ斜め愛#6】

  • 2019.11.14
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コスモポリタンの読者の皆さんも、そろそろイヤーエンドのパーティーとか忘年会のスケジュールをチェックし始める時期でしょうか。昨年の終わり、おばあちゃんは、病み上がり(かつ、すでに相当な年齢)にもかかわらず、あるパーティーのカラオケタイムでブリトニー・スピアーズの『Womanizer』と『Work B**ch』を連続でやりちぎってしまいました。

おばあちゃんにとってブリトニーは、ある時期を境に「好き」へと変わったセレブのひとり。それ以前は、なんと言うか「ヒヤヒヤする」とか「痛ましい」というイメージのほうが先行するシンガーでした。

ブリトニーは16歳のとき、シンガーとしてデビューを果たします。 1998年のことでした。デビュー曲『…Baby, One More Time』のMVでは、胸の下でシャツを結んでおへそを出し、ボトムは超ミニスカ…という制服コスプレで「私をうちのめして」と歌っていたのです。

その3年後、10代のうちに『I’m A Slave 4 U』というタイトルの曲もリリース。まだ若いコスモポリタン読者の皆さんはご存じないかもしれませんが、おばあちゃんたちの間では「まさか21世紀になったばかりのアメリカで、奥村チヨの『恋の奴隷』みたいな題名の曲が出るなんて」と話題になったものです。で、そのMVは、最低限の服は着ているものの、どう見ても“エロス”ド真ん中でした。

04年リリースの『Toxic』は、ラインストーンを散りばめたヌードカラーのボディスーツと、セクシーなCAのコスプレ姿で「あなたの魅力は毒薬」と歌う曲。おばあちゃんの実感として、初期ブリトニーは、「ものすごくセクシーな若い子が、男との恋愛にひきずられる」曲が多かったのです。

ショービズの世界、特にアメリカのショービズにおいてセックスアピールをウリにするのは男女関係がないし、その点はブリトニーとスタッフに責任があるわけではない。ただ、ブリトニーの場合は、その狙いがあまりにもうまくいきすぎてしまった。英語の「It(イット)」は、性的魅力を表現する意味として使われることもありますが、初期のブリトニーは文字通りアメリカの…というよりも世界の「It ガール」だったのです。

でも、ここでマリリン・モンローを例に挙げるのはあたくしがおばあちゃんだからですが、才能や能力を評価されたくてずっと研鑽を積んできた女性が、どんなに努力をして、どんなに結果を出したとしても結局「It」としか見られないジレンマって、ものすごく大きいのではないかと思うのです。

マリリン・モンローはキャリアの終盤は精神のバランスを失い、映画の撮影現場でもたびたびトラブルを起こしていたことが知られています。対してブリトニーは、開店休業状態の無名DJと結婚したものの破局し、そのDJからなんと60億円の財産分与の裁判を起こされ、ついにはフラリと飛び込んだ床屋さんで、「誰にも触られたくない。もう触られるのにウンザリ」という言葉とともに、セックスアピールの象徴のひとつである長い髪の毛を、自分で刈り取って丸坊主になってしまいました。

おばあちゃんがブリトニーに感じていた「ヒヤヒヤ」「痛ましい」という気持ちがピークに達したのは、言うまでもなく、その出来事のときです。

マドンナが「Britney Spears」と、ブリトニーの名前がプリントされたTシャツを着て、「私も若い頃、さんざんバッシングされたから、今、あの頃の私のように“セクシーすぎる”という理由で叩かれている彼女を応援したい」と、ブリトニーを擁護していたのはその出来事の少し前あたりからです。

キャリア初期に『Like A Virgin』『Material Girl』で世界の「It ガール」になったマドンナ。彼女はいち早くフェミニズムを身にまとい、この連載の第2回でも書いたように「元祖・強め」として、底なしに魅力的で、でも底なしに恐ろしいショービズの世界でサバイブし続けていた。

元祖・強めのマドンナからの、ブリトニーへのメッセージ。それは、「オンナがガンガンにセクシーで魅力的であること。それって素敵。でもアタシの魅力は、オトコから評価され、気安くコントロールされ、搾取されるためにあるんじゃない。アタシの魅力はアタシだけがコントロールできるものなんだよ!」というものではなかったか。おばあちゃんは今でもそう思っています。

だからこそおばあちゃんは、ブリトニーが丸坊主になってしまった翌年に、以前からのセクシーさはそのままに「アンタみたいな女たらし、誰がいるかよ」と高らかに歌ってみせた『Womanizer』が超スマッシュヒットになったのがうれしかったのです。13年に、さらにパワーアップして、オトコのことを題材にせずに、「イケてる自分、イケてる暮らしが欲しいなら、働くのよ!」と歌ってみせた『Work B**ch』がヒットしたとき、本当にうれしかったのです。

現在ブリトニーは、父親の看病のために長期休業状態です。余計なお世話なのは承知のうえで、ブリトニーが、恋愛的な「愛」だけでなく、「家族愛」についても、苦しまずにすむような道を選んでほしいなあとおばあちゃんは思います。

ぶっちゃけお金は(たぶん一般人の何倍も)あるのですから、報酬と引き換えにきっちりプロにまかせるというのも、愛情だろうと思うのです。実際すでにブリトニーは、看病疲れでメンタルをやられて入院したことが報じられていましたし…。

そのオトコを、その家族を、どれだけ愛していたとしても、「愛」は「オンナが不必要に身や心を削るべき」とイコールには決してならない。絶対にならない。

その考えを、表現活動を通して、生き方そのものを通して示してくれるのが、これからのセレブのあり方であってほしい。

今は「大好き」なセレブのひとりであるブリトニーが、さらにパワーアップして復帰してくれるのを、おばあちゃんは待っています。

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