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『ドリーム』、NASAを支えたキャリアウーマンたちの秘話。【女性を鼓舞する映画】

  • 2019.11.14
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宇宙特別研究本部のメンバーに配属される数学者キャサリン・G・ジョンソンを好演したのは、タラジ・P・ヘンソン。Photo_ Everett Collection/AFLO
HIDDEN FIGURES, Taraji P. Henson, as Katherine G. Johnson, 2016宇宙特別研究本部のメンバーに配属される数学者キャサリン・G・ジョンソンを好演したのは、タラジ・P・ヘンソン。Photo: Everett Collection/AFLO

まだ人種差別が色濃く残っていた1961年のアメリカで、NASAに勤務するアフリカ系女性3人の知られざる貢献を映画化した『ドリーム』(16)。1962年2月に実現した有人宇宙飛行の「マーキュリー計画」に尽力した数学者のキャサリン、計算手のドロシー、エンジニア志望のメアリーを演じたのは、それぞれタラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイという顔ぶれだ。

NASAラングレー研究所でロケットの打ち上げに欠かせない計算に携わっていた3人は、白人男性ばかりの職場で、女性であることや人種ゆえに露骨な差別や嫌がらせを受けるが、理不尽な障害をはねつける有能さを示すことで、自分たちの存在を認めさせていく。

キャサリンと仲の良い同僚で、エンジニアを目指すメアリー・ジャクソンを演じたジャネール・モネイ。Photo_ Everett Collection/AFLO
HIDDEN FIGURES, Taraji P. Henson, as Katherine G. Johnson, Janelle Monae, as Maryキャサリンと仲の良い同僚で、エンジニアを目指すメアリー・ジャクソンを演じたジャネール・モネイ。Photo: Everett Collection/AFLO

自らのキャリアアップを考えるだけではなく、後輩たちに知識を惜しみなく伝え、NASAでさえ当然のようにはびこっていた人種差別の撤廃のために声を上げるキャサリンは、あらゆる女性のロールモデルになる。TVドラマ「Empire 成功の代償」での、パンチの効いたクッキー役でも知られるタラジは、映画化の意義をこう語っている。「宇宙飛行士、ジョン・グレンが軌道周回飛行できた背景に素晴らしい女性たちがいたことを、私たちはようやく知ることができた」

彼女が演じたキャサリン・ジョンソンは1918年生まれ。作品賞など3部門で候補になった第89回アカデミー賞の授賞式に出席し、スタンディングオベーションを受けた彼女は、8月に101歳の誕生日を迎えている。

管理職への昇進を願うドロシー・ヴォーン役のオクタヴィア・スペンサー。Photo_ Everett Collection/AFLO
HIDDEN FIGURES, Octavia Spencer, as Dorothy Vaughan, 2016. ph Hopper Stone / TM & copyright管理職への昇進を願うドロシー・ヴォーン役のオクタヴィア・スペンサー。Photo: Everett Collection/AFLO

ドロシー役で助演女優賞にノミネートされたオクタヴィア・スペンサーは、プロデューサーとしても有能で、今年のアカデミー賞で作品賞に輝いた『グリーン・ブック』(18)の製作総指揮も務めている。メアリーを演じたジャネールは、『ムーンライト』(16)に続く出演で、女優としても高い評価を獲得。昨年はパンセクシュアル(全性愛)であることを告白し、LGBTQコミュニティ支持を積極的に発信している。

Text: Yuki Tominaga

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