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『伊藤家の晩酌』~第五夜1本目/“熟成”がテーマの大人の日本酒「山城屋 Matured〜円熟〜純米大吟醸 特別調合」~

  • 2019.11.11
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弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第五夜の1本目は、誰もがメロメロになる、抜群に飲みやすい日本酒から。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第五夜1本目は、ほど良いミネラル感でするすると飲める「山城屋 Matured〜円熟〜純米大吟醸 特別調合」から。

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Hanako 編集部

娘・ひいな(以下、ひいな)「第五夜のテーマはね“口説き酒”だよ」
父・徹也(以下、テツヤ)「なんだか意味深だな(笑)」
ひいな「“口説く”って男女のことだけじゃなくて、女性でも男性でも、個人でも、パーティとかで大勢の人に飲んでもらうのでも、“誰かにウケたいお酒”のことを“口説き酒”って呼んでる」
テツヤ「一口を飲んだら、もうそのお酒にメロメロになるみたいな?」
ひいな「そう! 飲んだ瞬間、虜になっちゃうようなお酒を今回は選びました!」
テツヤ「わ、すごい赤い! ロゼ!?」
ひいな「いやいや、中のお酒は普通の色だから(笑)」
テツヤ「瓶が赤いのか(笑)。口説き酒だからかな?」

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Hanako 編集部
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Hanako 編集部

ひいな「違う違う(笑)。この蔵は、全量生酛で造ってて、しかも純米大吟醸なの。このお酒は『山城屋』の『Standard-Class(スタンダードクラス)』『First-Class(ファーストクラス)』『Special-Class(スペシャルクラス)』の3つの純米大吟醸の特別調合して造ったお酒なの。しかも、270日間寝かしてあるから、これも『ひやおろし』になるよ。それが『Matured〜円熟〜』って名称になっているんだと思う。それぞれ精米歩合が違ってて、スタンダードクラス50%、ファーストクラス40%、スペシャルクラス30%なんだって」
テツヤ「調合って、つまり混ぜ合わせてるっていうこと?」
ひいな「そうそう。それぞれ商品としてあるお酒を調合して造ったお酒って珍しくて。しかも秋だけ限定販売されるんだよ。まず飲んでみて」

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Hanako 編集部
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Hanako 編集部

テツヤ&ひいな「乾杯!」

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Hanako 編集部

テツヤ「うわっ! このお酒、サラサラだね」
ひいな「これ、新潟県長岡市のお酒なの」
テツヤ「確かに! 新潟感ある!」
ひいな「でも、これ県外にしか流通してなくて」
テツヤ「え? 新潟じゃ飲めないんだ」
ひいな「そう。ねぇ上品な香り感じない? すっごくさわやかでしょ?」
テツヤ「うん、するする飲めちゃう」

「山城屋 Matured〜円熟〜純米大吟醸 特別調合」に合わせるおつまみは「シャインマスカットのモッツァレラチーズのせ」

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Hanako 編集部
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Hanako 編集部

テツヤ「これ、生酛なんだね!裏側に『未完成のお酒』って書いてある」
ひいな「それが意味するところは、料理と一緒に飲むことによって完成するお酒ってことかな。食中酒っていうことを表現してるの」
テツヤ「このお酒が未完成の部分を、料理が補ってくれるっていうことだね」
ひいな「このお酒はね、角煮でも肉じゃがでも、焼きそばでもなんでも合うお酒だと思う。けど今回は、モッツァレラにシャインマスカットを合わせて、塩気とペッパーのアクセントをつけてみたよ」
テツヤ「へぇ! うんまい! こりゃいいね」
ひいな「ほんとおいしいよね」

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Hanako 編集部

テツヤ「このお酒、シャインマスカットに合う! ほんのりぶどうの香りもしてくるね。ぶどうの皮の苦味みたいな。モッツァレラとも合うな〜」
ひいな「このお酒のミネラル感とシャインマスカットのみずみずしさはきっと合うなと思って」
テツヤ「チーズとマスカット、どっちが上で、どっちが下で食べたほうがいいとかある?」
ひいな「(笑)。マスカットのさわやかさと甘さを舌にして口に入れたほうがいいと思うよ」
テツヤ「やってみよう」

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Hanako 編集部

テツヤ「うん、うまい、うまい!」
ひいな「このお酒の特徴としては、上品な香りがしてミネラル感があって、後味に軽く重みがくるというか。重心が後ろに来てる感じ。香りがあるものと合いそうだなと思った。旨味もあって少しの酸がまろやかでちょうどいいバランスを感じるな」
テツヤ「すごい、的確!そもそも、なんでこれが口説き酒なの?」
ひいな「上品な香りのお酒を1杯目に持ってくるのがスマートだなと思ったから」
テツヤ「なるほど、今夜紹介する3本が連続して、そのすべてが“口説き酒”なんだね」
ひいな「たとえばさ、パーティとかにお酒を持って行く時ってワインとかが多いと思うんだけど、こういう日本酒あるんだよって紹介したら、みんなが『これも日本酒なの? すごい』って一目置かれるような感じ」
テツヤ「うん、新しい日本酒のプレゼンだな。確実においしくて手土産にもってこい」
ひいな「こんな日本酒もあるんだって思ってもらいたい」
テツヤ「おいしいね、センスいいねって言わせたいね。これが一番バッターか。このボトルだけでもぐっと心掴まれるよね」

心をグッと掴んで離さない! そんな口説き酒に父もメロメロ

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Hanako 編集部

テツヤ「ひいなから“口説く”って言葉を聞いて、ドキっとしちゃったよ」
ひいな「相手の心の内に入る感じを“口説く”って表現してるのかも。相手の懐に入っちゃうみたいな」
テツヤ「心のトビラが開いちゃうんだな」
ひいな「そう、パカっと。1本目は、だからあえて軽めにしてみたよ」
テツヤ「うん、軽く飲めちゃう」
ひいな「でも、後味に重みもあるから、食中酒として何でも合うなと思って。脂のあるお魚でも脂を流してくれるようなキレもあるし、白味魚でも上品に飲めると思う。大葉とかゆずとか香味野菜とも合うと思うし、ゆずシャーベットともきっと合うから、〆に飲むのでもいいと思う。純米大吟醸でこの重心の重さってなかなかすごいなと思うんだ」
テツヤ「うん、独特の余韻があるね 渋み?」
ひいな「あるよね。この蔵の方と話したことがあって、このお酒単体でおいしいと思ってもらうのもうれしいんだけど、お料理と合わせてることで完成するから、さらにこのお酒の価値が増すっていう話を聞いて」
テツヤ「そりゃいいね」
ひいな「そこが選んだ理由のひとつでもある」
テツヤ「赤いボトルにしたのはどうしてなんだろう?」
ひいな「円熟だからかな?」
テツヤ「なんか艶っぽいというか、大人っぽいよね。名前もサスペンスっぽい(笑)」

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Hanako 編集部

ひいな「Matured(マチュアード)って“熟した”とかって意味らしいよ」
テツヤ「今まで一番、酒蔵の人に会いたいと思ったの、このお酒かも」
ひいな「どうして?」
テツヤ「どうして、この瓶にしたのか、聞いてみたいね」
ひいな「『未完成のお酒です』って蔵が言うのってすごく勇気がいると思うんだよね」
テツヤ「だけどさ、『あなたの愛がそのピースを足してくれます』とかさ、いろいろ言えるよね」
ひいな「何それ、口説き酒にふさわしいセリフ!」
テツヤ「だから、いいんじゃない? 補完してくれる相手がいないとダメってことで」

(次回は第五夜2本目。11月17日更新予定です)

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Hanako 編集部

番外編「土田酒造の新たなる挑戦」
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