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辻ちゃんの“大好きな人と結婚しよう”『19歳の春、妊娠――私をママにしてくれてありがとう――』【第3回】

  • 2019.11.8
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19歳でまさかの妊娠!!!

こんばんは、辻希美です。
今日は私が妊娠したときのことをテーマにしてみようと思います。

私の妊娠がわかったのは19歳の春、桜が咲く頃でした。目黒通り沿いをぼんやり歩いていたとき「桜がキレイだな」って思ったんです。そのとき、“ん?”ってピンと来たんです。いつも桜を見てもそんなことを思わなかったのに……これは何だろう……自分の気持ちも体調もなんか違う……。

もしかして……。

やっぱり私の勘は当たっていました。そう、妊娠していたんです。

モーニング娘。のメンバーからは、「辻が一番結婚が早そう!」って言われていたし、過去に占いで「20歳で結婚して子どもを産む」と言われたこともあったな。それにうちの家系はみんな早くに子どもを産む傾向があって、お母さんは20歳で、お姉ちゃんも21歳で、おばあちゃんも20歳で子どもを産んでいるんです。だからビックリはしたけど“あっ、これが妊娠っていうものなのか”という気持ちでした。

彼に新しい命を授かったことを伝える

まずは彼に会って妊娠のことを直接話しました。彼もはじめはビックリしていたけど、喜んで受け入れてくれて、そんな彼を見て“やっぱりこの人で良かった”と心から思えた瞬間でした。

そのあと私と私の姉、彼と彼の弟の4人で集まって話し合いをしたんです。そこで、誰に伝えるか、これからどうするかなどの段取りを相談。そして、まず私のお母さんに伝えました。お母さんは少し驚いていたけど、うちのお父さんは私が新しい命を授かったことを泣いて喜んでくれたんですよ。それから事務所に報告をして、事務所の人に病院を紹介してもらい正式に妊娠したことを確認しました。

私たちの妊娠、結婚を世間では「できちゃった婚」と言われることが多いのですが、実は妊娠発覚は私たちが事務所に結婚することを報告しようとした2日前なんです。

結婚したら仕事は続けられないかもしれない……

彼とは順調にお付き合いを深めていき、1年ぐらいたったころ、お互いに芸能界で仕事をしているんだからケジメをつけないといけないんじゃないかという話にはなっていました。それにいつまでも二人の関係を隠し続けているのもなんだか後ろめたい感じもしていたし。

3月10日の彼の誕生日に私がプレゼントを渡したら、「オレからもプレゼントがあるんだ」って言われて、お返しに婚約指輪をもらったんです。これが彼からの正式なプロポーズ♡ それから私の事務所に二人で行って、結婚することを報告しました。

「結婚するなら仕事を続けることは難しいかもしれない」

結婚の報告をした私たちに返ってきたのは、そんな言葉でした。結婚することは反対されなかったけど、大好きな仕事を辞めなくてはいけないかもしれない……。仕事か結婚か。事務所が私に対して意地悪をしたワケではないんです。今でこそ仕事と結婚や子育ての両立が当たり前だけど、当時のアイドルにとって結婚したらアイドルを続けられないことは常識。だから、10代で結婚するアイドルなんて一人もいなかったんです。

子どもは絶対に産みたい、でも仕事を続けられない……。私は12歳から芸能界で仕事をしてきて仕事が大好きなのに……。でも、もう私は充分仕事をしてきたのかな? 少しの迷いはありましたが、私は彼との間に授かった命を選んだのです。

急遽、記者会見を開くことに

私と彼は、結婚して子どもを産むことを報告する記者会見をする予定で、日にちと場所も決めていました。ですが……そんな私たちに襲ってきたのは突然のスポーツ新聞の掲載でした。「できちゃった婚」「10代のアイドルの妊娠」などとても大きなスキャンダルとして私のことが記事になっていました。

記事が出てしまったからには早く記者会見をしなくてはいけない……。私と彼は予定よりも早く記者会見を開きました。このとき私は妊娠2ヵ月目。スケジュールが決まっていた仕事を急遽休業しなくてはいけなくなってしまい、たくさんの人に迷惑をかけてしまいました。そのときはお仕事でかかわってくれたすべての人に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その記者会見直後から、私は一切の仕事をお休みすることになりました。

世間からのバッシングに耐える妊娠初期

記者会見直後から産休に入ることになりました。今まで忙しく働くことが当たり前だったのに、スケジュールが決まっていない不安、家にずっといることへの違和感……。そして、一番精神的に辛かったのは世間からのバッシングでした。

「子供が子供を産む!」「計画性のない妊娠で仕事をキャンセルするなんて」「すぐに離婚するに決まっている」「ママゴトみたいな結婚」……。そんな言葉を目にすることが怖くて、テレビも新聞も一切見られなくなってしまったんです。好きな人と結婚して子どもを産むことは悪いことなんかじゃないのに……。

事務所からは、「外出するとマスコミに追われるから外出しないように」と言われていたので、数ヵ月間はじっと家の中で耐える日々を送っていました。これは私が思い描いていた結婚生活なんかじゃない……。特に妊娠初期は食べづわりがひどかったし、そのあと切迫流産になってしまい、薬を飲み始めたら、今度は副作用で食欲がなくなって……。

自分の家族と彼以外のすべてから妊娠を責められているような気になってしまい、自然と涙があふれる毎日でした。

若くして母になること

本当は新しい命を授かったことは嬉しいはずなのに、20歳になってお酒が飲めるのに自分だけ飲めない……。友達に会っても自分だけ早く帰らないといけない……。私だけ仕事ができないなんて……。

精神が安定していないときは、自分ができないことばっかり考えちゃうんですよね。それにこんなに早く子どもを産んで大丈夫なのかな……自分すら信じられなくなっていたような気がします。きっとまだ自分のお腹に赤ちゃんがいて、自分が母親だっていう自覚が足りなかったんでしょうね。

自分のことが出ているのが怖くてテレビをずっと見ていなかったんですが、ふっとリモコンを握ってみるとモーニング娘。のメンバーが出ていたんです。みんなキレイな衣装を着てテレビに出てる……。きっと楽屋でワイワイ楽しいんだろうな……。今頃コンサートの時期だ、私も出たかったな……。

正直言って、若くして母になる選択をしたことに後悔がないと言えばウソになります。妊娠してから家に閉じこもっているときは“もし妊娠してなかったら、今頃何をしていたんだろう……”なんて考えていました。

親族だけの結婚式

早くしないとどんどんお腹が大きくなってドレスが着れなくなってしまう。だから私と彼の身内だけで結婚式を挙げました。お父さんとバージンロードを歩いた感動は一生忘れません。

この頃ぐらいからかな、妊娠して半年ぐらいたっていたので体調もだいぶ安定してきたんです。外に出て運動するなど少しずつアクティブなことをやり始めたら、精神的にもだいぶ安定してきたような気がしました。

でも、結婚式が終わって体調が落ち着いてから気がついたんです。友達と遊ぶのもお酒を飲むのも、子育てが終わってからやればいいや!って。だから今はママになることに専念しようって。そう思ってからだいぶ前向きになれた気がします。

私をママにしてくれてありがとう♡

私の近くにお姉ちゃんがいてくれたので、同世代のママがいていろんな経験談を聞けることはとっても心強いことでした。ママであることを楽しもうと心に決めてからは、エコーでどんどん大きくなる赤ちゃんの写真を見てはドキドキ! 7ヵ月目に女の子だって判明したんです。

子どもの名前は、「希」は私から一字取って、「空」は彼の名前の太陽から取って、「希空(のあ)」と妊娠中に名付けました。

そんな希空も、今では私がモーニング娘。のオーディションを受けたときと同じもう12歳に成長。自分の感覚としては、ずっと私は10代のまま(笑)。だから娘がそんな年齢になったなんて本当に信じられないんですよ! しかも私よりも背が大きくなっているし、何もかも不思議な感じ!

今は子どもたちに囲まれて、朝なんて毎日が戦場のようにバタバタ。でも、子どもたちを学校に送りだして一息ついたとき、心からこう思うんです。

「若くして子どもを産んだのは正解だった」って。

目の前のことに必死すぎて、必ずしも子育てを楽しんでいたなんて言い切れないけど、「私をママにしてくれてありがとう♡」これだけは心から言えるんです。あのときもし仕事を選んでいたら、今私が感じている幸せなんて絶対に味わえなかったはず。19歳で妊娠したことは、私にこの幸せを感じて欲しくて神様が与えてくれたのかな? そんなことを思いながら、このお話をしてみました。私に幸せをくれる4人の子どもたちのために、これからもママは頑張るよ!

また、来週会いましょう♡
辻希美

インタビュー・文/西村真紀

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