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ソ連時代の最強戦車「T-34」が活躍!エンタメ感あふれるロシア映画が激アツい!

  • 2019.10.30
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「ロシア映画」と聞いて、皆さんはどんな印象を持たれるだろうか?社会主義時代のイメージがあるせいか、「エンタメ性に欠ける」「重苦しい」「暗い」という印象を持つ人も多いだろう。しかし、近年はロシア国内でも映像に用いられるVFX技術が向上し、ハリウッド映画に影響を受けた若い世代のクリエイターたちも多く現れているため、実はエンタメ性にあふれた作品も多く作られており、古いロシア映画のイメージを払拭する作品が日本でも公開されている。

【写真を見る】現存する「T-34」戦車などを用いた映像が魅力!

兵器である戦車が鉄の棺桶にもなるという戦争の現実も描く
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

現在公開中の『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は、そうした近年のロシア映画界の潮流を背景に、第二次世界大戦時に活躍した戦車兵の戦いを描いた作品だ。戦車兵が活躍する映画といえば、ブラッド・ピット主演の『フューリー』(14)を思い出すかもしれない。アメリカ製の『フューリー』はシリアスな戦争映画という仕上がりだが、ロシア製の『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は、ある意味で逆を行く、エンタメ性が強い、ダイナミックかつエキサイティングな戦車アクション映画として完成しているのだ。

戦車史に名を刻む名戦車が活躍!

監督を務めたのはアレクセイ・シドロフ。ロシア製クライムアクションとして評価の高い『アルティメット・ウェポン』(05/監督・脚本)、『アーマード・ソルジャー』(07/製作・脚本)を手掛けた、ロシア製アクションの注目株的なクリエイター。そんな彼が手掛ける『T-34』は、最新VFXと実在する戦車を撮影に使用することで、リアリティと派手さが融合した大迫力の映像が魅力となっている。

リアルで迫力ある戦車が楽しい!『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

タイトルにある「T-34」とは、第二次世界大戦時にソ連の主力として活躍した戦車のこと。T-34は、機動性の高い戦車を用いる電撃戦を得意としていたナチス・ドイツの戦略に歯止めをかけた、戦車史に残る車輌だ。ドイツ軍の戦車の砲弾を跳ね返す傾斜装甲と敵戦車を一撃で撃ち抜く強力な砲を持ち、さらに高出力エンジンによる高い走行性能は、ナチス・ドイツにとっては大きな脅威となり、その衝撃の登場は「T-34ショック」と呼ばれるほどであった。このT-34に対抗するため、その後のドイツが開発したのが、ティーガーⅠやパンターといった強力な戦車たちになる。

狙われる戦車
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

捕虜となったロシア兵たちの脱出のための戦い

本作の主人公は、ドイツ戦車との不利な戦闘で捕虜になったソ連の戦車兵ニコライ・イヴシュキン(アレクサンドル・ペトロフ)。捕虜収容所に送られたニコライは、自身を打ち負かしたイェーガー大佐からより良いドイツの戦車兵を育てるための仮想敵として、訓練に協力するよう強要される。そして、ニコライと同じく捕虜となった戦車兵たちの前に用意されたのは、乗員が死亡したためにドイツ軍に捕らわれたT-34の進化型である「T34-85」戦車だった。車内整備をした結果、戦車の中に残された6発の実弾を見つけたニコライたちは、女性捕虜の助力のもと、戦車戦の訓練中に収容所を脱出する作戦を展開する。

捕虜となったニコライらソ連兵がT-34に乗り込んで、ドイツ戦車と戦う!
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

いまも現存するT-34を用いたリアルさ

注目すべきは、やはり対戦車戦。ソ連は戦勝国であり、当時T-34が大量に生産されたため、国内には状態が良く実際に走らせることができるT-34の実車が多数実在している。本作では、それらの車輌を用いて撮影を行うことで本物の戦車だからこそ表現できる、戦車が鉄の塊の兵器であるというリアリティを全面に押し出している。そして、対戦車戦では、発砲された砲弾がどのように戦車に着弾し、破壊するのかというプロセスをCGとスローモーションを多用した映像で徹底表現。砲弾の種類によって変化する爆発や破壊などの描写の違いなどにもこだわり、戦車の持つ破壊力、そして戦車が陸の王者たる圧倒的な兵器ながら、状況によっては鉄の棺桶にもなるという戦争の現実をこれでもかと見せつけてくれる。

さらに地形効果などを使い、立体的に動き回りながら敵と戦う戦車戦のセオリーも、位置関係をしっかりと理解させ、様々な角度とスピード感で展開。戦車のリアルさを堪能させながらもケレン味のあふれる表現が楽しめる映像となっているのだ。

【写真を見る】現存する「T-34」戦車などを用いた映像が魅力!
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

現存しないドイツ軍の戦車に関しても、徹底した考証を行ってレプリカ車輌を制作。CGと融合させることで本物らしさを追求している。さらに砲弾が戦車に当たると、その反響音で乗員がダメージを受ける様子などまで描くなど、エンタメ性を維持しながら本物らしさも両立させる手腕は見事だ。

戦車内部の様子もリアル!
[c] Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

ドラマ面では、仲間との友情やライバルとの関係性、さらに捕虜女性とのラブロマンスといったストーリー要素もしっかりと押さえているので、戦車や戦争の知識がなくても、戦場を舞台にしたエンタメ性の高い作品としてじっくりと楽しめる1本になっている。ぜひ、近年の進化したロシア映画の底力を劇場で確認してみてほしい。(Movie Walker・文/石井誠)

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