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妊娠前~閉経後…ライフステージごとに変わるホルモンバランスとヨガの役割

  • 2019.10.25
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女性のライフステージにヨガがもたらすもの

このページでエーカパーダラージャカポターサナ(片足の鳩の王のポーズ)をしているキャサリン・デ・ロス・サントスにとって、ヨガは生涯の友だ。デ・ロス・サントスは幼い時から動くのが大好きで、17歳の時にアイダホ大学で正式にヨガのクラスを受講し始めた。B・K・S・アイアンガーの『Light on Yoga(邦訳:ハタヨガの真髄)』を読んでヨガの精神的側面への理解を深め、毎日欠かさず練習することを心に誓った。当時は、実際にあれほど多くの体と心の問題を乗り越えるのにヨガが役立つことになるとは思ってもみなかった。デ・ロス・サントスは、気力と体力に満ちていた20代にヨガを教え始めた。ポーズを練習して心を静めることができた。30代はヨガのおかげで自分の能力や価値を信じることができた。40代に入ると更年期のほてりに悩まされたが、さまざまな面でヨガを実践してなんとか乗り切ることができた。そして、66歳の今、更年期と両親が他界した時の感情の浮き沈みを乗り切るのにヨガが役立ったと振り返っている。「重要なのはヨガをやめないことだと思うの。生徒たちにもそう話しているわ。自分の人生にポーズを織り込んでいくという考え方が素敵だと思うわ」。カリフォルニア州メンロ・パークで個人レッスンを行っているデ・ロス・サントスはこう話す。

この記事では、青年期、妊娠可能期、閉経周辺期、閉経後というようにそれぞれ異なる時期にいる4人の女性が、どのようにヨガと向き合っているか紹介したい。

「ヨガには、女性の人生のあらゆる段階にとって重要な要素があります」。こう語るのは、カリフォリニア大学サンフランシスコ校に女性の心とホルモンのクリニック(Woman's Mood and Hormone Clinic)を開設した医学博士で神経精神科医のローアン・ブリゼンディーンだ。「ホルモンが劇的に変化する時期は、ヨガをする気がなかなか起きないものですが、その時期こそ私たちがいちばんヨガを必要としている時期なのです」。体内の化学的性質が変化することによって、気分に大きな混乱が生じる。ただ、『The Female Brain(邦訳:女性脳の特性と行動 深層心理のメカニズム)』の著者でもあるブリゼンディーンによれば、ヨガなどを行うと血流に化学物質が放出されて、幸福感や満足感がもたらされるという。

規則的にヨガを行っていくと、身体的にも感情的にも精神的にも支えられるが、節目ごとにそのときの必要性に合わせて練習を変えていくことが重要だ。年齢を問わず挑戦しがいのあるポーズを練習することはできるが、今の状態に合った練習をすれば、ヨガの練習を最大限に活かすことができる。言い換えれば、人生の段階やその日の気分に合わせて練習を変えていくということだ。一生を通じて、まさに今この瞬間に体と心に起きていることに意識を向けることが、ヨガから最も大きな恩恵を得るためのかぎとなる。

青年期:人生を始動させる

体内で何が起きているのか

ホルモンの大きな変化が最初に起きるのが、激動の青年期だ。この時期には、脳内の神経化学回路が確立しつつあり、出産可能な体に変えるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量がうねるように変化して、脳と体にもその影響が及ぶ。思春期にみられるこのようなホルモンの変動は、衝動的な行動を引き起こすこともある。脳の辺縁系の一部であり感情と関係のある扁桃体にホルモンという燃料が満ちているためだ。ホルモンがいっせいに変動することによって、エネルギーがみなぎり、気分が揺れ動き、肌に不調が生じるほか、人づきあい、社会的つながり、性的欲望が新たな関心の的となる。女の子はこの時期にはますます敏感になり、他者からの性的関心にどう対処すべきかわかっていないことも多い。

ノースカロライナ州ダーラムにある統合療法を専門とする医療機関(Duke Integrative Medicine)で働くヨガ療法士、キャロル・クルコフによれば、10代の若者が自分の体と折り合いをつけるうえでヨガが役立つという。「ポーズの練習、呼吸法、瞑想が感情のバランスをとるのに役立ちます。心の声を受け止めて、自分の価値と共鳴する選択ができるようになります」

ヨガを始める

医師で『Women's Bodies, Women's Wisdom』の著者であるクリスチャン・ノースラップは、青年期という時期の性質が「懸命な練習」に向かわせると考えている。若者は激しいエネルギーを注ぐ対象として、力強い太陽礼拝のシークエンスやヴィンヤサフローを行っているという。

しかし、先述のヨガ療法士クルコフは、10代が行うヨガは飛んだり跳ねたりするだけであってはいけないと忠告している。クルコフは、若者たちにとってシャヴァーサナ(亡骸のポーズ)でじっとしていることがどれほど難しいかその目で見てきた。クルコフはこのように話している。「彼らはテレビを見ながら携帯でメールを打ち、CDを聴きながらインスタントメッセージを送ってきた世代です。神経が極度に高ぶり、ストレスがたまっています。ただそこにいる、ただ存在するすべを知らないのです」

まず、動的なシークエンスを行ってエネルギーを解放するところから始めよう。そして、座位のポーズと前屈のポーズで心と体を静めていこう。

実際の体験談

このページのモデル、リンゼイ・ジーン・スミス(撮影当時19歳)が語っているように、呼吸を観察してその瞬間にとどまることができるようになると、集中力が高まり、心を込めて人と交流できるようになり、毎月周期的に訪れる感情の波にうまく乗れるようになる。難しいポーズに取り組めば自尊心が育ち、回復目的のポーズをすれば月経前症候群が緩和される。

リンゼイは高校4年生の時に「忘れられないほど衝撃的な感情のジェットコースター」を体験したが、ヨガによって救われたと打ち明かす。当時リンゼイは、大学出願のストレスによって孤立感を覚えていた。「どうしようもない孤独を感じて、もうめちゃくちゃだった」と当時を回想する。そこでリンゼイは、体育の一環で行われていたヨガのクラスに申し込んだ。「最初のポーズで、体がありがとうって声を上げたんです。体を動かしたら、体も心も柔軟になって、ストレスが溶けてなくなったの」。こう語るリンゼイはインタビュー当時、見事スタンフォード大学の1年生になっていた。

ウールドゥヴァダヌーラーサナ(上向きの弓のポーズ)

効果:自信が高まる。激しく変動する時期に身をゆだねることを学ぶことができる。

やり方
膝を曲げて仰向けになる。耳の近くに手を下ろし、指先を足のほうに向けて大きく開き、肘を天井に向ける。息を吐きながら、尾骨を引き上げてお尻を床から上げる。深い呼吸を3回する。手を押し下げて、肩甲骨を背中に安定させ、頭頂部を上げて床につける。このときもまだ両腕は平行のまま。深い呼吸を3回する。次に両手両足でしっかり床を押し下げて、吐く息で頭を床から引き上げて腕を伸ばし、十分な後屈に入る。尾骨を膝の裏側に向かって伸ばし、太腿の上部をやや内側に回す。肩甲骨を背中に安定させる。3~10回呼吸する間この姿勢を保ったら、ゆっくり体を下ろしていく。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)

効果:盛んに動く心を静めて、思春期によくある感情の揺れを抑える。

やり方
四つん這いになり、膝を股関節の真下に、手を肩の真下に揃える。手の指を広げて、親指と人差し指で強く床を押す。足の指を下向きに回転させ、吐く息で膝を床から引き上げ、尾骨を骨盤から離すように伸ばし、坐骨を天井のほうに引き上げ、脚を伸ばし始める。太腿の最上部を後方に押し、手で床を押しながら、かかとを床に下ろしていく。頭を両腕の間に入れる。肩甲骨を耳から遠ざけて、太腿の上部をやや内側に回転させる。2~5回呼吸する間この姿勢を保つ。ポーズを出るには、膝を曲げて四つん這いに戻り、そのまま後ろに腰を下ろしてバーラーサナ(チャイルドポーズ)に入る。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

プランクポーズ+ウディヤナバンダ(腹部の引き上げ)

効果:一生を通じてきわめて重要な役割を果たす強い体幹をつくり上げる。

やり方
ダウンドッグから胴体を前方に出して、頭頂部から足までを一直線にする。両手が肩の真下にあることを確認する。体重を手の指10本に均等にかける。脚を真っすぐ伸ばして、体の中央が沈まないようにする。手で床を強く押し、肩甲骨を下げ、太腿の前面を上に押し上げ、頭頂部からエネルギーが出ていくイメージをもつ。優しく微笑みながら、目線を床に下げてあごの緊張をゆるめる。30秒~2分間この姿勢を保つ。強度を高めるには、ウディヤナバンダ(腹部の引き上げ)を行う。7つ数える間息を深く吸い、4つ数える間呼吸を止めた後、肺が空っぽになるまで息を吐き切る。息を止めて、へそを脊柱のほうに引き、4つ数えたらそっと息を吸う。これをあと2回繰り返す。ポーズを出るには、体を後ろに押してチャイルドポーズに戻る。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

妊娠可能期:根を張ろう

体内で何が起きているのか

20代前半から35歳くらいまでの時期は、月経前症候群が最も強くなるほか、(職業を決めたり、人生の伴侶を見つけたり、家庭を築くなど)人生の込み入った問題に直面して感情に激しい浮き沈みがみられる。日々の生活だけを見ても、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンのバランスが新たなバランスに適応していく必要がある。「この時期の良い点は、体が柔軟になることと、環境などへの適応力が高まることだ」とサラ・ゴットフリードは説く。ゴットフリートは医学博士で女性を対象とした統合医療を専門とする医師である一方、ヨガも指導しており、『The Hormone Cure』の著書がある。一方、この時期の悪い点は、感情が繊細になり、不安やむら気が顕著になることだ。ストレスホルモンとも呼ばれているコルチゾールの値も、おおむねこの時期に最高に達する。子供のいる女性はこのほかにも劇的な変化を体験する。「女性の一生のうち、妊娠期間中と産後にホルモンの変動が最も大きくなり、それによって乳房、脂肪組織、筋肉など全身に変化が引き起こされます」。前述の神経精神科医ブリゼンディーンはこのように話している。また、子供の有無に関係なく、この時期のホルモンの変化は感情にも影響を及ぼす。絆を築く愛情ホルモンとして知られるオキシトシンが大量に放出されることによって、内なる母性が引き出される一方で、テストステロンが増加することによって、攻撃性を感じたり動揺したりすることもある。

ヨガの練習を変えていこう

ゴットフリードは、エストロゲンと黄体形成ホルモンの分泌が急増する排卵期には創造性と力が満ちあふれると考えており、この期間に太陽礼拝や力が湧いてくる後屈のポーズと逆転のポーズをすることを推奨している。月経の期間中は、回復目的のポーズを行うことによって、月経痛を和らげたり、気分の揺れを抑えたりすることができる。また、ゴットフリードは月経の期間中に自分の体を管理することはきわめて重要だと説いている。サンフランシスコでヨガを指導しているジェーン・アースチンは、この多忙な時期のストレスに対処するうえでヨガが役立ったと話している。「ヨガの本質はポーズだけにあるわけではありません。ヨガは私をよい母親にしてくれます」と語るオースチンは、自分が幸せでいるためにヨガが欠かせないことがわかったので、日中に練習する時間がなかったときには、夜9時でもマットを広げるのだという。

「もちろん、私は頭の背後の床に両足を下ろすポーズだってできますよ。でも、子供たちに怒鳴っているとしたら、そんなことなんの意味があるのでしょうか」。この時期こそ、瞑想を取り入れるべき時だ。

「20分間の瞑想を1日2回すれば、血圧が低下し、不安が和らぎ、睡眠と記憶が改善することが研究によって示されています。すべて30代の人が必要としているものですよね。人生の階段を上っている真っ最中で、家を建てたり、多くの場合自分以外の人の面倒を見ている時期ですから」。ノースラップはこう語っている。

実際の体験談

このページのモデル、ウテ・キルヒゲスナー(撮影当時32歳)は、26歳でヨガを始めると、すぐにそのとりこになったという。ただ、間もなくして体の疲れと腰痛を感じるようになった。ヨガだけでなく生活でも「頑張りすぎていた」のだ。そこで、キルヒゲスナーはヨガの練習と慌ただしい日常生活のペースを少し落とした。

「ヨガは続けましたが、以前よりも抑え気味にして、呼吸と思考と感覚に意識を向けるようにしました。すると、腰痛が解消して、地に足がついていると感じられるようになったんです」。キルヒゲスナーはアシュタンガヨガの指導者養成講座に申し込み、その数カ月後に受講を始めたときに、妊娠4カ月であることがわかった。このときは当初の計画よりも控えめな練習にせざるをえなかった。母親になる準備をするのは大変なことだった。「私は今、さらに練習を控えるようにしています。家ではストレッチとリラックスを目的としたポーズをするだけ。でも、それがヨガなんです!」

バカーサナ(ツルのポーズ)

効果:体幹と腕の力、バランスを維持するのに役立つ。

やり方
両足を5 ~ 6cm離し、膝を腰幅より開いてしゃがむ。太腿の間に胴体を傾けていきながら、肘を曲げて両手を床に下ろしていく。太腿の内側を胴体に押し上げ、すねを脇の下に当てる。胴体をさらに前に出しながら、肘を曲げた状態でかかとをゆっくり床から離し始める。ここで深い呼吸を3回する。息を吐きながら、手で全身のバランスをとりながら、つま先を片方ずつ床から浮かせる。この姿勢を20秒間保つ。次に、両足を腕に強く押し当てながら、肘を伸ばしていく。ポーズを出るには、肘を曲げ、胴体を下ろして脚を解放し、しゃがんだ姿勢に戻る。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)

効果:頑張ることとくつろぐこと、交感神経と副交感神経のバランスをとるのに役立つ。

やり方
足を120cmほど開いて立つ。右足をやや内側に向け、左足を90度外に回転させる。腕を両側に開き、床と平行に保つ。息を吐きながら、左膝を曲げて足首の真上に揃えて、左手の指先のさらに先を見る。可能な場合は、左太腿を床と平行にする。顔とあごの緊張をゆるめる。呼吸を繰り返しながら、体の前面を働かせ(交感神経を活性化)、体の背面をゆるめて(副交感神経を活性化)、前面と背面のバランスをとる。5回呼吸する間この姿勢を保つ。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

ヴィパリタカラニ(壁に脚を上げるポーズ)

効果:仕事と子供の世話から解放される時間を得られる。体を回復させ、心を静めるのに役立つ。

やり方
たたんだブランケットか高さ15cmほどのボルスターを壁の近くに置く。体の右側を壁に向けて、ボルスターの上に横向きに座る。息を吐きながら、ゆっくりボルスターの上に横たわり、体を回転させながら両足を壁に向かって上げる。坐骨をボルスターと壁の間に下ろし、体の背面をボルスターの上に休ませ、肩は床に下りるように体の位置を調整する。腕を伸ばして胸部の開きを支える。両側に伸ばしても、頭上に伸ばしてもよい。脚全体を働かせ続け、顔とあごの緊張をゆるめて、深い呼吸を続ける。5~15分間このままでいる。ポーズから出るには、ボルスターを静かに外して体を横に向け、2~3回呼吸をしてから体を起こして座る。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

閉経周辺期:ジェットコースターに乗ったような日々

体内で何が起きているのか

ブリゼンディーンによれば、閉経期とは厳密には24時間しか続かず、最終月経の12カ月後の1日を指すのだそうだ。しかし、この重要な1日に至る移行期間は、10年間続くことがあり、通常42歳から52歳くらいの間に相当する。この間に、正常に月経がある状態から月経がまったくない状態に移る。移行期には、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの周期が不規則になり、不眠、ほてり、疲労感、月経前症候群、抑うつ感、神経過敏、不安、性欲減退が引き起こされることがある。「月経周期に慣れていた女性の体に、突然、ホルモンの劇的な変化が起きます」とブリゼンディーンは話している。

練習を変えていこう

研究によって、意識的な呼吸がこの時期の諸症状への素晴らしい対処法になることが示されている。North American Menopause Society(北米閉経学会)の専門誌『Menopause (閉経)』によれば、5秒間息を吸って5秒間息を吐く呼吸を1日2回行うと、ほてりが44%軽減することが明らかになったという。また、この時期は体と感情の状態に細心の注意を払うほか、ヨガによってそこにどのような影響があるのか観察すべき時期でもある。逆転のポーズはストレスと不眠を緩和し、ねじりのポーズは疲労と抑うつ感を和らげ、前屈のポーズは神経過敏と不安を軽減する。多くの女性が、精力的でペースが速かった練習から、長時間保持するポーズを行う練習に変化していくのを経験している。

実際の体験談

「閉経周辺期に入ると、体と感情が激変します」先述の医師でヨガ指導者であり、このページのモデルでもあるサラ・ゴットフィールドはそう語る。ゴットフィールド自身の閉経周辺期は、第2子出産後(38歳)に始まった。「今は気分にむらがあります。また、アシュタンガヨガを行うと寝汗がひどくなるので、アナ・フォレストが始めたフォレストヨガのようなヨガを練習するようにしています」。ゴットフィールドが重きを置くものが変わったのだ。ゴットフィールドは今、アームバランスと逆転のポーズを楽しんでいる。「私はホルモンと感情の状態を見て練習内容を決めています。20代全般と30代のほとんどの期間は、柔軟性も高くて課題に集中的に取り組んでいました。今は命を存続させることと、家族に怒りをぶつけないように気持ちを制御することに焦点を絞っています。前屈と逆転のポーズをして激しい怒りを防ぎ、後屈のポーズと呼吸法をして抑うつ感を抑えています」

サーランバサルヴァーンガーサナ(支えのある肩立ちのポーズ)

効果:ストレス、軽い抑うつ感、更年期症候群を緩和する。

やり方
少なくとも2枚のブランケットを長方形にたたんで重ねる。その上に粘着性のあるマットをのせて、滑らないようにする。両脚を伸ばしてブランケットの上に横たわる。肩はブランケットの上にのせ、頭は床に下ろす。手のひらを下に向けて、両腕を体側に伸ばす。息を吐きながら、膝を胸部に引き寄せて2~3回深い呼吸をする。ここで、両手で床を押して、指先を上に向けて手を腰に当てながら、腰を床から引き上げる。手で腰を支えながら、ゆっくり胴体を引き上げて床に垂直に立てる。両肘を引き寄せて、腰に当てている手を床のほうに歩かせる。息を吸いながら、曲げている膝を天井に向けて伸ばし、太腿と胴体を一直線にする。足の指の付け根も引き上げて、喉と目線を和らげ、肩甲骨を仙骨のほうに動かす。上腕の裏側と肩の最上部で積極的に床を押して、脊柱を床から離すように引き上げることに集中する。目線をそっと胸部に向ける。1分間このままでいる。ポーズから出るには、膝を胸のほうに曲げて、ゆっくりと体を丸めながら仰向けになる。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ(ねじった頭を膝につけるポーズ)

効果:ホルモンが劇的に変化するときに、感情を静めるのを助ける。

やり方
脚を前に伸ばしてダンダーサナ(杖のポーズ)で座る。左膝を曲げて、足裏を右太腿に寄せる。右腕を右脚の上から足先の内側に向かって伸ばしながら、胴体を左側にねじっていく。左腕を頭上から右足先まで伸ばして側屈に入る。下の腕の肘を床のほうへ、上の腕の上腕二頭筋を耳の横へ動かす。息を吐きながら、胴体をそっと天井のほうにねじり、頭を腕の間に入れる。息を吐きながら、胴体をもう少し天井のほうにねじる。30秒程度このままでいる。ポーズを出るには、手を解放してダンダーサナに戻る。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
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マリーチャーサナ(賢者マリーチのポーズ)

効果:軽い抑うつ感、ほてり、不安をはじめとする閉経周辺期の諸症状に対処するのに役立つ。

やり方
両脚を前に伸ばして床に座る。左膝を曲げて、左足裏をできるだけ坐骨の近くに下ろす。胴体を右側にねじりながら、左脚のすねが脇の下に触れるまで、左肩を前に出す。左腕をそのままにして、胴体のねじれを戻して正面を向く。息を吐きながら、左腕を左のすねと太腿の周囲に回し、左肘を曲げて前腕をウエストの高さで背中側に回す。息を吐きながら、右手を背面に回して両手を結ぶ。息を吐きながら、伸ばした脚のほうに胴体を前傾させる。肩の緊張をゆるめる。1分間このままでいる。ポーズを出るには、両腕をほどいて左脚を伸ばす。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
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閉経後:新たな出発

体内で何が起きているのか

閉経期が終わると、エストロゲンにもオキシトシン(愛情ホルモン)にも減少がみられる。エストロゲンの減少は、骨がもろくなり関節が硬くなることを意味している。この時期の良い点は、感情面に大きな混乱をもたらしたホルモンの変動が終わっていることだ。「ほとんどの女性が、1カ月ごとの変動から解放されて元気になり、生きることに新たな意欲を感じます」とブリゼンディーンは語る。多くの女性にとってそのような時は、厳しい出世の競争と手がかかった子育ての時代が終わり、自分自身を大切にする時間が増えたときに訪れる。

練習を変えていこう

体重の負荷がかかるポーズを行うと、骨の強度が保たれ、関節の機能を改善することができる。また、常にポーズの練習を行うことによって、可動域と柔軟性を保つことができる。しかし、体は変化していくため、ポーズを修正して、これまで以上にプロップを使っていく必要がある。この時期には多くの女性が自然に、瞑想や呼吸法をはじめとする静かな練習を好んで行うようになる。「私たちはあまりに長期間、あまりにも多くの人に人生を捧げてきたからこそ、この時期は自宅に戻ったような気がするのです。年齢を重ねる過程は、必ずしも衰えを意味するものではありません。ヨガがいつもそう教えてくれます」とノースラップは話している。

実際の体験談

多くのヨギーニは60代になっても、運動選手のような力強い練習を続けることができる。デ・ロス・サントスがこのページのポーズを行ったのは55歳の時で、毎週少なくとも12のレッスンで教えていた。また、(立った姿勢から後屈に入っていく)バックドロップのような上級ポーズにも取り組んでいた。デ・ロス・サントスは20代の時にしていたポーズを今でもすることができるが、重要なのはそのようなことではないことをよく理解している。デ・ロス・サントスは「これまでの経験から、どんな年齢でもどんな体型をしていても、精神状態も体も心も変えられると確信しています」とも話している。デ・ロス・サントスは今、ストレスを感じたときにはパスチモッターナーサナ(座位の前屈)のような心を静めるポーズを積極的に行っている。練習ができないときでも、意識を研ぎ澄まして感じ取ることを通じて、ヨガに励んでいる。「無上の喜びと幸せを毎日感じていると心から言えます」

ヴルクシャーサナ(木のポーズ)

効果:年齢を重ねながら、骨の強度を保ち自信を高めることに役立つ。

やり方
ターダーサナ(山のポーズ)で立つ。体重を右足に移して、左膝を曲げ、左足のかかとを右太腿の内側に当てる。左足のつま先を床に向けて、かかとを太腿に強く押し当てる。両手を胸の前で合わせる。両足のかかとをしっかり踏んで、両足の土踏まずから体を引き上げる。目線を下げて、骨盤の中心が右足の上にくるようにする。1分間このままでいる。ポーズを出るには、左足を床に下ろして山のポーズに戻る。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

スプタバッダコナーサナのバリエーション(横たわった合せきのポーズ)

効果:関節の柔軟性を保ち、全身の緊張を解く。

やり方
ボルスターの前方1/3のところに座って、2/3が背後に出るようにする。上体を後ろに傾けていく。肩はボルスターから外れて、腰とその上の部分がボルスターで支えられるようにする。両足のかかとを合わせる。肘を両側に開いてそっと床に下ろす。この角度がきつい場合は、ブランケット1~2枚で肩を支える。10~20回呼吸する間このままでいる。ポーズから出るには、膝をゆっくり合わせて横向きになる。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
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セツバンダサルヴァーンガーサナ(ブロックを2つ利用して壁に向かって行う橋のポーズ)

効果:この時期によく起きる腰痛を予防する。

やり方
ブロックを立てて、ひとつを壁の前に、もうひとつを体の近くに置く。壁に足を向けて仰向けになる。膝を曲げて、腕を体側に伸ばし、手のひらを上に向ける。肩を頭から遠ざけるように後ろに回して、胸部を開く。腰と胸部を引き上げて、両手で背面を支える。頭と肩は床の上に平らに保ち、脊柱をできるだけ高く引き上げて、ブロックをお尻の肉の下に入れる。ここで、片方ずつ膝を伸ばして、かかとを壁際のブロックにのせる。腕をブロックの先に伸ばす。呼吸を続ける。1分間このままでいる。ポーズを出るには、膝を曲げて、足をブロックから下ろす。仙骨の下のブロックを取り除き、ゆっくりと仰向けに戻る。膝を抱えて胸に寄せる。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
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教えてくれたのは…ノラ・アイザックス
『ヨガジャーナル』誌の元編集者で、『Women in Overdrive: Find Balance and Overcome Burnout at Any Age』の著者。

photos by David Martinez
models by Catherine de Los Santos
Lindsey Jean Smith,Ute Kirchgaessner
Sara Gottfried
styling by Lyn Heineken
hair&make-up by Tokyo/Workgroup
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.66掲載

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