E-girlsメンバーの山口乃々華さんが、瑞々しい感性で綴る連載エッセイ「ののペディア」。今、心に留まっているキーワードを、50音順にひもといていきます。
第16回「た」:タイミング
いつもならスムーズに行けるはずの道も、時間に余裕がない日に限って、いちいち赤信号に引っかかったり。
向かいから歩いてきた人と、何回も同じ方向に避けてしまって、なかなか進めなかったり(ちなみにこの現象には「連続回避本能」という名前があるらしい)。
些細なことばかりだけれど、ひとつタイミングがずれると
とことんダメな日になったりする。
落ち込んでいるところに追い討ちをかけるように、とんでもない大失敗が待っていたりするのだ。
あぁ、もう! いつもは、そうじゃないのに!
なんで今日に限って〜!と
そのタイミングの悪さに腹を立てることもある。
反対に、タイミングが良い日もある。
拾った落とし物が、たまたま好きな人の物だったり(なかなか無いか・・・)。
家を出たら、虹が出ていたり(これも、なかなか無いかな・・・)。
コンビニのおでんが全部出来上がってる状態だったり。
スケジュールがすべてスムーズにいったり。
失くしたと思っていたものが、必要なときにしっかり見つかったり。
ラッキー!と思えることが積み重なるほど、気分も上がって、その日1日は上機嫌で過ごせる。
でも、それだけじゃない。
たとえば
出かけよう!と計画していたのに、ハプニングが起きてしまって
物事が思うように進まず、目先の楽しさが消えて無くなってしまったとする。
そうすると、今日はあまりいい日にならないな・・・と感じてしまう。
「とことんダメな日」になることを想像してしまう。
でも、そのハプニングが
結果、よかったな、そうあるべきタイミングだったんだ、なんて思えることを連れてきたりする。
結果、ラッキー!
そんなふうに思えたら、さっき失くしたものだって、ちゃんとわたしのもとに戻っていたことに気がつける。
自分の心の状況を良い意味でも、悪い意味でも乱してくる「タイミング」。
振り回されてばかりでは困るけれど、やっぱり逃げられない。
あれもこれもあるのが日常で。
タイミングを掴めずに招いてしまった失敗には、後悔することも、落ち込むこともあるけれど、なんだかんだ笑い話に変わったりもするし
逆にタイミングの良さから巡ってきたハッピーが、わたしを笑顔にしてくれることもたくさんある。
良いも悪いも含めて、たのしく生きられたらなぁと思う。
【ののペディア/タイミング】
こればっかりは運。いろんなものを運んでくる。