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年末調整でマイナンバーの記入は必要?必要・不要な場合をFPが解説!

  • 2019.10.22
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年末調整の手続きで記入が必要なマイナンバー(個人番号)ですが、一定の要件を満たしていれば記入が不要となるケースもあります。この記事ではマイナンバーの記入が必要な書類と、記入が不要となるケースについて解説します。

マイナンバー(個人番号)制度とは

マイナンバー(個人番号)とは、日本に住民票のあるすべての人に割り振られる12桁の番号のこと。マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の3つの分野において、複数の機関に存在する個人情報を紐付ける仕組みです。

マイナンバー制度の目的

マイナンバー制度には、大きく次の3つの目的があります。

  • 国民の利便性の向上
  • 行政の効率化
  • 公平・公正な社会の実現

マイナンバー制度の導入によって、これまで市町村役場や税務署などを回って準備しなければならなかった書類が不要になるなど、利便性が向上しています。

マイナンバーは原則一生変更されない

マイナンバーは、漏えいして不正に使用される恐れがある場合を除き原則一生変更されないため、慎重に管理する必要があります。

マイナンバーの目的外利用は禁止されている

マイナンバーは、法令で定められた社会保障・税・災害対策に関する手続きにのみ利用が認められており、目的外利用は厳しく罰せられますマイナンバーを提供する義務があるのは、主に次のようなケースです。

年末調整でマイナンバーの記入が必要な書類

年末調整は税金に関する手続きとして、勤務先に提出する書類のうち、次の書類にマイナンバーの記入が求められます。

  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
給与所得者の扶養控除等申告書

給与所得者の扶養控除等申告書には、「従業員本人」および「控除対象配偶者」「16歳以上の控除対象扶養親族」「16歳未満の扶養親族」のマイナンバーの記入が必要

出典:国税庁(筆者により加筆)

*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の配偶者控除等申告書には、「控除対象配偶者」のマイナンバーの記入が必要

出典:国税庁(筆者により加筆)

*給与支払者のマイナンバー(法人/個人番号)の欄は、申告書を受領した会社が記入して税務署に提出するため、記入する必要はありません。

保険料控除申告書などにマイナンバーの記入は不要

年末調整の際に提出する、次の書類についてはマイナンバーの記入は必要ありません。

  • 給与所得者の保険料控除申告書(*1)
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(*2)

(*1)年末調整で生命保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済掛金控除・社会保険料控除の適用を受ける場合に提出

(*2)年末調整で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける場合に提出

マイナンバーの記入が不要となる場合

「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、原則マイナンバーを記入する必要があります。ただし、以下の場合にはマイナンバーの記入が省略できます。

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会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳票を備えている場合

会社(給与支払者)が一定の要件を満たす帳簿を備えている場合、マイナンバーの記載を省略できます。マイナンバーの記載が必須となっている税務署提出用の源泉徴収票には、帳簿をもとに会社がマイナンバーを転記します。

帳簿を備えるかどうかは会社(給与支払者)の判断によるため、それによってマイナンバーの記入が必要となるかが決まります

帳簿に記載する情報の収集方法についての要件

帳簿は給与支払者が従業員から提出を受けた、以下の書類をもとに作成されたものに限られています。

  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

記載すべき内容の記載された帳簿を備えていたとしても、その内容が上記以外の方法で収集されているとマイナンバーの記入は省略できません。

帳簿に記載する必要のある項目

帳簿には、扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書に記載されるべきマイナンバーなどの情報のほか、作成に用いた税務関係書類の名称や提出日が記載されていなければなりません。

  1. 当該書類に記載されるべき提出者本人、控除対象となる配偶者、控除対象扶養親族等の「氏名」「住所」「マイナンバー」(*3)
  2. 帳簿の作成にあたり提出を受けた申告書の名称
  3. 上記申告書の提出年月

帳簿の記載されている内容に変更があった場合、あなた(従業員)は変更前後の内容を記載した会社所定の届出書または異動に関する控除申告書を会社に提出する必要があります。会社はその書類をもとに帳簿の記載内容を訂正します。

扶養控除等申告書に記載すべき内容と帳簿に記載された内容が異なっている場合にも、マイナンバーの記入を省略することはできません

マイナンバーの指定を受けていない場合

マイナンバーの指定を受ける前に日本を出国し、マイナンバーの指定を受けていない扶養親族等のマイナンバーは記入不要です(そもそも記入すべきマイナンバーを有していないため)。マイナンバーの指定を受けた後に出国し、海外に居住している扶養親族等のマイナンバーは記入が必要です。

マイナンバーの記入が必要な書類に記入しないとどうなる?

では、マイナンバーの記入が必要な書類にマイナンバーを記入しなかったらどうなるのでしょうか。

控除や税額の計算には影響しない

扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーの記載がなかったとしても、扶養控除などを適用するために必要となる事項が記載されていれば、控除や税額の計算には影響しません。マイナンバーが記載されている場合と同様に年末調整が行われ、課税関係は終了します。

マイナンバーを記入しないことによる罰則はない

扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書にマイナンバーを記入しなかったとしても、罰則はありません

とはいえ年末調整におけるマイナンバーの提供は法律によって義務付けられたもの。あなた(従業員)がマイナンバーの提供を拒否した場合、会社が義務違反を疑われ迷惑をかけてしまう恐れもあります。

マイナンバーを記入しないことによる税額計算への影響や罰則はないとはいえ、特段の事情がない限り勤務先の指示に従い記入するようにしましょう。

マイナンバーを記入すると副業が会社にバレる?

会社がマイナンバーをもとに行政機関にその人の収入額や納税額を問い合わせることは目的外利用にあたります。そのためマイナンバーを記入したからといって収入額や納税額を把握され、副業がバレることはありません

税務署には副業収入が把握される

雇用契約や業務委託契約などを結んだ副業先から報酬を受け取った場合、副業先へのマイナンバー提供義務が生じます。

副業先は提供されたマイナンバーを記載した源泉徴収票(雇用契約の場合)、または支払調書(業務委託契約などの場合)を作成し税務署に提出することになっているため、税務署には支払われた報酬(副業収入)が把握されます。

税務署に収入(所得)を把握されやすくなったことで、所得の申告漏れがあれば税務調査を受け、ペナルティ(追徴課税)を課せられる可能性が高くなったといえます(これまでも当然申告しなければならなかったものですが...)。

年末調整でマイナンバーを記入するかを自分で判断することはできない

年末調整で提出する書類へマイナンバー記入しなくてもよいケースもあります。

ただし、それには勤務先(会社)が一定の帳簿を備えている必要があり、あなた自身の判断でマイナンバーを書くか書かないかを決めることはできません。勤務先の指示に従うようにしましょう。

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