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70代で光り輝くカトリーヌ・ドヌーヴ主演映画、世界的傑作『ジョーカー』など10月公開の「大人にオススメの映画」4選

  • 2019.10.21
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2019年10月公開の「大人の女性にオススメしたい映画」4選

映画ライターとして多くの映画に触れている坂口さゆりさんが厳選した、「大人の女性が観るべき」映画作品をご紹介します。2019年10月公開の映画のなかでは、『イエスタデイ』、『真実』、『ジョーカー』、『ボーダー 二つの世界』の4作品が、女性におすすめしたい映画です。

『イエスタデイ』|ラブファンタジー
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© Universal Pictures

映画を見ながらついつい口ずさんでしまいました、『イエスタデイ』。映画『ボヘミアン・ラプソディ』ではありませんが、好きな曲を歌いたくなる映画はやっぱり楽しい!

ビートルズの名曲で紡いだ恋愛映画『イエスタデイ』は、人生を祝福してくれる、現代のおとぎ話です。

舞台はイギリスの海辺の町サフォーク。ジャック(ヒメーシュ・パテル)がシンガーソングライターの夢を諦めたその晩、突然町中の電気が消え始め、世界規模での停電が12秒間発生。

暗闇のなかを自転車で走っていたジャックは、バスと衝突してしまいます。昏睡状態から復活後、仲間に感謝を込めてビートルズの『イエスタデイ』を歌うジャックですが、だれもがその曲に感動するものの、だれもビートルズを知らなくて……。

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© Universal Pictures

世界中でビートルズを知っているのは、自分だけ。そう気づいたジャックは、後ろめたさを覚えながらも、自分の作品としてビートルズの名曲を次々にネットで発表。

すると、なんと超人気ミュージシャン、エド・シーラン(本人!)から、ツアーの前座に誘われます。まったく売れなかったジャックが、またたく間にスターへの階段を駆け上がっていくことに……。

ビートルズファンはもちろん、ファンでなくても彼らの名曲を味わえる、いいチャンスです。「本物」は決して埋もれることはないのだ、とついつい興奮してしまいました。

作品詳細
  • 『イエスタデイ』
  • 監督:ダニー・ボイル 出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン、ジェームズ・コーデンほか 配給:東宝東和
  • 全国公開中。
『真実』|ヒューマンドラマ
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© 2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

映画『万引き家族』が2018年のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールに輝いた、是枝裕和監督。受賞後の次作が、監督にとって初の海外作品となる『真実』です。

母と娘の関係を描いたこのドラマは、今月紹介するなかでも、大人の女性に特にご覧いただきたい1本。『万引き家族』とはかなりテイストが違う、楽しい作品になっています。

映画の主人公で、世界で知られる大女優ファビエンヌを演じるのは、まさに自身が映画史に名を刻むカトリーヌ・ドヌーヴ。娘役にジュリエット・ビノシュ、その夫役をイーサン・ホークが演じています。

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photo L. Champoussin © 3B-分福-Mi Movies-FR3

物語は、ファビエンヌ(ドヌーヴ)がパリの自宅で撮影中の映画『母の記憶に』の取材を受けているシーンから始まります。そこへやって来たのは、ニューヨークで脚本家をしている娘のリュミール(ビノシュ)。

やっと売れ始めたテレビ俳優の夫ハンク(ホーク)と、7歳になる娘のシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)も連れて、里帰りしたのでした。

リュミールの里帰りの理由は、母の出版祝い。ですが、出版前に見せてもらうはずだった原稿を母に見せてもらえなかったことで、リュミールは気が気ではありません。母に詰め寄っても、「送ったわよ」と平気で嘘をつかれてしまいます。

そこに出来立てホヤホヤの自伝本「真実」が到着。その夜、リュミールが早速本を読むことに。翌朝、読了した彼女は「この本のどこに“真実”があるのよ!」と母に詰め寄りますが……。

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photo L. Champoussin © 3B-分福-Mi Movies-FR3

是枝監督が事前にドヌーヴやビノシュなどに取材して練り上げたという脚本だけに、リアリティー感は格別。

ドヌーヴはファビエンヌについて、「私とは全然似ていない」と言っていたそうですが、過去二回ドヌーヴに取材したことのある筆者からすれば、「いやいや、これはあなたのことでしょ?」と、ついドヌーヴと重ねながら観てしまい、何度笑ったことかわかりません。

嫌味をこれほどチャーミングに言えるのは、年の功なのか性格なのか? これはもう芸としか言いようがないかも!

ドヌーヴは70代半ば。考えてみれば、彼女と同年代で、今も現役で主演を演じられるフランス女優はそうそういやしません。

是枝監督によると、ドヌーヴはよく「あの作品観た?」といつも新作映画の話をしていたそうで、常に新しい作品に目を向けていたとか。

いつまでも輝き続けるドヌーヴの姿に、きっとエネルギーをもらえるはずです(Precious11月号では、是枝監督のインタビューを掲載していますので、そちらもどうぞ!)。

作品詳細
  • 『真実』
  • 監督・脚本・編集:是枝裕和 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェルほか 配給:ギャガ
  • TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
『ジョーカー』|サスペンス・エンタテインメント
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© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

アメコミ映画が好きになったきっかけをつくってくれたのは、ティム・バートン監督の『バットマン』(’89年)でした。ジョーカーを演じたジャック・ニコルソンの怪演が衝撃で、ティム・バートンが創り出したダークな世界にも、妙に心を掴まれたのでした。

あれから30年! ホアキン・フェニックスを主人公にした映画『ジョーカー』が公開中です。本作はアメコミ「DCコミックス」とはまったく関係のない、オリジナル作品ですが、映画を観たあとではジョーカーの印象が変わるかもしれません。今年のベネチア国際映画祭で、最高賞の金獅子賞を獲得。

ピュアで心優しき青年が、悪のカリスマ「ジョーカー」として君臨するようになったのはなぜなのか。その理由を解き明かしています。

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© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

「どんなときも笑顔で人を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、孤独ながら心優しき青年アーサー(ホアキン・フェニックス)は、コメディアンを夢見ながらピエロに扮して日々、都会の街角で店のセールの宣伝をしたり、病院へ派遣されたりしながら働いていた。

家では母に寄り添い、同じアパートに住むソフィーに秘かに好意を抱いている。貧しいながらも、笑いのある人生はすばらしいと信じ、懸命に生きていたのだが……。

本国では過激描写が物議を醸し出した本作ですが、私も緊張しっぱなし、心が痛みっぱなしの2時間でした。何度となく足蹴にされ、殴られ、理不尽な目に遭っても這い上がって生きようとするアーサーですが、世間は徹底的に冷淡です。次第に狂気を孕んでいく彼の心の変化を語るように動く、カメラワークが秀逸です。

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© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

母から子への虐待、大人によるイジメ……。まるで日本の社会問題を扱ったかのような物語に愕然。社会から見捨てられ、孤独を感じているアーサーのような青年や子どもたちはすでに、日本にも数多く存在するはずです。

富む者と貧しき者とに分断された不平不満が溜まった社会。本作が各国でヒットしているのは、世界に蔓延する現代社会の病巣に切り込んでいるからに違いありません。

作品詳細
  • 『ジョーカー』
  • 監督:トッド・フィリップス 出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイほか 配給:ワーナー・ブラザース映画
  • 全国公開中。
『ボーダー 二つの世界』|ダークファンタジー
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© Meta_Spark&Kärnfilm_AB_2018

舞台となる銀世界が、幼い孤独なふたりの恋をより幻想的に見せた北欧発のホラー映画『ぼくのエリ 200歳の少女』。その原作者で“スウェーデンのスティーブン・キング”との異名を取る、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが、原作だけでなく脚本も担当したのが、本作『ボーダー 二つの世界』です。

北欧ホラーとはいえ、メガホンを取ったのはイラン生まれのデンマーク人、アリ・アッバシ。工学大学での研究をやめて、建築を研究するためにストックホルムに移り住み、デンマークの映画学校で学んだという、異色の経歴の持ち主です。

本作の世界観に中東テイストも入っているのでしょうが、『ぼくのエリ 200歳の少女』とはまた異なる、強烈な恋愛ファンタジーをつくってくれました。

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© Meta_Spark&Kärnfilm_AB_2018

主人公は、スウェーデンの税関に勤めるティーナ(エヴァ・メランデル)。醜い容姿に悩む彼女は、孤独な人生を送っていた。だが、そんな彼女には特別な能力が備わっていた。違法なものを持ち込もうとする人間を嗅ぎ分けることができるのだ。

ある日、ティーナが待機していると、怪しい旅行者ヴォーレ(エーロ・ミロノフ)がやってくる。特に証拠が出ずそのまま通すことになったものの、ヴォーレを見て本能的に何かを感じた彼女は、彼が気になって仕方がない。その後、ティーナはヴォーレに自宅の離れを宿泊先として提供。次第に惹かれていくのだが……。

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© Meta_Spark&Kärnfilm_AB_2018

世のなかにたくさんある見たくないもの、考えたくないこと。大抵それらは美しくはありません。そして、人はそれをないものとしてしまう。いつの間にか境界線を引いている自分に気づかされ、愕然とさせられます。

異形の者たちを主人公にしたダークなおとぎ話。これまで見たことのないような世界を体験していただけること、請け合いです。

作品詳細
  • 『ボーダー 二つの世界』
    監督・脚本:アリ・アッバシ 原作・脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 出演:エヴァ・メランデル、エーロ・ミロノフほか 配給:キノフィルムズ/木下グループ
  • ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開中。
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