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コレを観れば最強メンタルGET! 現状に行き詰まっている人にエネルギーを与えてくれる映画2選<ザテレビジョンシネマ部>

  • 2019.10.18
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『暁に祈れ』
(C) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS

【写真を見る】自らを絶世の美女だと思い込む“ぽっちゃり体型”のミレー

映画アドバイザー・ミヤザキタケルがおすすめの映画を1本厳選して紹介すると同時に、併せて観るとさらに楽しめる「もう1本」を紹介するシネマ・マリアージュ。

第8回は、自らを絶世の美女だと思い込んだことで超絶ポジティブになっていく女性を描いた『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』(10月18日夜9:00 WOWOWシネマほか)と、“地獄”と呼ばれるタイの刑務所を生き抜いた男の強靭な精神力を映し出す『暁に祈れ』(10月18日夜11:00 WOWOWシネマ)をマリアージュ。

『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』(2018)

【写真を見る】自らを絶世の美女だと思い込む“ぽっちゃり体型”のミレー
(C)2018 TBV PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

人気コメディエンヌ、エイミー・シューマー主演作。彼女が演じる、化粧品会社で働くぽっちゃり体型がコンプレックスで自分に自信が持てないレネーが、ひょんなことから頭を強打し、自らを絶世の美女だと思い込んだことで巻き起こる恋や仕事でのハプニングを通し、心持ちひとつでいか様にも変わっていける人の心のあり方をユーモラスに描いた作品です。

コンプレックスのひとつやふたつ、誰だって抱えている。他人からしたらどうでもいいことでも、当人にとっては大問題。ただ、向き合い方は人それぞれ。自分の中でしっかりと対処法を確立できている人もいれば、どうすることもできずふさぎ込んでしまう人もいる。もしあなたが後者であるのなら、本作は最上級の勇気を手にするためのヒントを与えてくれるはず。今抱えているものを拒むのではなく認めることの難しさと大切さ、ありのままの自分を肯定できることの素晴らしさを、お茶目でおバカなレネーの勇気が示してくれる。

『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』
(C)2018 TBV PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

「人は見た目より中身が大事」。確かにその通りだと思うが、現実はどうだろう。見た目ばかりが重視されがちではないだろうか。それもそのはず。他人の中身や心になんてそう簡単には触れられない。自分の中身や心だってそう簡単にはさらせない。互いに信頼に値する相手だからこそ、初めて分かち合えるもの。でも、それだけがすべてとは限らない。心のあり方は、日頃の行動・表情・たたずまいにも表れるもの。見た目云々を凌駕する程の心の輝きであふれていたのなら、おのずと状況は変わっていく。自分を信じ始めたレネーの姿が、勘違いとは言え光り輝いていく彼女の心が、その光に照らされ変化していく周囲の人々が、誰にでも備わる無限の可能性に気付かせてくれることだろう。

『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』
(C)2018 TBV PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

どれだけ表面を取りつくろおうと、実際には何も変わっちゃいない。なかなかだませない自分の心をもだましてしまうのが本作の物語の始まり。美女になったと思い込んだレネーの一挙手一投足が、心持ち次第で日々の生活や対人関係が変わっていくことを垣間見させてくれる。何かしらのキッカケさえ得られたのなら「自分にもできるかも」と思えるはず。見知らぬ他人の視線や評価など気にするだけ時間の無駄。自信のなさから生じる不安や恐れは多くの機会を潰すだけ。大切にすべきは、人生をともに歩んでいきたいと思える人たちに自分の心を開示できるかどうか。今ある現状を見つめ直す最良の機会を得られるのと同時に、この映画を観終える頃には最高にポジティブな気持ちになっていると思います!

『暁に祈れ』(2017)

『暁に祈れ』
(C) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS

ムエタイでのし上がった英国人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝を映画化。ビリーを演じるのは英国出身の若手俳優ジョー・コール。麻薬中毒の果てに“地獄”と呼ばれるタイのチェンマイ中央刑務所に収監されたビリーが、底辺からの再起を決意し、ムエタイに打ち込んでいく。

『アイ・フィール・プリティ!~』とは打って変わっての実話もの。囚人はまるで家畜のように扱われ、収監されているのはタトゥーだらけのいかつい連中ばかり。本物の刑務所で、元囚人を起用して撮影されたこととも相まって、刑務所内の光景がとてつもなく恐ろしい。そこは精神的にも肉体的にも看守へのコネ的にも強くなければ、蹂躙され、陵辱され、生きる希望すら断たれてしまう場所。僕たちが生きる現実はそこまでハードではないが、人生の中で抗うことのできない壁に直面すれば、誰だって心が簡単に折れてしまうだろう。『アイ・フィール・プリティ!~』のように、心根ひとつで前向きに変われるということは、本作のように悪い状態へ転落するリスクも秘めているということ。そう、ここからは実践編。中身の伴わぬポジティブさだけでは決して太刀打ちできない現実に挑む男の姿から得られるものがきっとある。

『暁に祈れ』
(C) 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS

己を殺し、長い物に巻かれ、刑務所内で標的にされないようやり過ごし自分を誤魔化し続けるビリーだが、そんな生き方に希望は宿らない。追い詰められた果てに、彼は本当のドン底へと辿り着く。後はもうはい上がるしか道がない。ことごとく退路を断たれたことで、彼はようやく己自身と向き合い、自分だけの道を模索していく。必要なのは他力本願ではなく、己自身の強い意志。意志を貫くための精神的支柱になり得るのは、たゆまぬ努力や孤高の精神。ちっぽけなプライドや上辺の人間関係、他者を屈服させるためだけに鍛えた肉体やその身を滅ぼすドラッグなどでは、望んだ未来などつかめない。何かに依存して戦う物語序盤のビリーと、ドン底でも諦めずにもがくなかで培っていったものを武器に戦う終盤のビリー。対となる2つの試合において、ビリーの心持ちの変化を目の当たりにできるだろう。不器用で、ガムシャラで、ズタボロになりながらも己自身と向き合い道を切り拓いていくビリーの姿は、きっとあなたの心に火を灯す。

変わろうとする努力も大事だが、今ある自分を認める努力も大事。何をやっても上手くいかないのであれば、一度ドン底まで堕ちるのもひとつの手。現状に行き詰まっているすべての人にとてつもないエネルギーを与えてくれる力強い2作品。是非セットでご覧ください。

文=ミヤザキタケル

KADOKAWA

長野県出身。1986年生まれ。映画アドバイザーとして、映画サイトへの寄稿・ラジオ・web番組・イベントなどに多数出演。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』とウディ・アレン作品がバイブル。(ザテレビジョン)

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