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坂井真紀「娘に介入しすぎて反省の日々です」育児の悩みとは?

  • 2019.10.18
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幼少期の経験は、いまの自分を形成するうえでも欠かせないものばかりですが、そんな誰にでもある子ども時代の記憶が蘇ってくる感動作といえば、まもなく公開の『駅までの道をおしえて』。伊集院静さんの短編が原作の本作は、愛犬の帰りを待ち続ける少女と亡くなった息子との再会を願う老人とのふれあいを描いた作品となっています。今回は、こちらの方に作品を通じて感じたことをお話いただきました。

写真・角戸菜摘(坂井真紀)

数々の話題作に出演している女優・坂井真紀さん!

【映画、ときどき私】 vol. 269

本作の主人公となるのは、人気子役の新津ちせちゃん演じるサヤカですが、坂井さんはサヤカの母親役として出演されています。そこで、同じ母親として共感した思いやステキに歳を重ねる秘訣などについて、語っていただきました。

―まずは、最初に脚本を読んだときの印象を教えてください。

坂井さん ひと言でいうと、「なんて優しいお話なんだろう」と思いました。

―確かに、人との関わり合い方が温かいですよね。今回は、全編通して出演しているちせちゃんが作品を支えていますが、女優の先輩としてどのように感じましたか?

坂井さん ちせちゃんは、私が何も言うことはないくらいすごくしっかりしているお子さんでした。監督はちせちゃんの成長とともに時間をかけて撮影していましたし、監督が納得するまで何回も諦めることなくちせちゃんと向き合っていたので、「私たちこそミスをしてちせちゃんの足を引っ張らないように」と思いながら、ただただ見守っている感じでした。

―本作では、最初の撮影から2回目の撮影まで9カ月空いたそうですが、坂井さんにとってめずらしい現場でしたか?

坂井さん めずらしかったですね。言い方はよくないかもしれないですが、「9か月後、ケガとかしてないかな?」とか「ちゃんと生きてるかな?」みたいなことを心配していました(笑)。なので、終わったときはとりあえずホッとした覚えがあります。

―最近では、母親役を演じることが多いと思いますが、実際にご自分が母親になったことで演じ方や表現の幅が変わった部分もありますか?

坂井さん 「今年に入ってから何人のお母さんやったかな?」と思うくらい、すごく多いですね(笑)。まだ子どもがいなかったときは、自分の母のことを思い出したり、友達に聞いた話を参考にしていました。でも、実際に母親になってみると、やっぱり自分の体験から引きだせることは大きな違いだなと感じています。

子どもとは距離感を持って育てたいと思っている

―特に、ちせちゃんがご自身の娘さんと年齢が近いそうなので、重なる部分も多かったのではないでしょうか?

坂井さん そうですね。ただ、ちせちゃんは私の娘よりもしっかりしていますね(笑)。しかも、劇中のお父さんとお母さんは子どもを信じて多くを問いただしたりしない両親なので、そんなふうにちゃんと距離を持って育てているのはステキだなと感じました。

演じるうえでも、「こういうお父さんとお母さんに育てられたからサヤカはこういう女の子になったんだな」と感じてもらえるように、逆算する感じは意識していたところです。嫌でも親の背中は見られているものなので、改めて環境は大事だなとも思いました。

―お父さんとお母さんがサヤカを認めてあげている感じがいいですよね。ご自身も娘さんとの距離感は大事にされているところですか?

坂井さん 私は気をつけているつもりでもつい娘に介入してしまっていて、「ああ、よくなかったな」と反省の日々です(笑)。待ってあげることも大事だと、頭ではわかってはいるんですけどね……。なので、この両親の距離感は、理想的であり高度でもあります。

―劇中で、サヤカが「デートしてきた」と言うシーンでも、あえて何も聞かないお父さんとお母さんの反応はすごいなと思いましたが、もしご自分だったらどうしますか?

坂井さん 「誰と? いつ? どうして?」みたいに、「うるさい!」と言われるまで聞いてしまうと思います(笑)。だから、演じながら、こうできたらいいなと思っていました。でも、その日は我慢できても、3日後くらいになったらたまらなくなってなんとなく聞いてしまっている私がいるかもしれません(笑)。

でもきっと、子どもも子どもなりに、「どこまでお母さんに話そうかな」といろいろと考えていると思うので、信じてあげたいですよね。信じる勇気、突き放す勇気、大切ですよね。

坂井さんと愛猫との忘れられない絆とは?

―どのお母さんも同じ葛藤を抱えていると思います。本作では、親子関係だけでなく、サヤカと愛犬との絆も描かれていますが、坂井さんは猫を飼われていたことがあるそうですね。忘れられない思い出があれば教えてください。

坂井さん いまはもう飼っていないんですが、以前は3匹飼っていたんです。そのうちの1匹は、雨どいに捨てられていたので、「トイちゃん」という名前をつけました。最初はベッドにも飛び乗れないくらい小さかったので階段を作ってあげたり、言い出したらキリがないくらいたくさんの思い出があります。

ただ、最後は私がロケで東京を離れている間に病気になってしまい、どうにか帰るまで持ってほしいと願っていたんですが、間に合わなくて……。いまでも「あのときはどういう思いだったのかな」と考えてしまうことはありますね。

―坂井さんにとって、いまでも大切な存在だということが伝わってきます。ちなみに、そのトイちゃんが、ご主人に懐いたことがきっかけで結婚へと繋がっていったと聞きましたが、本当ですか?

坂井さん 確かにそういう部分もありましたが、夫と知り合ってから、それまで私を支えてくれていた子たちがまるでお役目を果たしたかのように、そっと旅立っていった感じはありました。きっと、「あとは任せたよ」と見届けてくれたんだと思います。

―お話を聞いていて、私もそう思います。今回お会いしてみて、いくつになっても本当にステキな坂井さんですが、そんなふうに自然体で歳を重ねられる秘訣を教えてください。

坂井さん まずは、日々をちゃんと生きようと意識するようにしています。変わらないと言ってもらえることはうれしいことですが、49歳というシワもいっぱい出てくる年齢になってきて思うのは、ありのままの歳の取り方ができる女優さんになりたいということ。そして、日々の些細な五感を大切にしつつ、“普通に生きる”というのを忘れずに生きていきたいと思っています。

年齢と心が追いついてきたいまが一番楽しい

―では、ご自身の20代、30代を振り返ってみて、そこから得たものはありますか?

坂井さん いま思いますと、20代は周りが見えていないこと多かったなぁと恥ずかしくもありますが、結果、それなりにただただ、一生懸命な時期だったと思います。30代になってからも悩みはありましたけど、ほんの少しでも20代で積み重ねてきたもの、学んだことはあったんだなと感じることができたり。生きているともちろん嫌なことも良いこともあるものですが、無駄なことは一つもないんだと。

私は不器用なので、何度も同じ場所でやけどするタイプ。だから、「ここに手を置いちゃダメだよ!」と注意されても、「やってみないとわからないでしょ」と言って置いてみて、「やっぱり熱かった」みたいな感じなんです(笑)。人の話を聞かない分、賢くない分、潔く諦められることもありますし、熱い思いをした分、成長できると、自分に言い聞かせています。最近は子供に「人の話をよく聞くこと」と偉そうに言っていますので、人の話はよく聞くようにしています(笑)。

―とはいえ、そのなかでつらい思いをすることはありませんでしたか?

坂井さん 20代から30代、30代から40代と想像していても、年代の変わり目は特に、受け入れられないこともあったかもしれないですね。たとえば、私のお仕事だと、年齢によっても、役柄がヒロインからヒロインの先輩役に変わっていったりとか(笑)、まだヒロインの位置にいたいのに、なんて心がザワザワしました。つらいという気持ちよりも、若さへの執着みたいなもの? へのどうにもならない気持ちですかね。

でも、その年代に慣れるというのか、だんだん、その年代のおもしろさがわかってくると思います。年齢は先に行ってしまいますが、あとから気持ちがついてくる感じですね。そして、現状を受け入れるということはその瞬間を楽しめているということでもあるので、49歳になって、年齢と心がちょうど追いついてきたような、いま、すごく楽しいです。

―ちなみに、そのなかでやらなくて後悔した経験などもありますか?

坂井さん もちろん、日々たくさん後悔しながら生きているので、小さすぎて言うのも申し訳ないくらいなものもたくさんありますが、みなさんに言えるとしたら、やろうと思ったときがその人にとっての“そのとき”なので、その瞬間にやったほうがいいとは思います。

―ご自身もこれまでそう心がけて、実践しているほうですか?

坂井さん 私はあまり能動的なタイプではなく、頑固だけど慎重みたいなところがあるので、考えているうちに一歩出ればよかったなと思うことはあります。でも、友達を見ていると、「やっぱり、やったもん勝ちだな」と感じることが多いので、若いうちは恐れずに飛び込むべきですね。それが若さの武器だと思います。

―坂井さんはデビューして25年以上になりますが、長年仕事を続けるうえでモチベーションとなっているものを教えてください。

坂井さん いまは子どもが小学校に入ったことで育児もだいぶ楽になりましたが、限られた時間でしか仕事ができないと思うと、「ここしかない!」と集中するので、それが原動力になっている部分はありますね。

なので、モチベーションも年代によっても変わっているような気がしています。たとえば、20代のころは「絶対にこれがやりたい!」という思いの強さ。そのあと30代では勢いと若さだけではなく、もう少し技術的な部分が必要になってくるので、「もっとやらないとダメになる」という焦りを感じつつも、「まだまだ勉強するぞ」という意欲がありました。

40代になってからは、50代に向けてゆるやかに階段を上っている感じなので、これから50代に入ることがすごく楽しみになっています。

つらくても笑っていることが何よりも大事

―そのなかで、いま新たにしたいこともありますか?

坂井さん 50代だからこれというのはありませんが、女優はすごく長く続けられるお仕事だと思えているところなので、これからも続けていきたいなと思います。新しいことだと、少し余裕が出てきたので、ハーブや植木を育てるとか、自然に触れることをしてみたいです。

―それでは最後に、先輩としてananweb読者の女性たちにメッセージをお願いします!

坂井さん 私がいつも思っているのは、一日一善にかけて、「一日一笑(いちにちいっしょう)」ということです。女性だけでなく、誰にとっても笑うことはすごく大事ですし、人間力も上がると思っています。どんなことも笑いに変えられるのはステキなことですし、笑うとけっこう解決するものですよ。なので、「つらいことがあっても、とりあえず笑っていましょう!」とみなさんにも伝えたいです。

インタビューを終えてみて……。

年齢をまったく感じさせず、変わらない透明感が印象的な坂井さん。デビュー当時からずっと坂井さんを見てきたいちファンとしては緊張しましたが、包み込むような優しい笑顔に、身をゆだねるような心地よさを感じさせてくださいました。ステキな歳の重ね方は、ぜひ見習いたいと思います。

失った大切なものを探す旅に出る!

何に対してもまっすぐで一生懸命だった子ども時代を思い出させてくれるある少女の成長物語。年齢や立場、そして種をも超えて生まれる奇跡の絆に、新たな希望の光を感じられるはずです。

ストーリー

8歳のサヤカは、いつも一緒にいた愛犬のルーの帰りをいつまでも待っていた。そして、夏の終わりに差しかかったころ、サヤカは一匹の犬に連れられて、喫茶店を営む老人フセと出会うこととなる。サヤカは愛犬を、フセは愛する息子を失っており、大きな喪失を抱える2人の間には、いつしか思いがけない友情が芽生え始めるのだった……。

優しさの詰まった予告編はこちら!

作品情報

『駅までの道をおしえて』
10月18日(金)より全国公開
企画・製作:GUM、ウィルコ
配給・宣伝:キュー・テック
©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

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