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1930年代、マハラジャの優雅なアート&デザイン生活。

  • 2019.10.17
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昔々、インドのインドール藩王州に信じられないほど前衛趣味のプリンスがいました。名前をヤシュワント・ラーオ・ホールカル2世(1908〜1961年)といって、25歳の時にヨーロッパの近代建築を取り入れた大変モダンな宮殿Manik Baghを建てさせ、ル・コルビュジエ、アイリーン・グレイ、マルセル・ブロイヤーといったデザイナーたちの家具をそこに配して、美しい妻サニー・オジタ・デヴィとハイライフを営んでいました。パリで夫妻のポートレートを撮影したのは、当時セレブリティの写真を多く手がけていたマン・レイです。夫妻が催すパーティではグラス類はバカラ、銀器はピュイフォルカで……まるでデザイン&建築史のおとぎ話のような展覧会『Moderne Maharajah(モダン・マハラジャ)』がパリの装飾美術館で開催中だ。

1930年代にインドに建てられたManik Bagh宮殿。

1929年に描かれた欧風のコスチュームを着たインドールのマハラジャの肖像画。パリで社交界画家として名高かったベルナール・ブーテ・ドゥ・モンヴェルによる。©Bernard Boutet de Monvel /Musée de la Ville de Boulogne-Billancourt/ Adagp, Paris, 2019photo: Pacal Cadiou

後方は1927年頃にマン・レイが撮影したヤシュワント・ラーオ・ホールカル2世と妻。手前は夫妻が購入したマン・レイによるチェス。

内装もヨーロッパ風でモダンだった。Ivan Da Silva Bruhnsによるカーペットを敷いたエントランス・ホール。1933年頃。

サブタイトルは“1930年代のインドのメセナ”。プリンスのホールカル2世が宮殿Manik Baghの建築を任せたのはドイツ人の若い建築家エッカルト・ムテジウスだった。1930年から3年をかけて完成したのは、シンプルそのもののU字形の建築物。エアコンなど近代的な設備が完備されていた。宮殿のために建築家ムテジウスがデザインした家具もあるが、ホールカル2世は内装の相談役をお願いしたアンリ・ピエール・ロッシェの勧めに従って、ヨーロッパのサロンやアーティストのアトリエで家具や絵画を購入して私邸を飾ったのだ。その中にはブランクージの彫刻『空中の鳥』も含まれていたという。1976年、宮殿は家族の手を離れてインド政府のものとなり、1980年代にモナコのサザビーズで競売にかけられて家具類は散逸してしまった。

高い天井の会場中央にブランクージの『空中の鳥』が聳える。後方はIvan Da Silva Bruhnsのカーペット。

会場では建築家による1930年代のインド、宮殿の建築状況などの貴重な写真、映像を見ることができる。

この展覧会では宮殿Manik Baghを満たしたアート、デザイン、家具など500点を展示し、見どころ満載である。アールデコの秀逸な品がこのインドの宮殿に集められていたのか、とホールカル2世のメセナとしての情熱、そして財力に圧倒される展覧会でもある。宮殿を飾った1920〜30年代のデザインについては、中央の空間でクリエイターごとにクローズアップして紹介。マハラジャの寝室のメタル素材のベッドをデザインしたデュオのルイ・ソニョとシャルロット・アリックス、照明器具を担当したMaison Desnyたちといった、あまり知られていない人々の仕事を発見することができる。庭園側の壁沿いには、エントランスホール、サロン、図書室、執務室、寝室、ダイニングルーム、音楽室などが写真と家具で再構成されている。マハラジャとマハラーニに招かれた気分で、1930年代のモダンパレスにトリップしてみよう。

宮殿のために購入されたMaison Desnyのランプ(1929〜1930年頃)の同型を展示。

エントランスホールを写真と家具、オブジェで再現。

寝室もメタルのベッドとともに再現されている。ル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアン、ピエール・ジャンヌレによる長椅子も展示。©Sotheby’s/Art Diital Studio

食堂の再現。photo:Luc Boely

音楽室の再現。

ピュイフォルカによるインドールのマハラジャのためのモノグラム。夫妻のカードや宮殿のエントランスを飾った。

『Moderne Maharajah, Un Mécène des Années 1930』展会期:開催中〜2020年1月12日会場:Musée des arts décoratifs107, rue de Rovoli 75001 Paris開)11時〜18時(火、水、金~日)11時~21時(木)休)月料金:11ユーロ

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