1. トップ
  2. 旅行・おでかけ
  3. 日本初公開に写真OKの作品もありアートの秋にオススメ! 大阪・あべのハルカス美術館「ラファエル前派の軌跡展」

日本初公開に写真OKの作品もありアートの秋にオススメ! 大阪・あべのハルカス美術館「ラファエル前派の軌跡展」

  • 2019.10.15
  • 733 views

あべのハルカス美術館「ラファエル前派の軌跡展」が、2019年10月5日(土)~12月15日(日)まで開催中。ラファエル前派をはじめ、その周縁の画家などの絵画や書籍、家具約150点が展示されています。

【写真を見る】ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー《カレの砂浜―引き潮時の餌採り》

ミレイの「滝」も日本初公開。ラファエル前派の誕生からその後の展開をたどった展示会のみどころをご紹介します。

ラスキン生誕200年

今回の展示は19世紀のイギリスを代表する美術評論家である、ジョン・ラスキン生誕200年を記念して開催されました。自然をありのままに描く事を説いたラスキンの思想は、後世へも多大な影響を及ぼしました。展示のはじまりには、彼が愛した画家 ターナーの作品が飾られています。

【写真を見る】ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー《カレの砂浜―引き潮時の餌採り》
1830年、ベリ美術館 (c) Bury Art Museum, Greater Manchester, UK.jpg

ターナーを敬愛していたラスキン。画壇でターナーを批判する動きが出たとき、ラスキンはターナー擁護のために「現代画家論」を出版。全6巻からなるこの本は、後世の画家達にも大きな影響をあたえました。

第1章ではラスキンが描いたスケッチなどを展示。自分が画家になればよかったのに……。と思えるほど絵が達者なラスキン。本を書くための資料として描かれたスケッチは、植物や建物などが緻密に描かれています。

細かい部分まで緻密に描き込まれたラスキンのスケッチ
ジョン・ラスキン《ティントレット 東方三博士の礼拝(サン・ロッコ同信会館)よりケルビムの模写》部分、1852年、ラスキン財団 (c)Ruskin Foundation

「修復は悪である。物は朽ちるままが美しい」と考えたラスキン。関心のある部分だけが緻密に描かれていたりするところに、彼の性格が表れているようで面白いですよ。

サン・ミニアート・アル・モンテ聖堂ファサード部分。修復された部分は略して描かれている
ジョン・ラスキン《サン・ミニアート・アル・モンテ聖堂ファサード部分ーフィレンツェ》、1846年、ラスキン財団 (c)Ruskin Foundation

「ラファエル前派」とは

このラスキンが支援したのが「ラファエル前派」。1848年にイギリスの画学生たちが結成した秘密集団で、「ルネサンスの巨匠・ラファエルこそ素晴らしい」とするアカデミーの教育に反発し、マンネリ化した構図をやめ、新しい芸術表現を目指しました。

ラファエルより前の誠実な描写を良しとし「ラファエル前派同盟」を結成。後に画家や評論家も加わりメンバーは7名となりました。

絵にこっそりと「ラファエル前派同盟」の原語 Pre-Raphaelite Brotherhood (ラファエロ以前兄弟団)を示す「PRB」のサインを入れて発表していたことが画壇にバレて、窮地に立たされた彼らを擁護したのがラスキンでした。

同じような動きは他にもありましたが、ラスキンが擁護したことで、「ラファエル前派」は巨大なインパクトを持つ芸術運動へと成長したのです。

写真撮影OKの部屋も

第2章 ラファエル前派のメンバー達の作品を紹介する部屋では、赤い絨毯が敷かれた部分のみ、写真撮影OKとなっています。

第2章 ラファエル前派作品の部屋。赤い絨毯部分の絵は写真撮影可能
KADOKAWA

こちらはメンバーの一人、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの「記憶の女神」。モデルとなったジェインは、当時ロセッティの恋人でしたが、後にロセッティと別れ、同じくラファエル前派のモリスの妻となりました。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ムネーモシューネー(記憶の女神)》
1876-81年、デラウェア美術館 (c) Delaware Art Museum, Samuel and Mary R. Bancroft Memorial, 1935(S)

この絵のモデルをつとめたとき、ジェインはロセッティとの別れを決意していました。右手に持つ容器の中には、飲むと過去のことを正しく思い出せるという、記憶の川の水が入っています。ロセッティはジェインにどんな過去を思い出して欲しかったのか……。なんとも複雑なこの作品。写真撮影OKですよ。

さらに日本初公開となる作品、ジョン・エヴァレット・ミレイの「滝」。ラスキンの肖像画を描くために出かけた先で描かれた絵で、右端の女性はラスキンの妻エフィです。

ジョン・エヴァレット・ミレイ《滝》
1853年、デラウェア美術館 (c) Delaware Art Museum, Samuel and Mary R. Bancroft Memorial, 1935

このあと、ミレイとエフィは恋に落ち、エフィはラスキンと別れてミレイと結婚。この出来事は前代未聞の一大スキャンダルとして世間を騒がせ、何度も舞台化され、さらには映画化までされました。ラファエル前派同盟の崩壊を予感させる作品。天才肌で才能あふれる画家、ミレイがカンバスに描きとめた恋心を、ぜひ現地でごらんください。

ラファエル前派の周縁と流れ

今回の展示会が他と違うところは、「ラファエル前派同盟」の主要メンバーだけではなく、理想を共有していた画家たち、さらに第二世代と呼ばれる理想の追随者たちの作品も紹介している点です。

フレデリック・レイトン《母と子(サクランボ)》
1864-65年頃、ブラックバーン美術館 (c) Blackburn Museum and Art Gallery

「ラファエル前派」そのものだけではなく、ラスキンの理想が受け取られた先でどう変化したのか、ラスキンの思想のその後を追う展示です。第3章ではその周縁の画家たちの作品を紹介しています。

今回の展示は登場人物が多く複雑。館内で配布している作品リストには、親切な人物相関図が。イラスト入りでわかりやすいので、作品鑑賞の際の参考にどうぞ。

先駆的な画家・バーン=ジョーンズ

第4章では、画家バーン=ジョーンズの作品を紹介。牧師になるはずが、ラスキンに憧れて学校を辞めて画家になったというバーン=ジョーンズ。聖書や神話の主題を扱い、新しいスタイルで人物を描く先駆的な画家のひとりで、神秘的な象徴性で想像の世界を描くのを得意としていました。

エドワード・バーン=ジョーンズ《慈悲深き騎士》
1863年、バーミンガム市美術博物館 (c) Birmingham Museum Trust on behalf of Birmingham City Council

スケッチや習作のほかに、初期の傑作と言われる「慈悲深き騎士」も展示されています。

モダンデザインの父・ウィリアム・モリス

モダンデザインの父と呼ばれたウィリアム・モリスも、ラスキンに感銘を受けた一人です。彼はバーン=ジョーンズの友人であり、生活と芸術を一致させようとする「アーツ・アンド・クラフツ運動」を主導しました。

モリス商会が手がけた、家具やタペストリーも展示されている
KADOKAWA

第5章では彼が設立した、モリス・マ—シャル・フォークナー商会が手がけた家具やステンドグラスのデザイン画などが展示されています。

明治から大正にかけて日本の美術にも、多大な影響を与えたという「ラファエル前派」の作品たち。この展示会で、日本とつながりの深い芸術の軌跡をたどってみませんか。

■ラファエル前派の軌跡展 <住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目1-43 あべのハルカス16階 電話: 06-4399-9050 料金:一般1,500円 時間:火~金/10:00~20:00、月土日祝/10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで 休館日:10月21日(月)、10月28日(月) アクセス:JR、Osaka Metro天王寺駅下車すぐ ※駐車場なし(関西ウォーカー・二木繁美)

元記事を読む