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ストレスホルモンにも有効?ヨガの効果を科学的に検証する

  • 2019.10.12
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ヨガにはストレスを緩和する力がある

ヨガは意識をもって練習すれば、癒しやストレス解消の効果をもたらしてくれる。多忙な日々の中で意識的、無意識的な要因から蓄積されるストレスは、やがて身体や心、感情の健康をむしばむ。これが多くの人をヨガに向かわせる大きな理由だ。

私は、ある決意とともにヨガの練習を始めた。その決意とはずばり、精神的な悟りを得ること。冗談ではない。この生涯のうちにどうしても悟りの域に達したかった私は、ヨガならそのプロセスを早められると思ったのだ。もう15年以上前のことだ。正直言って、ポーズとか身体への効果とか、ヨガウエアを着たらどう見えるかとか、ヨガを練習する理由としてよく言われることには一切興味がなかった。言うまでもなく、私はまだ悟りに達していない(むしろ近づいてもいないことは、私の近しい友人たちや家族が証明してくれるはず!)だがこれだけは言える。もしこの十数年の間ヨガと瞑想を練習していなかったら、いま私が感じている安定感や真の自分との繋がりや健康や活力とは無縁のまま、自分自身の魂を見失っていただろう。間違いなく、ストレスで完全に参っていたはずだ。ではなぜヨガの練習を続けた方がいいのか、ストレス緩和とヨガの関係とは何か。私はその科学的な根拠をずっと探ってきた。

あるとき私はハードなヨガ療法でひどいけがを負い、練習を中断せざるを得なくなった。そのほぼ同時期に、私は「ストレスマネジメント」に特化した穏やかなスタイルのヨガを教え始めた。セッションの後は気分爽快で、それがなぜなのか当時はわからなかった。

いま私は、エカヒヘルスシステム(Ekahi Health System)によるディーン・オーニッシュ心臓疾患改善プログラム(Dean Ornish Heart Disease Reversal Program)でヨガや瞑想などを教えている。私のクラスはヨガではなく「ストレスマネジメント」と呼ばれているが、教える内容は伝統的なヨガと瞑想の技法だ。クラスで教えているヨガニドラは古代から伝わる練習法で、身体の部位ごとに意識的にリラックスさせ、最後には自分自身と深くつながり、癒しや回復を味わいながら静けさと平穏に身をゆだねるものだ。この「ストレスマネジメント」クラスを受けるプログラムの参加者たちは、以前に心臓病を患っていたり、何らかの心臓外傷や心臓外科手術を経験していたり、心臓疾患に関わる様々なリスク因子(高血圧、高コレステロール、糖尿病、脳卒中、心臓疾患の家族歴など)を抱えている人たちだ。これらの疾患の多くが身体の慢性的ストレスに直接的な原因があることは科学的に証明されている。そのため、彼らは特にストレス対処を目的としてクラスに参加している。さもないと症状が悪化し、命が脅かされる場合もあるためだ。

ここで慢性的なストレスの解消とヨガの関連性を見てみよう。ヨガは意識をもって練習すれば、癒しやストレス解消の効果をもたらしてくれる。どんなに若くても、健康でも、かつては(または現在)元気でも、誰にでも寿命がある。老いを避けられる者はいない。私たちは皆、生きている間に何らかの痛みや苦しみを経験する。多忙な日々の中で意識的、無意識的な要因から蓄積されるストレスは、やがて身体や心、感情の健康をむしばむ。これが多くの人をヨガに向かわせる大きな理由だ。では私たちを虜にするヨガの感覚的、感情的な効果のすべてを裏付ける科学的な根拠を少し紹介しよう。

コルチゾール

コルチゾールは、闘争・逃走反応のメカニズムの一つとして、恐怖やストレスを感じると副腎から分泌されるストレスホルモンだ。ストレスには良いストレス(快ストレス)と、私が慢性ストレスと呼んでいる悪いストレス(不快ストレス)の二種類がある。快ストレスは、ゴールや新たな一日が待ち受けている時、仕事や一日を終えた時に気分を高揚させる働きがある。

一方、不快ストレスはもやもやした不安感をもたらし、絶えず私たちを望ましくない闘争・逃走反応の状態に陥れる。不快ストレスによって分泌されるコルチゾールが行き場を失うと、血中コルチゾール値が常に高くなり、やがては免疫機能や骨密度の低下、血圧やコレステロール、心臓疾患やうつなどのあらゆる慢性疾患や精神状態を引き起こす。

では不快ストレスを解消するにはどうすればよいのか? ここで登場するのがヨガアサナだ。蓄積されたコルチゾールは、きつい運動を続けることで解消されると言われている。そのため、ヴィンヤサヨガのような心肺機能を高めるスタイルは、ストレス緩和に驚くべき効果を発揮する。ポジティブで健康的な方法によって身体の緊張が解かれると、コルチゾールレベルは正常値に戻る。よくいわれる「ヨガでの高揚感」は、このストレスの解消によるところが大きい。一方、平穏な感覚をもたらす科学的な根拠については呼吸や瞑想が関わっており、さらに迷走神経も関係している。

迷走神経

迷走神経とは、身体の中で最も広く分布する脳神経だ。頭蓋骨の基部から全身にくまなく伸びており、主に呼吸や消化や神経系のシステムを司っている。心拍や呼吸、消化など主な身体機能のすべてを調整している神経だ。

消化や心機能の調子が良く、気分が安定している状態は、迷走神経が整っていて良好に機能している効果によるものだ。「迷走神経のトーンが高い」と、私たちは活発で時にはストレスフルなモードから、リラックスモードに容易に切り替えることができる。迷走神経が正しく機能していれば、人生や困難により楽に対処できるのだ。逆に迷走神経の働きが悪いと「迷走神経のトーンが低下」し、その結果、心拍数が増加したり消化力が落ちたり、気分が変わりやすくなって感情の制御が難しくなる。また「迷走神経のトーンの低下」は、うつやPTSD(心的外傷後ストレス障害)、慢性痛やてんかんとも相関関係がある。ヨガはこれらの状態を改善することがわかっており、それは、定期的なヨガ練習が迷走神経への刺激を促すためと考えられている。

海の呼吸とも呼ばれるウジャイ呼吸は、負荷をかけて行うヨガの呼吸法だ。この呼吸法はリラクゼーション反応を高めると同時に、心拍数の変動性を活性化し、迷走神経のトーンを整えることがわかっている。同様に、管楽器を演奏したり、歌ったり、チャンティングをしたり、柔らかな女性の声を聴くことでも迷走神経が整うという研究結果もある。

穏やかな陰ヨガや、回復を目的とするヨガニドラのような強度の低いヨガも、神経系に良い影響をもたらす。ゆったりとしたヨガ練習は、筋肉の張力を検知するゴルジ腱器官を活性化すると言われる。ゆっくり動きながら回復を促すことで、過度に優位になっている交感神経活動(闘争・逃走反応)が減少し、これをうけて迷走神経のトーンが大きく高まる。これら多くの科学的根拠を信じられるなら、とにかく深く呼吸をして、ヨガを練習しよう。自分の美しくて素晴らしい身体に慈愛をもって寄り添い、不健康なストレスレベルを軽減することが自分のためになると信じよう。さらに、ゆっくりと深い呼吸に集中しながら瞑想すれば、マインドは驚くほど穏やかになり、不快な反応も劇的に抑えられる。練習するヨガの強度が高くても低くても、ストレス解消に大きな効果があるはずだ。

私は今も「悟り」の域にたどり着けないでいるが、ヨガは身体とマインドと魂との深くて大切なつながりに気づかせてくれた。ヨガのおかげでいつも健康でいられるし、霊的な気づき(つまり、意識の進化)への道も歩めている。効果的にストレスに対処すれば、私たちは自分自身を愛するようになる。それはある意味喜ばしいことだ。自分を愛することで、私たちは周りの人ともその愛を分かち合えるようになるからだ。

ヨガはストレスを和らげる
photo by Yoga HAWAII Magazine

教えてくれたのは…サリーナ・ストロフズク
サリーナは、カピオラニ公園で屋外でハタヨガを教えているバラッド・ダス師のもとで練習を始めた。マヤ・ヨガ・スタジオの著名なヨギー、ニッキー・ドーンとエディ・モデスティーニのもとで200時間ヨガティーチャートレーニングを修了し、認定ヨガティーチャーとなった(RYT-200)。サリーナはホノルルでアシュタンガヨガ、陰ヨガ、ヨガニドラ、ハタヨガを教えている。サリーナの経歴はこちら。

ヨガハワイマガジン/「Yoga Relieves Stress」

by Salina Maxine Surorozuk
Translated by Sachiko Matsunami

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