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体だけ求められる関係にうんざり。不倫から卒業した女性の体験談

  • 2019.10.11
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既婚者の男性と肉体関係を持つ不倫。幸せにはなれないとわかっていても、「好きになったのなら仕方がない」と腹をくくっていましたが、現実では体にしか価値を感じてもらえない日々に虚しさを覚えます。そんな彼女が「好きでも別れるしかない」と決意し、不毛な関係から抜け出せた理由とは。

■「好きになったのがたまたま既婚者だっただけ」

35歳のある女性は、派遣社員として入った会社である既婚男性と知り合いました。上司にあたるその男性は、期間限定で働く彼女に親身になって仕事を教えてくれて、何かと気にかけてくれることが多かったといいます。

「いま思えば、最初からそれが目的であんなに優しかったのかも」

と彼女は振り返りますが、そのときは左手に結婚指輪をはめているこの男性を見て「既婚者ならおかしな関係になることもないし、逆に気軽に話せる」と思っていたそうです。期間の決まった勤めであっても、派遣社員が自分だけの環境で、助けてくれる彼の存在はありがたく、質問にもきちんと答えてくれるのが頼れるところでした。

不倫関係になるなど想像もしていなかった彼女ですが、きっかけはランチに誘われるようになったこと。普段はお弁当を持参する彼女が、作れなかった日にコンビニで買ってくる様子を見て、男性が「コンビニ弁当じゃ体に悪い。お弁当がない日は俺と食べに行かない?」と誘ってくれたそうです。

男性のほうは、「妻が病気がち」だそうでお弁当を持ってくることはありませんでした。「俺もコンビニばかりだから、一緒に食べてくれる人がいると助かる」という言葉を彼女は鵜呑みにし、声をかけられるままに一緒に過ごす時間が増えていきます。

「上司だし、ふたりで食べに行くとか大丈夫かなと思ったけど、彼が『派遣で来てくれた人にそこまでうるさく言わないよ』と言ってくれて、この人がそう言うならって信じちゃったんだよね」

と、彼女は悔しそうに言っていました。

それから、ふたりの距離はどんどん近づいていきます。会社を離れれば仕事以外の話題も増え、男性はパートで働く奥さんとふたりで暮らしていること、結婚して10年以上になるけど子どもができずにもう諦めていることなど、家庭のこともたくさん話してくれたそうです。

既婚男性の口から語られる結婚生活は、独身の彼女にとっては新鮮なものでした。

「そのとき『妻はあまり体が丈夫でないから、寝室は別』って繰り返していて、つい『寂しいですね』って言ったのよね、私。
そうしたら『そうなんだよ、だから君みたいなキレイな女性とこうしてご飯が食べられて、いい刺激になってる』って笑いながら言われて、それを真に受けたの」

と、彼女はそのときを振り返ります。「かわいい」「頭がいい」「仕事が早い」など、何かと自分を褒めてくれることは、彼女にとって心地よいものでした。そしてそれが、彼女が男性に対し急速に心を開いていく理由にもなりました。

気がつけば、彼女はこの既婚男性のことを好きになっていました。仕事中もふたりでランチに出かけるときも、常に自分に気を配って優しい言葉をかけてくれる男性の姿が、恋しいものとして彼女の胸を占めます。

「彼は既婚者であって、家には体の弱い奥さんがいて、私はただの派遣社員。それはわかっているけど、彼が向けてくれる笑顔はいつもあたたかくて、特別な感じがする。もっと近づきたいし、彼にとって大きな存在になりたい」

こんな願望を自覚してから、彼女は

「“好きになったのがたまたま既婚者だっただけ。仕方がない”と腹をくくったの」

と、つらい片想いに身を投じる決心をします。そこには、男性とは派遣期間中だけのつながりだから、という気楽さもありました。

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■体だけ必要とされる現実

既婚者の彼とは、部署の飲み会があった日、二次会が終わったあとでホテルに誘われ、あっさりと肉体関係を持ちます。

「私の気持ちはバレバレだっただろうし、彼もその気があるのは何となく伝わっていたから。飲み会に参加したのも彼とそうなるチャンスかなと思っていたし、酔ったふりをしたらすぐにホテルに誘われたのよ」

男性の言葉を信じるなら、「女性とこうなるのは妻以外では君が初めて」と言う彼は、文字通り貪るように彼女の体を抱きます。しばらく彼氏がいなかった彼女にとっても、久しぶりの快感は刺激が強く、「帰る気が起きなくて泊まってしまい、次の日の朝も求められた」そうです。

それから、ふたりの不倫関係が始まりました。今までと景色は一変し、会社では彼の姿はひときわ眩しく見え、早くふたりきりになりたい気持ちを抑えながら彼女は仕事をしていました。彼から通りすがりにこっそり渡されたメモに「今夜、20時に」とあれば、それから夢見心地で過ごして時間を待ち、ホテルになだれ込んだあとは食らいつくすようなセックスを楽しんでいました。

「でも、ある日気がついたのよね、“そういえばホテルしか行かないな”って。会社のお昼にランチは行くけど、夜は会えばホテルに直行で、出るときはもう時間が遅いからそのままバイバイして。

で、彼に
『たまには食事も行きたいな』
と言ったら
『食事してからホテルに行っていたら、時間がなくなるよ』
と返されて、“あれ?”ってなって。
“え、セックスが目的なの?”って」

その最初の違和感は、それから少しずつ彼女を苦しめるようになります。休日は会えないから平日の夜だけ、ふたりきりで過ごせる貴重な時間だけど、ひたすらホテルでセックスしかしない日々。おしゃれなお店にご飯を食べに行くこともなければ、ドライブのような恋人らしいデートもない。

「待ち合わせはいつもコンビニの駐車場なんだけど、ホテルに行く前にご飯を済ませておかないと、会っているときにお腹が空くのね。
だからおにぎりを買ってクルマで食べていたら、何だか虚しくなってきて。
『好きだよ』とは行為の最中に何度か言われるけど、それってセックスだけじゃない?
体しか求められないって、私は彼の何なんだろうとか考えちゃって」

彼女にこう言われたとき、

「それが不倫だよね。既婚者が独身の女性に手を出すって体が目的だろうし、本当にあなたのことが好きなら奥さんと離婚するでしょう?」

と返すしかありませんでした。

彼女に対して恋心があるのなら、セックス以外の時間も作るだろうし、奥さんと離婚する選択を考えるのが筋を通すこと。それをせず、ただ欲望を満たすために彼女に「好きだ」と吐けるのが、不倫を続ける男性の本音です。

セックスをする前は、彼女が喜ぶ言葉や態度を見せて気分を良くし、自分もその気があるように振る舞う既婚男性のやり方はよく耳にします。そしていざ肉体関係を持ってからは、それをメインにした時間しか持とうとしないのも、誠意のなさのあらわれ。

派遣社員ならば期間限定だからいずれ会社を去る、だから隠れて不倫関係を持っても自分にダメージはないだろう。男性がここまで考えていたかはわかりませんが、話を聞いていればそんな邪推も簡単にできます。彼女が期間満了になれば、会社を離れて「もっと安全に」不倫を続けられる。そんな既婚男性の都合のよさが伝わるようでした。

それが現実なのだと、彼女は第三者に言われて改めて気が付きます。

Train leaving railway station in foggy

■不倫は自分が疲弊するだけの、不毛な関係

最初、彼女がこの男性に向けたのは、純粋な恋心でした。仕事の面でもプライベートでも、優しく接してくれて心地よい時間を与えてくれる。それが独身の彼女には抗いがたい魅力になり、愛情を覚えてしまうのも仕方がないといえます。

ですが、「たまたま既婚者を好きになっただけ」と腹をくくったところで、彼女の愛情が報われることはありません。体だけを求められる現実は、それを変えたくても既婚男性が許さないからです。

彼女は、自分の上で息も荒く腰を動かす男性を、「私のことをタダでやれる女くらいに思っているんだろうな」と感じたとき、はっきりと不倫をやめようと思った、といいます。

「好きだったけど、セックスしか頭にないあの人を見ていたらどんどん冷めていって。
結局、私が疲れるだけじゃない。
こいつのためにコンビニのおにぎりを食べる惨めさとか、昔『コンビニ弁当は体に悪いから』って言われたことが今さら憎くなって」

そう思ったらすべてが虚しくなり、彼女は派遣期間が終わる前に男性に別れを告げました。「引き伸ばしてもいずれ期間満了で関係も終わるんだけどね、我慢できなくて」と笑う彼女は、今はまともな恋愛がしたいと婚活パーティーに張り切って参加しています。

不倫は、既婚男性の都合よく存在させられることを受け入れてしまえば、ただ自分が疲弊していく関係です。一度抱えた愛情はなかなか捨てられませんが、それでも、そんなつながりに嫌悪感を覚える瞬間があるのなら、その違和感に従うのが正解だといえます。

不毛な関係は、みずから断ち切る勇気を持つことが、何より自分を救う道。彼女は自分を愛する選択ができたことで、これからは幸せな恋愛ができると信じています。

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