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撮影現場に突撃!『クィア・アイ』のファブ5が明かす撮影裏話

  • 2019.10.9
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ファッション、インテリア、ビューティなどスペシャリストのゲイの男性5人組“ファブ5”が、悩みを抱える人々の外見だけでなく内面まで大変身させるNetflixの人気リアリティショー『クィア・アイ』。彼らからの愛情たっぷりで核心を突いた指南は、多くの視聴者の心揺さぶり、思わず涙してしまうとあって、アメリカだけでなく世界各国で愛される番組に。

ファンの方は、昨年に日本で撮影が行われていたというのは知っている人も多いはず。そしてついに、日本で撮影が行われた『クィア・アイ in Japan!』が11月1日に公開されることに! 今回は、撮影現場に潜入し、日本での撮影で感じたこと、そして日本で生きる私たちへのメッセージをお届けします。

——日本が舞台になるなんて思ってもいませんでした! 撮影はどうでした?

インテリア担当ボビー(以下、B):最初は言葉の壁もあるからとうまくいかないんじゃないかと心配していたけど、日本スタッフも優秀で連れて帰りたいくらい本当にいい撮影になったよ。日本で撮影した4人も素晴らしい人だった。

カルチャー担当カラモ(以下、K):今回、世界の人たちに日本の文化について知ってほしいという思いがあって、ボビー以外は日本にあまり親しみがなかったんだけど、来てみて、人や食べ物、出会ったすべてがすごく好きになったよ。番組を通じて多くの人にその情報を届けられるし、僕たちも今本当に帰りたくないくらいだから、きっと世界中の人が日本に行ってみたいって思ってくれるはずだよ。

——日本で撮影をしてみて、日本ならではの独特、驚いた違いはありましたか?

ビューティ担当ジョナサン(以下、J):今回初めて日本に来たんだけど、日本、そして東京は美しくって、もう「オー・マイ・ゴッド」って感じ。古い伝統的な建物の横に、新しい近代的なものが並んでいる風景とか、大都市の路地裏で発見できるものや穴場もあって、迷子になっているのに全然不安にならないっていうところが好き。

フード担当アントニ(以下、A):僕も初来日だったんだけど、カナダや北米は近代的で新しいものが多くて、ヨーロッパは古い歴史があるものが街の特徴だけど、日本はその両方があって素晴らしいね。自動湯沸かしのお風呂とか最先端のテクノロジー…。

J:あと、ウォシュレットのトイレ! 最高ね。

A:近代的な中に伝統のある神社が本当にきれいに掃除されて整えられているのを見て感動したよ。あとは食べ物に関して。お寿司屋さんの久兵衛へ2度行ったんだけど、新鮮なお魚はもちろん、薄い大根スライスに梅ペースト、しそ、白ごまがのったものをお寿司のコースの間に出していただいたんだけど、それがものすごく美味しくて「なんで自分で気づかなかったんだろう!」って悔しくなるくらい。そんな食に関するこだわりと誇りを、シェフが食事を通じて提供してくれるのは最高の体験だったな。新しいものをどんどん食に取り入れていくその発想力、それに日本食だけではなく他の国の料理のお店も多くて、違う国の文化もマスターしているのが日本の食文化の素晴らしさだと思うよ。

ファッション担当タン(以下、T):僕は日本人のクリエイティブなファッションが大好きになったよ。彼らのスタイルは、僕たちにとってだけじゃなく彼ら同士にとってもすごくユニークなんです。いろんなスタイルをあれこれ試すので、同じ格好を何度も見かけることはあんまりない。自分たちの文化や国の中でもすごくユニークで、遊び心があるところがすごく気に入ったよ。

——そんな日本でもファンが多い『クィア・アイ』ですが、作品が国や文化を越えて愛される理由はどこにあるのでしょう?

K:世界共通の言語は、なんといっても「愛」だからね。みんな愛されたいし、愛されたって実感をしたい。だからそんな愛を見たいって世界中が思っているんだと思う。生きていると周りから非難されたり、愛を感じられなかったりすることもあるよね。番組ではそんな人を勇気づけ奮い立たせていくから、「人はそのままで愛されるんだ」ってことにみんなが気づいてくれるからなのかなと。

——ファブ5の皆さんは、とにかく「ポジティブで褒め上手」だと思うのですが、どうやってそうなれたんでしょう?

J:今まで直接出会った人の中で、テロリスト級に嫌な人っていたことがないの。どんな人でも、何らかの形でつながりを持つことができるから。私は保守的な田舎町の出身で、親族の半分くらいがトランプ大統領の支持者なんだけど、もちろん彼らの考え方すべてに賛成できることはなくても、その人たちだってより良く生きていきたいと思っていたり、人と繋がりたいと思っているのは、私と一緒だなって考えるの。どんな時だって、人に対して共感できるものを見つけることはできると思う。

B:自分たちがゲイとしてアメリカで育って、嫌な言葉もいっぱいかけられてきたって経験があるからこそ、人やその人のいいところを褒める大切さ、言葉の持つ力を感じてる。言葉によって傷つけることもあれば勇気づけることもできるんだって身を持って知っているからこそ、ポジティブなことを発信するように心がけているよ。

——日本では「結婚しないと幸せではない」と言われることも多いのですが、みなさんは「幸せ」をどうやって決めているのでしょう?

J:ハニー、よくぞ聞いてくれたわね。私も付き合ってた人にいきなり振られたから気持ちが痛いほど凄くわかる。「どんな事があっても自分たちの愛は不滅よ」と夢見たり、信じたりする恋愛、そこに人生の一番の重きを置くのは、違うのかなって思うわ。結婚より自分のことをちゃんと先に愛することこそが大事だと思う。その他についてくることは、おまけだと思えばいいのよ。番組で恋愛を助けることもあるし、テレビでそれを見てて楽しいと思うこともあるけど、まずは自分を幸せにすることね。自分との結婚式を計画すればいいわ。ちなみに、私は別れた後、大好きなフィギュアスケートに1日4時間も没頭してる。楽しいことをして自分の生活を充実させたり、あとは欲しかったバッグを買ったり、人に優しくしたり、外に出ることが大事ね。日常のぬるま湯から抜け出して新しい出会いや学びを得て、生活を充実させて、自分をもっともっと好きになれば大丈夫よ。

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K: 日本で撮影した人たちも同じように「お前はだめだ」って価値観を否定されたり、自分より人を優先させたり、自分の幸せはその次だって感じて来ている人がいたけど、そうじゃないんだよということを番組の中では伝えてきたんだ。みんな短期間ですごく変わって、自分を愛することの大切さに気づいてくれた。番組を通じて、日本でもたくさんの人に「自分を愛して、大切にすること」の価値が伝わってほしいな。

——(撮影をしていた日本の冬には)風邪予防はもちろん、自分に自信がない人が顔を隠すためにマスクをするという人もいます。そういった文化についてはどう思いますか?

J:自分の居心地のいいところにいると人間は成長しない。マスクを着けるほうが安心できるって思っているんだろうけど、自分は何から隠れたいのか、何が怖いのか自問自答してみるといいわね。自分をずーっと防御しておくものをしてるのってかっこよくはないから、火曜と木曜は外すとか決めて少しずつ開放するとか、ちょっとずつ変えていくといいのかな。

K:日本で撮影した人達は、間違ってる、醜いって言われてしまったことに、傷ついてきて、人に言えずに抱えて隠してきていたんだ。接していて気付いたのは、その心の痛みが「恥」になってしまって、その「恥」を信じるようになっていたということ。恥になっていることの原因を受け入れて、そう思うようになっていた自分を許してあげることが大事。恥ずかしいと思ったこと、ネガティブになってしまったことを払拭するために、思い込んできたことを、新しいメッセージに置き換えていくんだ。ジョナサンが言ったみたいにちょったしたことでもいい、自分に「この私で大丈夫」と言い聞かせるみたいにね。人に嫌なことを言われることもあるだろうけど、「自分は完璧で、このままで大丈夫」なんだ、「自分を好きになること」を大切にするんだ。

B:日本では育ってきた環境の中で、謙虚でいること、人を先に自分を後にと教えられている人も多いのかなと。周りへ敬意を払うことを学ぶのは素晴らしいことだけれど、自分を愛することを忘れておざなりにしてしまっている。「もし自分を愛せなければ、誰も愛せないわ(とにかく自分を愛しなさい)」って『ル・ポールのドラァグレース』でル・ポールが言ってるけど、本当にその通りだね。自分のことが好きじゃないと、好きな相手に自分が好きだっていう気持ちも伝えられないし。今回撮影でそういう男性もいたよ。日本人の人は、自分のことを愛し足りない。アメリカの人は愛しすぎてるね。

J:「私たち日本人はこう」「アメリカ人はこう」って、国で差別化しちゃったり、日本の田舎、アメリカの田舎にも多少違いはあると思うけど、自殺や過労も、男女差別や賃金や夫婦の不平等など、どっちの国でも共通に問題になってること多いよね。でも、世界中の人間の根本ではみんな愛されたいと思ってるし、受け入れてほしいと思いはすごく強いと思う。世界共通して、それぞれが自分を愛して強くなって、世界が良くなっていくといいなって思っています。

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