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年収中央値の意味とは?計算方法&男性・女性の違いをFPが解説!

  • 2019.10.3
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こんにちは、婚活FP山本です。年収や貯金に関する統計の話において、何度か「中央値」という言葉を目にしたことは無いでしょうか?多くの方は、学生の頃から「平均」なら馴染みがあるでしょうが、中央値はちょっとピンとこない方もいるでしょうね。中央値を知っておけば、今後の社会に対する理解がしやすくなるでしょう。

今回は、年収中央値の意味や計算方法、男女の違いや重要ポイントをお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。

年収中央値の意味は「中央の人は?」

まずは、年収中央値の基本的な意味についてお伝えします。簡単に言えば、中央値とは文字通り「中央の値」という意味です。もう少し言えば、対象となる値を順番に並べて、中央の(人の)数字がいくらかを表しています。意味合いとしては、極めて単純と言えるでしょう。

たとえば、「1・2・4・8・9」という数字が並べば「4」となり、「1・9・50・100・500」という数字が並べば「50」が中央値ということになります。この理屈を年収で当てはめて計算したものが「年収中央値」です。また貯金で当てはめたものが「貯金中央値」になります。

平均などとは違って、むしろ中央値は一定の計算ではなく「単純な集計」で出てくる数字です。拍子抜けした方もいるかもしれませんが、ひとまずしっかり知っておきましょう。

サラリーマン給与の動向・推移把握に役立つ

日本の社会人は、多くが「サラリーマン」です。中央値を使えば、そんな多くのサラリーマンの給与などの動向や推移について、簡単に把握することができるようになります。ついでに自分の年収などと比べて、大まかな「自分の立ち位置」を知ることにも役立つでしょう。

使い方そのものとしては、学生時代の「テストの平均点」と同じと言えます。ただ、統計には極めて沢山の種類がありますから、どのような統計なのかを把握しつつ中央値を見ていきましょう。

平均年収を計算するよりも正確……?

次は、中央値が存在する理由についてお伝えします。たとえば先ほどの「1・2・4・8・9」なら、中央値は4ですが平均なら「4.8」です。しかし「1・9・50・100・500」なら、中央値は50ですが平均なら「132」となります。後者のほうは、平均の倍以上の数字ですよね。

学生のテストなら、基本的に100点という上限があります。しかし年収や貯金額は青天井であり、高い人はとことん高いです。すると平均の計算方法では数字が大きくなってしまい、実態や体感との大きなズレが出やすくなります。このため、中央値が生み出されたわけです。

平均年収を計算するよりも年収中央値のほうが正確……とは言い切れませんが、一つの指標になるのは確かと言えます。平均年収とともに、年収中央値も把握するようにしましょう。

日本全国と地方でも違ってくる

最低賃金でも明らかですが、そもそも年収は地域差があります。都心部と地方でも相応に違いますから、おのずと日本全国を対象にしたものと地方限定のものでは統計結果も違って当然です。他にも統計には、年収別・男女別・ゼロ対象を入れるか否かなど、色々あります。

必要とする状況や当人次第で、どの統計結果を参考にするかは様々です。ただ、できる限り事情に合うものを参考にしたほうが無難と言えます。少なくとも、低い数字のものを見て安心するような使い方は控えましょう。

男性の最新の年収中央値は約450万円

ここからは、具体的な年収の中央値についてお伝えします。実のところ、明確な年収の中央値に関する直接的な統計は存在しません。日本の統計は、基本的に「平均表示」で統一しています。しかし理屈は前述の通りですから、既存の統計から予測することは可能です。

そのうえで、国税庁の平成29年「民間給与実態統計調査」から予測すると、ざっくり「年収450万円程度」が当てはまります。なお、同じ統計で示している男性の平均年収は、532万円となっていますから、十分に中央値とのズレを感じられるのではないでしょうか。

年収が100万円近くも違えば、全然違うと感じる方も多いでしょうね。言い換えれば、400万円少々の年収があれば十分に「平均水準」とも言えますから、自信に繋げましょう。

正社員、非正規社員でも給与は大きく違う

男性の平均給与でも、正社員・非正規社員で分けると大きく結果が違います。正社員なら548万円、非正規社員なら229万円という結果です。非正規社員の給与は、正社員の半分もありません。非正規社員の給与を中央値で考えれば、さらに少ないのが実情と言えます。

ちなみに男性の場合、総務省統計局の平成30年「労働力調査」によると、最新の非正規社員の割合は男性でも2割を超える結果です。男性でも少しずつ増えてきましたね……。

女性の最新の年収中央値は約250万円

次は女性の年収の中央値についてです。こちらも明確な統計はないのですが、同じ統計から同じように推測すると、女性の年収中央値は「250万円程度」になります。平均年収は287万円ですから、やはり女性も差は小さいものの、少し低くなってくるのが実情です。

ちなみに女性については、全体のおよそ56%が非正規雇用となっています。そして女性の平均年収は、正社員では約377万円、非正規社員では約151万円という結果です。正社員と非正規社員のちょうど中間に来るような数字が中央値なので、分かりやすいかもしれませんね。

ひとまず女性の場合は年収250万円程度、毎月20万円程度を稼げていれば「普通・人並み」と言えるでしょう。男性同様、ひとまずの安心に繋げていくと良いでしょうね。

企業の営業職などなら男性とも大差ない?

同じ統計によると、女性の平均年収は「最大の5000人以上の会社でも272万円」、「最大の10億円以上の資本金の会社でも328万円」という結果です。そもそも女性の8割が年収400万円未満という結果なので、本当に一部の方の年収で、平均が押し上げられていると言えるでしょう。

「女性の社会進出が目覚ましい」などと方々で言われ、確かに女性の就労者数も増加傾向ですが、まだまだ実態はこの程度です。上記の一部の方とは、企業の営業職になれたような方で、そして成功した方が基本と言えるでしょう。まだまだ女性には厳しいのが世の中の現実かもしれません。

社会人の中でも就職氷河期世代は……

ここからは、中央値に絡む重要ポイントについてお伝えします。まずは、最近よく言われる就職氷河期世代についてです。知るぽると(金融広報中央委員会)の平成30年「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)」によると、各世代の貯金額は以下の結果となっています。

  • 20代:平均貯金額…128万円、中央値5万円
  • 30代:平均貯金額…317万円、中央値40万円
  • 40代:平均貯金額…657万円、中央値25万円
  • 50代:平均貯金額…1043万円、中央値100万円

平均で見れば年齢とともに貯金額も順当に増えていっているように感じますが、中央値で見ると現役社会人の中で40代だけが下がっていますね。また内閣府の平成30年「40代の平均賃金の動向」によると、40代の賃金だけが下がっている結果です。中央値で見たら……どうでしょうね。

これらの結果も踏まえて、最近では統計の基本も「平均」ではなく、中央値を基本とする議論もされているようです。また昔は「国民皆中流」でしたが現代は「格差社会」となっています。同じ社会人でも正社員と非正規社員を比べて明らかな格差がありますから、今後はこの点でも変化があるかもしれませんね。

巡り巡る負担増には警戒すべき?

就職氷河期世代に関することについては、他の世代の方は無関係と考えることもあります。しかし就職氷河期世代の多くが自分で生活を賄えなくなれば、おのずと生活保護などの社会保障費が上がるわけです。つまり全ての世代が、巡り巡って負担増を負うことになります。

そしてそんな実情は、平均で考えていては見えにくく、中央値を通してこそ見えてくるのが現実です。とりわけ男性の年収でも分かりやすく違いがありましたが、改めて平均と中央値の違いを理解していきましょう。

たとえ中央値の年収があっても足りない?

もう一つの重要ポイントは、「たとえ中央値の年収があっても足りない」という点です。平均でも中央値でも、基本的な使い方は「自分と比べてどうか」でしょう。そして似たような数字なら「周囲と同じ」と安心するのが普通です。中央値なら平均より数字が下がりやすいので、喜ぶ方も多いかもしれませんね。

しかし先般、国が老後資金として2000万円必要と発表しました。先ほどの統計通り、貯金額は平均で考えても50代で約半分の1043万円であり、中央値なら限りなくゼロです。中央値の年収で、2000万円が貯まるでしょうか?平均年収でも大きく変わらないでしょう。

年収も貯金額も、人と比べてどうかに大きな意味はなく、最終的に足りるかどうかが重要です。気になるお気持ちは分かるものの、たとえ中央値の年収を超えていても励んでいきましょう。

年収中央値は最初の目標にしよう!

人と比べてどうかに大きな意味はないものの、まったく意味がないわけでもありません。最終的なゴールが重要な一方、ゴールに向かうまでの順序や段階だって相応に大切です。年収の中央値にすら届いていない方は、まずは最初の目標にしてみてはいかがでしょうか?

ちなみに年収中央値は、企業の正社員にさえなれば十分に男女とも達成可能な数字と言えます。その次に(できれば年齢に見合った)平均年収を目指し、少しずつ年収を上げていきましょう。

年収中央値を通して世の中を知ろう!

年収中央値は、平均よりも実態を表していることが多いと言えます。そして統計は、自分と比べる以外に、客観的な事情を知ることにも役立つ情報です。学校と同じく、勉強はどこで役立つか分かりませんし、特に「お金や投資」が絡む時は必須となります。ぜひ時には中央値で実態をつかみ、役立てていきましょう。

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