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「いじめられた子どもたちが“逃げっぱなし”にならないように」ライセンス藤原、いじめ体験を基に絵本制作を進行中<インタビュー>

  • 2019.9.26
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自身のいじめ体験を基に、描きおろしの絵本「ゲロはいちゃったよ」を制作中のライセンス・藤原一裕
KADOKAWA

【写真を見る】「50代になった時に、面白い漫才をしていたい」。“お笑いコンビ・ライセンス”としての今後のビジョンを語る藤原一裕

バラエティー番組や劇場で活躍しているお笑いコンビ・ライセンスの藤原一裕が、“いじめ”をテーマにした自身初の描きおろし絵本「ゲロはいちゃったよ」の出版に向けて、クラウドファンディングを開設。 広く支援を募っている。

現在クラウドファンディングの支援は成立しているが、より多くの支援を募り、「今“いじめ”を受けている人たちのために」と制作に意欲を燃やす藤原に、ザテレビジョンではインタビューを敢行。絵本に込めた、実体験に基づく“いじめ”問題についての持論や、クラウドファンディングの現状、さらには、 お笑いコンビ・ ライセンスの今後の展望などについて、語ってもらった。

自分の人生の中の大きな出来事を考えたら、その一つに、いじめがあったんです

ライセンス・藤原一裕の描きおろし絵本「ゲロはいちゃったよ」メインビジュアル
KADOKAWA

――まず、絵本を描こうと思い立ったきっかけを教えてください。

藤原一裕:知り合いに「藤原には絵本のイメージがないから、描いてみたら?」と言われて。「確かにそんなイメージはないやろうけど、そんなのできるかな」って言うてたんですけど、まぁ、とりあえずやってみようと思って、まずストーリーを考えだしたのが最初ですね。

――絵本のストーリーを考えるのは、お笑いのネタを考えるのに近い作業なんでしょうか?

藤原:う~ん、今回に関して言えば、ストーリーに笑いの要素はないんですけど、自分の実体験を振り返って作ってますし、近いと言えば近いのかな。

――今回の「ゲロはいちゃったよ」は、“いじめ”をテーマにした物語。このテーマを選んだのはなぜでしょう?

藤原:自分の実体験から作った方が書きやすいかなと思ったときに、自分の人生の中のフックというか、何か大きな出来事を考えたら、その一つにいじめがあったんですね。とはいうても、自分が受けたいじめ体験をそのまま書いても仕方ないので、全然違うストーリーを創作しました。

この絵本によって、この世からいじめをなくそうなんてことは、もちろん考えてないですよ。そんなこと無理やと思うし。ただ、いじめられた人間が逃げっぱなしにならないように…という思いは込めたつもりです。

学校に通い続ける必要なんかない。でも、家に引きこもって何にもしないのは違うと思うんです

中学生の頃、いじめを受けた体験を明かしてくれた藤原一裕。「やっぱり苦しかったし、イヤな思い出ですね」
KADOKAWA

――藤原さん自身、過去にいじめを受けた経験があるわけですね。

藤原一裕:はい、中1の終わりから中2くらいまでかな。やっぱり苦しかったし、イヤな思い出ですね。

――そのいじめの被害から、どうやって逃れたのでしょうか?

藤原:うちの家は、親父の仕事の関係で転勤族やったんですけど、いじめられていた頃は新潟にいたんですよ。その後、親父の転勤で奈良に戻ることになって、その引っ越しのおかげで、それまでの環境からドロップアウトできました。

――そこから新しい人間関係を築いていったんですね。

藤原:なんとか築けましたけど。でも当時、もし僕が小学生やったら、転校しても、友達も割とすぐできるし、きっと楽やったと思うんです。でも中学生になると、転校生って、ちょっと好奇の目で見られるやないですか。だから友達ができるまで、かなり時間が掛かりました。あと今思うと、その時期に空手に出合ったのは大きかったと思います。

――今も、いじめに関するニュースは絶えませんが、藤原さんはどんな思いで、それらのニュースを見ているのでしょうか。

藤原:例えば、いじめられていた子が自殺した、という報道が出ると、学校は知っていたのか・知らなかったのか、親は知っていたか・知らなかったか、それと、どんな風にいじめられていたか。そんなことばっかり取り沙汰されて、命を絶ってしまったその子の“感情”は無視されるやないですか。それはおかしくないか?…というのは、常々思っていて。

これは僕個人の意見ですけど、学校に通い続ける必要なんか全くないと思うんです。イヤやったら、親に言って転校させてもらってもいいし、学校に通わずに家で勉強してもいい。ただ、家に引きこもって何にもしない、というのは違うと思うんですよ。今回の絵本では、まさにそこを書いたつもりです。

悲しいですけど、絶対にいじめというものは生まれるものだと思います

藤原一裕も、今や2歳の娘を持つ父親。「うちの娘には、いじめる側にもいじめられる側にもなってほしくないですけど、今から覚悟を決めとかんとダメなんでしょうね」
KADOKAWA

――今お話しされた、いじめについての考え方というのは、藤原さんが父親になったこと(※2017年5月、SNSにて第1子となる女児の誕生を発表した)と関係していますか?

藤原一裕:あんまり意識してなかったけど、確かにどこかで子どものことは考えてますよね。独身の時やったら、絵本を描いても、こういう内容にはなってなかったやろなと思いますし。

理想を言えば、うちの娘には、いじめる側にもいじめられる側にもなってほしくないですけど、何年か後、もしかしたらどっちかになってるかもしれない。そうなったら、自分は親としてどう行動したらいいのか…答えは今すぐには出せないですけど、そのときはしっかり向き合いたいです。今から覚悟を決めとかんとダメなんでしょうね。

――お話を伺っていると、「いじめは決してなくならない」というのが藤原さんの持論なのかなと…。

藤原:それはもちろん、なくなることが理想ですよ。でも悲しいですけど、人間が何人か集まったら、絶対にいじめというものは生まれるものだと思います。

人間って、上下関係を作りたがる生き物ですから。例えばテレビのトーク番組も、そこに上下関係があるからこそ笑えるっていう部分もあるじゃないですか。大御所のタレントがいて、若手がいて、その関係のバランスの中で笑いが生まれる。若手が大御所に対して失礼なことを言うとかね。それは決していじめではないけど、上下関係を基にしてることは間違いないわけで。その上下関係の築き方が悪い方向に発展してしまうと、それはいじめになっていく、ってことなんじゃないですかね。

たとえ出版できなかったとしても、このストーリーが世に広まればいいなと

絵本出版に向けて、クラウドファンディングで支援を募っている藤原一裕
KADOKAWA

――「ゲロはいちゃったよ」では、ご自身で絵も描かれるそうですが、これまで絵を描いたり、習ったりしていたことは?

藤原一裕:インスタグラムで塗り絵みたいなことはやってたんですけど、自分で絵を描くというのは、ほぼほぼやってなかったです。でも、絵が得意な後輩芸人からは、「藤原さんは絵を描くのに向いてますよ」って言われて、すっかりその気になっちゃいまして(笑)。これからはちょこちょこ描いていこうかなと。

――絵を描く作業は楽しいですか?

藤原:この絵本に関しては、ストーリーが先にできていたので、物語に沿って絵を描いていくのは楽しかったですね。でも僕としては、あくまでも読む人がイメージしてほしいものを描いているだけで、僕の画力を見てほしいとはこれっぽっちも思ってないです(笑)。

今回はクラウドファンディングで支援を募っていて、その中に共同作業ができる権利(【共同制作権・サイン本付き・クレジット記載】)というリターンもあるんですけど、そこに絵心のある方に来てもらって、僕がアシスタントに回りたいくらいです。

――クラウドファンディングのお話が出たところで、今回クラウドファンディングで支援を募っている理由についても、改めてお聞かせください。

藤原:「ゲロはいちゃったよ」のストーリーができたときに、クラウドファンディングという形で公開した方が、より多くの人に、ダイレクトにメッセージが伝わると思ったのが一番の理由です。もちろん出版を目指してはいるけど、たとえ出版できなくても、クラウドファンディングをしているというこの行為自体が話題になって、このストーリーが世の中に広まればいいなと。

この絵本は、著作権はあってないようなもの。アメコミ形式で広げていきたいなと(笑)

ふじわら・かずひろ=1977年9月20日生まれ、奈良県出身。1996年、井本貴史とお笑いコンビ・ライセンスを結成。現在「ワケあり!レッドゾーン」(日本テレビ)などに出演中
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――既にクラウドファンディングを成功させている芸人さん、例えばキングコングの西野亮廣さんや品川庄司の品川祐さんからの影響や助言はあったんでしょうか。

藤原一裕:西野の活動はいつも感心して見てたんで、今回西野から、直接ではないんですが、西野のクラウドファンディングに携わっている方からアドバイスをもらいました。で、「西野がこうしてるんやったら、俺はこうしてみようかな」みたいな感じで。

――支援者へのリターンのアイデアだったり?

藤原:そうですね、リターンの幅を広げるとか、数を増やすとか。さっきお話しした“共同制作権”は、そのときのアドバイスを基にして作りました。

――ストーリーを買って、自分で絵をつけて販売してもいいという【ストーリー販売ができる権利】というのは、なかなかの大盤振る舞いですね。

藤原:絵がしょうもない僕とは逆に、絵は得意なのにストーリーが浮かばない、という方もいると思うんですね。そんな方にこのストーリーを買ってもらって、自由に絵をつけて絵本を作って販売してください、と。そうすると、僕の考えたストーリーがさらに世の中に広がっていくわけで、結果、ウィン・ウィンの関係になるんですよ。著作権の関係で、実はこのリターンに反対する声もあったんですけど、この絵本については、著作権はあってないようなものなので。

――同じ話が、別々の作者によって違う絵本になるというのは面白いかもしれませんね。

藤原:言うたら、アメコミと一緒ですよね。この絵本も、アメコミ形式で広げていきたいなと(笑)。

――実際にクラウドファンディングを始めてみて、いかがですか?

藤原:始めるまでは、2000円の【サイン入り絵本をお届けします】が一番売れ行きがいいのかなと思ってたんですけど、最初に定員に達したのが、1万円でSpecial thanksとしてあなたの名前を入れますっていう企画(【サイン本・Special thanks名前掲載】)で、ありがたかったですね。あと、“共同制作権”も、5人限定とはいえ5万円もするんで、全然売れへんかも…って心配してたら、これも売り切れて。

以前、ある人から、クラウドファンディングの支援者は努力や苦労をお金で買ってるんだ、という話を聞いたことがあるんです。わざわざお金を払って、しなくてもいい苦労をして、「あぁ、しんどかった~」って言うのを楽しむ、余裕のある人たちなんだと。そんな人いるんかな、ホンマかなと思ったんですけど、ホンマでした(笑)。苦労を買うというより、思い出の共有を買ってくれてるんだと思いますね。

50歳に向けて、どういう人生を送るかが重要。少なくとも、面白い漫才をしていたい

【写真を見る】「50代になった時に、面白い漫才をしていたい」。“お笑いコンビ・ライセンス”としての今後のビジョンを語る藤原一裕
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――テレビのお話も伺いたいのですが、ライセンスがMCを務める「ワケあり!レッドゾーン」(日本テレビ系)は、今年で放送6年目。今や深夜の長寿番組ですね。

藤原一裕:始まったときは、1クールも続かないと思ってたんですけど(笑)、ありがたいことに6年も続いて。世の中にはこんなにも、訳の分からないことを愛し、夢中になっている人がいるんだなって、つくづく感じます。人生を楽しんではる人ばっかりなので、うらやましくなりますよね。室外機に興味を持てたなら、そりゃ外歩いていても楽しいだろうなって。そこら中、好きなものだらけなんやから(笑)。まぁ立場上、たまに変人扱いしてイジったりもしてますけど(笑)。

――ライセンスとしての今後の展望は?

藤原:僕も相方(井本貴史)も40代になった今、ライセンスにとっては微妙な時期やと思ってるんですね。めちゃめちゃおっさんというわけでもないけど、確実におっさんに片足突っ込んでる(笑)僕らの漫才って、ちょっと微妙やなって。なんか中途半端なんですよ、ハゲるならハゲるで全然いいのに(笑)。だから、これからライセンスがどうなっていくんやろうっていうのは楽しみ半分、不安半分というのが正直なところで。ただ、少なくとも50代になった時に、面白い漫才をしていたいと思うんで、この先50歳に向けて、どういう人生を送るかが重要なのかなと。

10年くらい前、ライセンスを追い掛けてくれていた女子高校生も、きっと今は大人になって、結婚したり、子どもができたりしてますよね。そんな彼女たちが40になった時、50になった僕らの漫才を見に来て、「私が追い掛けていた人たちが、こんなおじさんになったんだ」っていう日が、いつか絶対に来ると思うんです。そこは、すごく楽しみにしてるんですけど。

――落胆の意味での「こんなおじさん」でもいいんですか?(笑)

藤原:落胆でも、笑えたらOKです。ただひたすら落胆されたら、さすがに傷付くかもしれませんけど(笑)。

――最後に、改めて絵本「ゲロはいちゃったよ」のPRをお願いします。

藤原:とにかく一度、クラウドファンディングのサイトを見てください。ほんの1、2分で済みますので、ストーリーを読んでもらうだけでも、ぜひ。そして、志に賛同してくださった方は、500円から支援を募っていますので、ぜひお願いします。さっきは「話題になるだけで十分」と言いましたが、やっぱり支援してくださることが一番ありがたいので(笑)。(ザテレビジョン)

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