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「男性の育休義務化」半数が戸惑い。夫がいても妻の負担が増えるだけの声も【パパママの本音調査】 Vol.348

  • 2019.9.23
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共働き家庭が増えたことによって、女性だけでなく男性も育児休暇を取得する人が少しずつ増えつつあると聞きます。そんななか、男性の育児休暇を義務化を目指す動きも見られ始めています。今回は、男性の育児休業について、考えてみたいと思います。

■育児休業の義務化には半数以上が「賛成」

アンケートでは、男性の育児休業義務化に賛成かどうか聞きました。その結果、「賛成」と答えた人が50%を超え、半数以上のパパやママは男性の育児休業義務化を前向きに捉えていることがわかりました。一方で、「どちらとも言えない」、「反対」と答えた人を合わせると5割弱となり、簡単には結論が出ない問題だということがわかります。

Q.男性の育児休業義務化、賛成? 反対?

賛成 53.9%
反対 10.0%
どちらとも言えない 36.1%



2016年10月から2017年9月までの間に妻が出産した男性において、2018年10月までに育児休暇をとった人は、全体の6.16%となっています(※1)。10年前は、同様の結果が1.23%だったのに比べると、上昇していることがわかります。

この背景にあるのは、共働き家庭の増加。2017年には共働き世帯1219万世帯、専業主婦世帯600万世帯となっていて、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍にもなっています(※2)。ただ、女性の82.2%が育児休業を取得しているのに比べると、男性の育児休業取得率は、6.16%という数字は高いとは言えません。

そこで、近頃提案されているのが、「男性の育児休業義務化」。今年6月に永田町の有志議員が、男性の育児休業取得の義務化を目指す議員連盟を発足させたことで、注目を集めています。

■賛成派意見その1「夫にも育児の大変さを理解してほしい」



では、まず賛成派の意見から見ていきたいと思います。

「うちは帝王切開だったので、術後熱が出たりで動きづらかったので、1週間でしたが夫がお休みをもらえたときはとても心強かったのを覚えています。おむつ替えもミルクもここで覚えました」(神奈川県 30代女性)
「人生のうち何度もあるものではないのだからやってみるといいと思う。子どもを産むことはできなくても子育てを母親だけの仕事という思いを変えるにはいい機会」(茨城県 40代女性)
「二人目が生まれたときに1ヶ月とってもらいました。自分の体と赤ちゃんの世話だけで大変な時期なので、上の子の保育園の送迎や買い物、洗濯を心おきなく任せる事ができ、大満足でした」(静岡県 40代女性)
「わが家は共働きではなく専業主婦だったので、子育て家事は私がメインでした。産後1ヶ月休暇を取ってもらえたら子育ての大変さがわかってもらえると思うのでお互いに優しくなれそうな気がします。何より子どもの成長を一緒に見られるのは宝です」(宮城県 40代女性)

これらの意見の裏側にあるのは、「子育ては夫婦で行うもの」という思いです。また、「かわいい時期を共有することで夫婦関係もよくなるのではないか」という声も集まっていました。

たしかに、産後のママは身体的にも精神的にもかなり追い詰められた状況になるため、何らかの助けを必要とすることが多いでしょう。里帰り出産をした場合でも家に戻ってたった一人で育児をすることの怯えからも、頼れる相手のパパがいてくれることは、どれほど心強いことかと思います。



■賛成派意見その2「義務化しないと取得率はあがらない」



また、制度はあってもなかなか利用が進まないため、義務化すべきだという声も多く集まっていました。

「実家が近かったり不要な家もあるとは思うけど、必要な家でも休めないという家が多い。義務化しないと、そういった家が休めないなら、該当の家はすべて休んだ方が幸せな家族が増えると思う」(神奈川県 40代女性)
有休すら取りづらい職種だと、そうでもしないとまとまった休みなんてお互い取ろうとしないので賛成です。2人目出産のときは、私が入院している間夫に休みを取ってもらいました。地味な家事も淡々とこなしてくれたので本当に助かりました」(鹿児島県 30代女性)
「仕事ばかりで育児に協力できていませんでした。悔いても取り返せません。ぜひ、義務化を」(千葉県 40代男性)

たしかに、職場の環境によってはなかなか育児休業の取得を申し出づらい場合もあるでしょう。先述した議連が目指しているのは、本人からの申請がなくても、企業側から休暇の取得を促すことを義務付ける仕組み。個人からは言いにくくても、企業側から促してもらえることで、制度を利用しやすくなるという側面は大いにありそうです。

■反対派意見その1「夫がいてもワンオペ改善にならない」



一方、「反対」、もしくは「どちらとも言えない」と答えた人たちの思いを探ってみたいと思います。

「あくまでもうちの場合ですが、夫が家にいても私の負担が増えるだけ、ストレスが増えるだけなので嫌だな」(東京都 30代女性)
「夫の職場は、生まれてから1ヶ月の休暇制度ができて、二人目のときに夫も休暇をもらった。上の子のときは手伝ってくれなくても、仕事で疲れているから仕方ないと思えた。だけど、『休みなのになんでなにもしないの?』ってイライラするだけだったし、夫は邪魔でしかなかった」(東京都 30代女性)
「義務化で休んでもらっても家事や育児を安心して任せられない。仕事に行っててくれた方が安心して自分のペースで子育てができると思う」(広島県 40代女性)
「育児休暇はいいが、実際あまりなにもできない。男性は母乳が出ないのが、一番きつい。離乳食時期くらいからならいいと思うが」(神奈川県 40代男性)

ほかにも、「ただのお休み状態でのんびり、ぐーたらされたら、大きい子どもが増えただけでイライラしそう」という意見も。たしかに、なんとなく育児休暇に入ってしまったら、パパ自身も手持無沙汰になってしまい、ただの休暇のように過ごしてしまいかねなさそうです。

パパからの「実際あまりなにもできない」というコメントには、切なさも感じてしまいます。ここにあがったような夫への辛らつな意見から制度が整うだけでは、夫婦で共同の育児参加、男女での協業体制は難しいように思えます。

■反対派意見その2「給料減額、復帰後の待遇悪化が怖い」



また、「反対」という考えの裏側には、給料が下がる、待遇が悪くなることへの切実な思いもあることがわかってきました。

「サラリーマンの生涯年収は3億とか。私は絶対に稼げません。私はがんばって3人育てていますが、夫だって激務をがんばっています。お互いの役割を果たす時期、私は育児と家事に専念します。私は夫の負担を考えると育児休業は望みません。激務をこなして働いてくれる事こそが育児だと思ってます」(神奈川県 40代女性)
「育児休暇を長くとって、会社から不当な人事にあったという記事を見ると、育児休暇を取ることに賛成しかねてしまいます。夫の育児は休日に存分に参加してもらう方が、意外とお互いにありがたみを感じるような気がします」(神奈川県 50代女性)
「40代男、3歳の子がいます。 気持ちとしては賛成ですが、夫側の収入の方が高く、家計のウェイトが大きいご家庭もあるでしょうから、一概に義務化と言うのは疑問が残ります。職業や賃金の面ではまだ男性優位の日本社会においては、先にそこを見直さなければ、男性の育児参画も進まないと考えます」(神奈川県 40代男性)

ほかにも、「妻も減給、夫も減給されたら、家計はつらい。お金がないとより家庭はギスギスする」というコメントも寄せられていました。夫婦でダブルで育児休暇をとった場合には、2人とも減給となり、生活が立ち行かなくなってしまう場合もあるでしょう。

日本ではまだまだ男性の給料の方が平均的に高いため、どうしても夫の給料に頼らざるを得ないという家庭が多く、義務化されたら困るという意見があるようです。また、「復帰後の待遇が不安」という声からは、取得すればいいのではなく、その先までしっかりと見通すことの重要性を実感させられます。



■男性の育児休業、どう変わればいい?



それでは、男性の育児休業については、現在の状況からどのように変わればいいのか、コメントをもとに考えてみましょう。

<その1、父親としての自覚を持ってほしい>
●妻の気持ちを受け止め、寄り添ってほしい。女性の自分の時間がないほどの大変さを感じて欲しい
●子どもにとっても父親の存在は大きい。子どもを愛おしいと思ってほしい
●男性には、「父親」として自覚を持ってほしい
<その2、育休よりも継続的に休める制度へ>
●出産前後に1週間、健診や予防接種で14日分など休める日を作って欲しい
●子どもの風邪や病気で使える看護休暇が欲しい
<その3、会社や環境が変わる必要あり>
●会社が育休を取りやすい雰囲気に。現在、暗黙で「取ってはいけない」空気、復帰後の冷たい態度、嫌がらせがある
●給料や立場が悪くなる状態ではなく、取得した方がより良い方向になる仕組みにしてほしい
<その4、夫婦それぞれが役割を果たす>



●夫婦でしたいこと、夫に期待するフォローをきちんと話し合わないと、男性にとってはただの連休になる可能性がある
●性別関係なく得手不得手がある。女性が家事育児というレッテルを貼らないとうまくいくのでは
<その5、上司が育休を後押しする>
●自分は育児休暇が取れなかった。だから部下が申し出たときに承認欄には印鑑を押す



ここまで、男性の育児休業義務化について、さまざまな意見を見てきました。そもそもこの記事でも「男性の」育児休業という言い方をすること自体に、男女差があることをあらためて実感させられたような気がします。こうした議論をしなければならないこと事態にも、改善の必要性があるように思えます。

女性の就業状態や、実家や義実家の協力度合い、子どもの人数や住んでいる地域など、さまざまな要因から、夫の育児休業取得の賛否は、家庭ごとで異なるでしょう。

またコメントからもわかるとおり義務化しただけで何もかもが解決する問題ではないように思えます。男性側がただの連休となってしまわないようにするためには、意識改革も必要になるでしょう。そのためには男性の家事育児能力の向上のための教室などが必要かもしれませんし、妻としても、どうすれば夫が育児参加をしやすくなるのか十分にコミュニケーションをとる必要があると思います。とくに育児で主導権を握りがちな妻が夫にダメ出しばかりしてしまうと、育児へのモチベーションも下がってしまうかも。

さらに育児休業中の給付金、パタハラ(パタニティ・ハラスメント/男性の育児休業制度などを利用で 上司・同僚がいやがらせをすること)が起こらない組織づくり、女性の収入面向上など、問題は山積みのように思えます。

でも夫婦でお互いにできることとできないことを再確認して、補い合うことができれば、この先も同じ方向に協力しながら歩いていけるように思えます。子どもたちの大切な一瞬しかない幼い時期を、できれば夫婦どちらかが1人で抱え込み過ぎず、夫婦でいっしょに乗り越えていけるといいですね。

Q.男性の育児休業義務化、賛成? 反対?

アンケート回答数:6400件
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<参考サイト>
※1厚生労働省:平成30年度雇用均等基本調査[PDF:4,784KB]
※2独立行政法人労働政策研究・研修機構:専業主婦世帯と共働き世帯の推移1980年~2018年

(高村由佳)

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