股関節の中立点を知る
股関節を中立点で使うと体に軸が通り、バランスポーズが安定します。前後の中立点は、骨盤が前後に傾いていない真っすぐ立った位置。左右はおへそが正面を向く位置です。片脚立ちポーズの中で見つけてみましょう。
ヴルクシャーサナの場合
ステップ1:鼠蹊部を軽く引いて腸腰筋にスイッチON
股関節を中立にしてヴルクシャーサナを行うと、腸腰筋が働きます。上体が上へ伸び、バランスが安定します。
HOW TO
右膝を曲げ、足裏を左腿の内側へつける。軸脚の鼠蹊部を軽く引いて骨盤を立てる。骨盤から上体が引き上がっていることを感じよう。反対側も。それぞれ30秒キープ。
NG:骨盤が前傾している
体軸が前に倒れてしまい、背筋・大臀筋・ハムストリングに過剰な負担がかかる。
NG:骨盤が後傾している
軸を安定させる腸腰筋が働かず、靱帯によりかかるので痛めてしまう原因に。
ステップ2:軸脚の鼠蹊部が軽くへこむ位置
軸脚の鼠蹊部を手でさわって、出すぎていないか(骨盤後傾)、引っ込みすぎていないか(骨盤前傾)を確認。鼠蹊部を軽く引いた位置が中立。
ヴィーラバッドラーサナⅢの場合
ステップ1:おへそを真下に向けて骨盤を安定させる
軸脚の中臀筋が働くことで伸びと安定が得られるポーズです。それには、股関節が内・外転しないように注意します。
HOW TO
ランジから左脚を持ち上げ床と平行、両腕を前に伸ばす。軸脚の鼠蹊部を軽く引き込んで中臀筋をONに。おへそ、上げている脚の膝と足の甲を真下に向ける。反対側も。
NG:股関節を開きすぎ
大臀筋を使ってしまうと股関節が外に開く。不要な筋肉の収縮は疲労の原因になる。
NG:股関節を閉じすぎ
ステップ2:つま先をin&outして見つける
上げた脚のつま先を内側・外側に交互に向けながら、ちょうどその間の角度を探しましょう。骨盤が真っすぐでおへそが下を向き、軸足が強く安定するポイントが股関節の中立点です。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動している。「TAKT EIGHT」、「UPRIGHT」主宰。
モデルを務めてくれたのは…宮沢セイラさん
バレエ歴14年。乃木坂46の1期メンバーで、現在はタレントやモデルとして活躍。ヨガインストラクターの資格を取得、現在は解剖学を勉強中。
Photos by IKKEN
Hair&make-up by Mayumi Tsuchiya(FIX-UP)
Illustration by Misako Nakagawa
Text by Yasuko Ito
yoga Journal日本版Vol.65掲載