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【芳麗・女と文化の話】やついいちろうが語るアラサー女子のリアルな欲望を叶える方法

  • 2019.9.21
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本誌の好評連載がWEB版にも登場。ライター、インタビュアーの芳麗さんをナビゲーターに多彩なゲストから女性と文化、カルチャーや人生の話などを、自由にディープに聞き込みます。今月のゲストは、お笑い、DJ、俳優としても多彩に活躍するエレキコミックのやついいちろうさんです。迷えるアラサー女子に向けて、婚活から転職までリアルな欲望の叶え方を教えてくれました。

■今月のゲスト:やついいちろうさん

Profile やついいちろう・お笑い芸人。お笑いコンビ・エレキコミックのボケ担当。俳優、DJ、ラジオのパーソナリティーなど幅広く活躍中。また、音楽・お笑い・ミュージシャン・文化人を交えて行うエンタテインメントフェス「YATSUI FESTIVAL!」を手掛けている。初のエッセイ小説『それこそ青春というやつなのだろうな』(PARCO出版)が発売中。

人生は勝ち負けじゃない、自己肯定の戦いだと思う。 婚活も仕事も、いかに自分の好きを貫くかしかない。
もっと楽しく生きたいなら、 自分の欲望をお金にする努力をすること どんな欲望だって、本物の欲望なら価値がある。

芳麗 やついさんは、年々、自由に楽しそうに活躍されている印象ですが、大学時代を描いたエッセイ『それこそ青春というやつなんだろうな』を読んで、その理由がわかった気がしました。読後、感じたのは、若い時から好きなことや楽しんでいたことを大人になっても大切にしていると、人生ってずっと楽しいのかもしれないなということ。

やつい たしかに、楽しいです。あの頃と今の自分は根っこのところは何も変わっていないからでしょうね。ここまで1度も就職せず、誰の教えも受けずにここまで来ましたから(笑)。 芳麗 自分を貫いて生きてきた。

やつい こんな風にしか生きられなかったんですよ(笑)。就職しなかったのも氷河期だったせいもあると思う。正規雇用も減ったし、せっかく会社に入れても、すぐ倒産しちゃうとかね。

芳麗 私も氷河期世代なのでわかりますけど(笑)。やはり、「好きなことを貫いて仕事として続ける」のは世代や時代を越えて難しいです。

やつい 僕の場合は、単純に褒められたからコレを続けられただけ。たまたま最初に出た漫才大会で褒められたからだと思う。いくら好きなことでもでも誰にも認められなかったら難しいですよ。しかも、あらゆるアルバイトをやったけど、他の仕事は完全に不適合だったから。

芳麗 本書にも、どんなバイトでもダメになったって・・・そんなこと、ありますか?(笑) やつい やる気がなかったんです(笑)。愛想も集中力もないし、お金さえもらえれば、すぐに帰りたかった。あの頃、好きじゃないことは続かない性分だなと気づいたから、この道で勝負するしかないなと。 芳麗 自分のことが早めにわかっていたんですね。

他人より自分を喜ばせるために人生を生きた方がいいと思う

芳麗 本誌読者はOLを中心にいろんな職の人がいますけど、今の仕事に不満を抱きつつ、「もっと好きなことを仕事にしたい」と願っている人も多いです。

やつい OL業だって、何かしら楽しいから続けているんでしょう?

芳麗 もちろん、今の仕事の全部が嫌なわけじゃないと思いますけど・・・。

やつい じゃあ、もし、今の仕事がつまらないという人がいるなら、自分が本当にやりたいことをお金にする努力をしたらいいと思う。芸人がお笑いをお金にするようにね。

芳麗 でも、本当にやりたいことってなかなかわからない人も多いと思います。

やつい でも、誰でも欲望はありますよね。「美しくなりたい」「お金が欲しい」みたいに直接的だったり、「ディズニーに住みたい」「ジャニーズと恋したい」とかあまりに現実離れしているから言えないだけですよね?

芳麗 それは、言えない(笑)。

やつい そこに対して、あらかじめ諦めちゃってる人も多いのかなと。でも、何もしないでいると時間だけが過ぎて、さらに可能性が低くなっていきますから。

芳麗 そうですね。

やつい とにかく、自分の本物の欲望に向かって行動してみると良いと思う。すると、完璧に願いが叶わずとも上昇はしていく。少なくとも今より良い場に到達できますよね。

芳麗 たしかに、結果より過程が面白いし。自分の気分こそ大事というか、気持ちが上昇気流にいる時こそ、幸福なのかも知れません。

やつい 人生とは自己肯定の戦いですからね。

芳麗 おおっ。いい言葉!

やつい 仕事って、他者の評価から逃れられないものだけど、実は誰が上とか下っていうのは本質的にはないと思うんです。お笑いの大会なら、どちらが面白いかの勝負ではなくて、自分たちを認めさせる戦いでしかない。大会で優勝したコンビや売れている芸人は、自分たちが良いと思ったものを多数に認めさせたんですよ。

芳麗 面白いの基準はたくさんあるし、人それぞれですもんね。

やつい 〝カッコ良い〟も同じこと。認めさせる戦いに勝ち続けているのはジャニーズですけど、近年は、EXILEも韓流もまた別なカッコ良さを提示していて、たくさんのファンがついている。どっちが上かという問題ではない。

芳麗 つまり、その欲望が仕事になるか否かは、より多くの人に自分の好きを認めてもらえるかどうか。 やつい そう。だからこそ、まずは、自分の好きなものとかやりたいことを大事にするのが先決かなと。ある程度、勝たないと認められもしないけどね。やはり、どうしたら、自分は楽しく生きられるか、そのためにどう仕事するかだと思う。少なくとも僕はね。 芳麗 好きでもないことで認められてもあまり楽しくないですもんね。 やつい だから僕は誰にどう思われたいとかは全くなくて。常にどうしたら、この子(自分)を喜ばせられるかを徹底して考えます。 芳麗 たとえば?

やつい 僕の場合は、バランスも大事。好きなことで2億円稼げても、時間や自由が全くないのは嫌なんですよ。忙しくても月1回は海外に行けるくらいの時間と財力は欲しい。そこに到達するためにはどうするかを日々考えて行動しています(笑)。 芳麗 自由とやりがいと幸せのバランス。

やつい 〝誰の人生?〟ってことは、もっと考えた方が良いと思う。どんな風に生きるのも自由だけど、他人より自分を喜ばせないともったいないんじゃないかなぁ。

バチェラーで観察した婚活に強い女子とは?
自意識から自由になれて、趣味をディープに語れる人!

芳麗 もう1つ。ぜひ聞いてみたかったのが婚活サバイバル番組「バチェラー」のこと。私、やついさんがきっかけでハマったんですよ(笑)。やついさんによる参加女子のプロファイリングが面白くて・・・。前シーズンの優勝者もぴったり当てていたのが驚きでした!

やつい 適当に話しただけですけど、なぜか当たりました(笑)。 芳麗 女子のどこを見て予想していたんですか?

やつい 「この人は他人にどう思われたい人なのか」ですかね。たとえば、「私、サバサバしてます」って語る子が実際にサバサバしてるとは思わないけど。サバサバ女子に憧れているか、あるいはそう見られることをヨシとしているのは確かでしょ。 芳麗 自意識の在処が見えると。 やつい 見えますよね。Instagramなんかもそうでしょう。投稿写真を見れば、自分をこう見せたい人だってわかるじゃないですか。自撮りじゃなくて、風景写真にも自我が表れる(笑)。

芳麗 はい(笑)。シーズン2で強かった、倉田茉美さんや小口那奈子さんは、自己表現や自意識の表れ方に嫌味がなく魅力的でしたよね。

やつい それから、容姿の良さは言わずもがなですけど、テレビ的な顔と素がかけ離れていない子が選ばれたのかなと。 芳麗 なるほど。 やつい 自分のキャラを作り過ぎている人は選ばれないと思う。もちろん、テレビだから全員、自分をどこかで作っている。でも演じ過ぎている人は難しいんじゃないかな?

自分をキャラ付けしている人って、公の場で接するのは楽だけど、プライベートで付き合うのは疲れますよね。明るいキャラを演じても素が暗いなら、大人の男はわかりますよ。30代半ばのバチェラーだって当然わかる。 芳麗 つい自分を演じちゃうって、一般の婚活市場でもあるあるだと思います。 やつい 他者に自分の触れさせる部分を決めている人っていますよね。ここはイジって良いけど、ここはダメ。リアルヒリヒリしている部分には絶対に触らせないみたいな女性とは、なかなか心が通いにくいんじゃないかな。 芳麗 触れられたくない部分は誰にでもあると思うけど、「私はこう!」が強すぎたり、ガードが固すぎると難しいですよね。

美容系インスタ女子は婚活に不利。 やついさんの考察とは?

芳麗 では、現実の婚活でバチェラーと結ばれる人ってどういう人でしょう?

やつい 考えたことない質問だなぁ(笑)。これは僕の見方でしかないけど、すごく美容好きな人とかは、婚活には不利な気がします。だって、男にしたら会話の糸口なさそうだもん。

芳麗 まぁ、そうですね(笑)。

やつい 僕、見知らぬインスタ女子をめっちゃ見てるんですよ(笑)。そしたら、〝オススメ〟に美容系の女子ばかり出てくるようになって。いろんな女子を見ていたら、みんな同じパーティーに行ってるし、同じような化粧品を勧めていて。美肌で美人だけど、接点は永遠にないなって、思っちゃった。

芳麗 どうすれば良いんですか(笑)

やつい うーん(笑)。美人インフルエンサーの方々は現実でもモテると思いますよ。でも、もし、出会いがないと悩んでいる子がいるなら、彼女たちを真似て美容ばかりに力を入れるより、旅とか音楽とか他の趣味に向かった方が、いろんな出会いもあって、男との会話の接点もできると思う。

芳麗 たしかに、趣味友って恋や愛に発展しやすいかも。

やつい そうそう。エレキコミックも毎年、旅行イベントをやっているですよ。全然、恋愛目的ではないのに、参加者同士、よく結婚するんです。

芳麗 素敵ですね。

やつい つまり、男も一緒に楽しめる趣味があったら、その分野に特化したほうが良いと思う。俺の場合、旅や音楽が大好きだから、そういう話がディープにできる女の子だと、たとえ肌荒れしていても惹かれますし。自然と仲良くなれる気がするなぁ。

本日の芳麗のおすすめカルチャー
『それこそ青春というやつなのだろうな』やついいちろう(著)・PARCO出版

やついさんが芸人の夢を追いかけて過ごした大学時代をリアルに綴った青春エッセイ。家賃1万8千円4畳半のボロボロなスサキ荘に集う落研部員たちは、「全国大学対抗お笑い選手権大会」を目指して悪戦苦闘する。夢を叶える情熱、仲間内の関係性に胸を熱くしながら、大人になっても楽しく生きる術も学べる。

ゲスト:やついさんのおすすめカルチャー

毎年、フェスを主催するほど音楽好きなやついさんが、今注目する若手アーティストとは? 「カネコアヤノちゃんとGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーです。2組とも誰かに踊らされず、自分を貫いている、稀有なアーティストって感じが良いなぁって。やっぱり、他人に用意された衣装を着るとか、アーティストじゃないよなぁって、俺は思っちゃう。」

「やさしい哺乳類」マヒトゥ・ザ・ピーポー

「彼の表現はとても詩的なんだけど、 その美しさに照れてない感じがまた良いんです」(やつい)。最新作は、GEZANの人気曲「待夢」のアコースティックカバーも収録。

「燦々」 カネコアヤノ

「裸足で弾き語る様子がとても魅力的。潔い侍みたいなんです」(やつい)。先日、リリースされたばかりの新作の世界観は、柔らかくも繊細で、どこか尖りを内包しているよう。

Profile

やつい・いちろう お笑い芸人。お笑いコンビ・エレキコミックのボケ担当。俳優、DJ、ラジオのパーソナリティーなど幅広く活躍中。また、音楽・お笑い・ミュージシャン・文化人を交えて行うエンタテインメントフェス「YATSUI FESTIVAL!」を手掛けている。初のエッセイ小説『それこそ青春というやつなのだろうな』(PARCO出版)が発売中。

舞台 エレキコミック第29回発表会「Ron Ron Maroon Queen」10月23〜27日に、東京にて開催。詳細はHPへ!

芳麗(よしれい) NHK山形局のキャスターを経て、文筆業に。女性の生き方にまつわるコラムとインタビューを主軸に、本誌のほか、雑誌、WEBなど多くの媒体などで連載・執筆。著作に「3000人にインタビューして気づいた! 相手も、自分も気持ちよく話せる秘訣」(すばる舎)、「LOVEリノベーション」(主婦の友社)など。好きなものは、旅とご飯とカルチャー全般。

芳麗の対談後記

やついさんのラジオもよく聴いていて、その視点に興味津々。自由にいろんな話を聞かせていただきました。 「人生の本質は勝ち負けじゃない」という至言に、2010年の「キング・オブ・コント」の決勝を思い出してグッときました。2本目のネタやスタジオでのコメントも含めて、あの日のエレキコミックは突き抜けて明るく面白くて。8位でもとても輝いていたので。

撮影/相原舜

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