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外国人が賞賛する日本の伝統工芸美 山口規子写真集『柳行李』で出会う

  • 2019.9.18
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「柳行李」をご存じですか?

柳を編んで作った箱型の衣装ケースのことで、兵庫県豊岡市発祥のものと言われています。

柳行李の起源は、西暦27年にまで遡り、日本に来て但馬地方(豊岡市周辺)を開いた新羅の国の王子天日槍命(あめのひぼこのみこと)によって伝えられたのだそう。

豊岡市内を流れる円山川沿いには材料となる「コリヤナギ」が自生しており、人々は農業の閑散期にコリヤナギを採って、柳行李を編んでいたとされています。

日本の自然と、昔の人の知恵と器用な指先から生まれた柳行李は、放っても壊れず、また湿気を吸収するため、着物を入れる箱として重宝されてきました。

後に柳行李に取っ手が付いて、持ち運べる「行李カバン」となり、こちらが日本のカバンの原点であるとも言われています。

その柳行李を30年以上作り続けている「たくみ工芸」の職人・寺内卓己氏と、カメラマン山口規子氏の出会いは2013年。

山口氏は仕事で豊岡市を訪れた際、たまたまお店の前を通りかかり、象牙のような光沢を持つ柳行李と、それを一心不乱に編む寺内氏の姿に感銘を受け、撮りたいと思ったのだそう。

海外撮影が多く、“日本のいいもの”を見つけるシャープな審美眼を備えていた山口氏が、この日本にある美しいものを写真で残したいと、たくみ工芸に通い、約3年の月日をかけて完成させたドキュメンタリー写真集『柳行李』を上梓されました。

写真集を通じて伝えたかったことを伺うと、「日本の伝統工芸品って海外ではすごく評価が高いんです。柳行李にしても、初めて目にした外国の方が、30分もかけて素晴らしさを熱弁したほど。

日本は今、将来に不安を抱えていて、元気のない人がいっぱいいますよね。 この写真で再び日本人としての誇りを取り戻してもらえたら嬉しいし、元気になってほしいですね」と山口氏。

その熱のこもった声からは、柳行李に恋焦がれる思いと、柳行李の存在を広く伝えなければならないという使命感がひしひしと伝わってきました。

写真集『柳行李』からは、何年も前から日本の庶民の生活に当たり前に存在し、今もなお輝きを失わない日本の美を見ることができます。どうぞ手にとってお楽しみください。

※写真はすべて『柳行李』から抜粋したものです。

文=CREA WEB編集部

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