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“情熱”が奇跡を生む。夢を諦めなかった女性が手に入れたものとは?

  • 2019.9.18
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女性指揮者のパイオニアとなったアントニア・ブリコの半生を描く映画『レディ・マエストロ』。女性が指揮者になるという夢を見ることさえ許されなかった時代に、誰よりも情熱を持って夢を掴んだひとりの女性。その力強い生き方にきっと心動かされるはずです。
今回はこの作品について、映画ライター渥美志保さんにレビューしていただきました。(編集部)

夢に向かうヒロインが手に入れた愛のカタチ

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©GINGERweb

貧しいポーランド移民の両親のもとにそだったウィリーは、母親に疎まれ、家庭を支えるために音楽ホールでアルバイトをしています。実は指揮者になるという夢を抱いている彼女ですが、現時点の勉強はごみ置き場で拾ってきたピアノを自己流に弾いていることくらい、音楽学校で学ぶカネもコネもありません。

さらに言えば1930年代は、女性が音楽で食べていくなんて夢のまた夢。「オーケストラを率いるリーダーである指揮者になりたい」などと口にした日には、アホかとバカにされ指さされて笑われるのが関の山という時代だったのです。

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映画はそんなスーパー逆境の中で、夢に向かってゆくウィリーの波瀾万丈の人生を描いて行くのですが、彼女のバイタリティと不屈の精神が何しろスゴイ。

バイトするコンサートホールでは、客席の着飾った人々を尻目に指揮者の真後ろにパイプ椅子を持ち込んでその仕事ぶりを見学し、公園で無料コンサートをしていた指揮者に声をかけピアノを習うことを直談判し、なんとか学校に入学したものの親とモメて家を飛び出し(「ここまで育ててやったのに、親を養うために働く気がないのか!」)、にもかかわらずセクハラ事件に巻き込まれて退学に・・・・・・と、冗談みたいにトラブルてんこ盛り。実は彼女の出自を巡る衝撃の事実も明らかになったりして、まさに波瀾万丈です。

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映画のモデルになったアントニア・ブリコは実在の女性指揮者の草分け的存在。つまり彼女は学校を放り出されてなお指揮者になるわけです。すべてを捨ててヨーロッパにわたり、「女のくせに」と言われて扉が目の前で閉まるたびに、それを叩き、鍵を探し、たまには蹴破ったりしながら、こじ開けてゆきます。

もちろんひたむきな彼女を応援してくれる人もいて、その筆頭が大富豪の子息で恋人のフランク・・・・・・といいたいところですが、もちろんそんな「おとぎ話」のようにはいきません。でもそこがいい。そのふたりの愛が昇華した関係は、働く女性としては、それはそれで理想的、と言えなくもありません。

文/渥美志保

『レディ・マエストロ』
【監督】マリア・ペーテルス
【出演】クリスタン・デ・ブラーン、ベンジャミン・ウェインライト、スコット・ターナー・スコフィールドほか
9月20日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
http://ladymaestro.com/
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