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「怖い人というイメージがあったけど」おやつユニット「Onaka」の誕生秘話

  • 2019.9.3
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このふたりだから、うまくいく。奇跡のコンビ、サクセスストーリー。おやつユニット「Onaka」の田中知彩都さんと小澤かおりさんは「ちゃきちゃき」と「おっとり」 、真逆のふたり。どんなストーリーがあるのでしょうか。

焼き菓子の甘い香りに満ちたアトリエで迎えてくれたのは、おやつユニット「Onaka」の田中知彩都さんと小澤かおりさん。ふたりはフードコーディネーター専門学校の元同級生。いまでこそ、「ちーちゃん」「かおりん」と呼び合う仲だが、学生のときは一度も話したことがなかったとか。ふたりの人生が交錯したのは、出会いから約1年後。夢だったパン屋を開き、相棒を探していた田中さんが、専門学校時代の友達から紹介されたのが小澤さんだった。当時、アパレルで販売をしていた小澤さんは仕事に迷いを感じていたこともあり、友達から話を聞いてすぐ、田中さんに連絡した。

「もともとパンは趣味で作っていたし、やっぱりフード系の仕事がしたいと思っていたんです。ちーちゃんは怖い人というイメージがあったけど(笑)、話してみたらコミカルでやさしくて。この人となら大丈夫かな、と」(小澤さん)

一方、田中さんは4歳下でほんわかした小澤さんが、体力勝負のパン屋の仕事についてこられるか少し心配はあったものの「とにかくいい子だったから」と、一緒にやることを決心。ふたりはパン屋をスタートさせる。

「開店当初はとくに忙しくて、始発から終電までみっちり働く毎日でした。それでもかおりんはイヤな顔ひとつせず、いつも一生懸命で。その姿にどんどん信頼が増していきました」(田中さん)

パン屋のオープンから1年後、田中さんは知り合いから声をかけられ、オーナーとして羽田空港にカフェを出店することに。それから1年ほどパン屋を小澤さんに任せていたが、カフェに小澤さんを呼び寄せ、また一緒に働き始めた。

「カフェでは、設備の関係でパンを焼くことができなかったんです。それで、パンの代わりに焼き菓子をやろうと、厨房の片隅でかおりんと作り始めました」(田中さん)

日持ちのする焼き菓子はギフトなど幅広い提案ができるうえ、パン作りより体力を必要としない分、仕事として長く続けられる―。焼き菓子に未来を見出したふたりは、2014年の暮れ、「Onaka」を結成。それからはカフェで働きながら、休日はマルシェに出店したりワークショップを開いたり、休み返上で活動し、少しずつ「Onaka」の仕事を増やしていった。そして、2年前に念願のアトリエをオープン。同じ年、田中さんは出産のタイミングでカフェを手放し、自分たちのペースで活動に専念できるようになった。

田中さんはちゃきちゃき、小澤さんはおっとり。そんな真逆のふたりは「一番大変だった」というカフェ時代を乗り越えて、なくてはならない存在になった。

「周りと衝突しやすい私に、『そういうときはこうしなくちゃ』とふんわり指摘しつつ、かおりんはいつも味方でいてくれた。本当に支えられました」(田中さん)

「私はずっとやりたいことが漠然としすぎて迷走していたけど、ちーちゃんに相談したり、一緒に頑張るうちに、『焼き菓子をギフトとして届ける』という理想の形が見つかりました」(小澤さん)

肝心のお菓子作りでも、お互いの存在が相乗効果に。新しいお菓子のアイデアは、ふたりの何気ない会話からどこまでも広がり、それぞれが作ったレシピを試食し合うことでおいしさにさらに磨きがかかる。定番の「トムファミリークッキー」も、そうしたやり取りを重ねて作り上げたものだ。

いまふたりは、「Onaka」の仕事を真ん中に据えながら、フードコーディネーターや和菓子の教室、モデルなど、自由に活動している。そして、田中さんは子どもとお菓子作りをする教室を、小澤さんは規格外のフルーツを生かした新しい商品作りを。それぞれ、次のやりたいことに向かって動きだしてもいる。

「お互いがいるから、思いのままに夢を描けるんだと思います。これからもかおりんと一緒に、おやつを通して『おいしさ』と『楽しさ』を届けていきたいです」。田中さんの言葉に、小澤さんがにっこり頷いた。

おやつユニット「Onaka」 焼き菓子のケータリングや教室を行う。「Onaka」は、小澤の「お」と田中の「なか」。そこには、みんなのお腹を「おいしい」「楽しい」で満たしたいという願いが。

※『anan』2019年9月4日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)

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