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自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ

  • 2019.8.28
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自分を受け入れる

「自信を喪失した人から利益を得ている社会で、自己を愛することは反乱だ」

初めて自分の体のことが気になりだした時、私はまだ7歳になっていなかった。その日私は、大好きな花柄のワンピース水着を着ていた。すると友達の弟に、脚が太い、と言われた。お腹にパンチを食らったようなショックだった。それまでまったく気にしていなかったのに、突然自分の体型が気になり始めた。以来、私は自分が体をどう思うかよりも、人から良いと思われるか否かを重要視するようになった。彼の言葉は恥の意識を芽生えさせ、それから長い時間をかけて私は自滅行為や身体醜形障害から自己発見と魂の再生への旅を続けることになった。

9歳の時、それまで私は多様な人種が住むニューヨーク州シラキュース郊外で自宅教育を受けていたが、メリーランド州ベルエアの公立学校に移ることになった。そこは圧倒的に白人の多い地域だった。私は自分の太い足だけでなく、髪質や、白人とはちがう形の鼻、濃い肌色も気にし始めた。そして人気のある女の子たちと自分を比べるようにもなった。彼女たちはいつもポニーテールを左右に揺らしながら廊下を歩いていた。私も同じようになろうとして、数カ月ごとに美容院に行き、長くて揺れる髪をまねるために何時間もかけてマイクロミニという何百本もの長い三つ編みにしてもらっていた。

私の自意識過剰にさらに輪をかけたのは、愛する両親だった。彼らは公民権運動の最中に南部で育ち、非常に保守的だった。黒人女性の体を性的に表象しすぎる世界から私を守るために、ショートパンツをはくことを決して許さなかった。私は自分の長い手足を喜ぶ代わりに、ますます体型を恥じるようになった。頭の中はネガティブな独り言でいっぱいになった。最終学年の時、私は白人の男友達とプロム(ダンスパーティー)に行った。その後、彼の友人たちは、彼が黒人をデート相手に選んだためにいっさい口をきかなくなった。私は自分という人間のすべてが嫌になるまで、自己嫌悪を募らせた。

メイヨー・クリニックによると、身体醜形障害の症状としては、完璧主義、常に人と外見を比べる、自分を醜くしている欠点があると強く思い込む、それゆえ特定の社交場面を避ける(私の場合は人前で水着やショートパンツを身に着けること)、外見を気にするあまりに社会生活や仕事、学校、その他の場面で苦難や問題を起こす、外見を何度も確認して安心を求める、などがある。いつしか私はこれらすべてのボックスにチェックを入れる状態になっていた。

私の祖母は、私が「黒人としての経験」を積むことを望んでいた。そのため大学はバージニア州の黒人生徒の多い名門私立大学に入学した。ある意味、楽にはなったものの、私は孤立していた。それでも自分だけが人と違うという状況でなくなったのは救いだった。長い三つ編みもやめて、自然なままにアフロにしたり、ドレッドロックスにして背中に垂らしたりした。たぶんそれは、何年にもわたってまわりに合わせてきたことへの反動だった。人気者の派閥にはまだ入れていなかったが、私は少しずつ自信をつけ始めていた。1年生の締めくくりには、憧れのハンサムな上級生のいるフラタニティパーティーに行けることになった。それまで彼は私の存在にすら気づいていなかった。もううれしくてたまらなかった。私は必死になじもうとして、初めて大量のお酒を飲みまくった。結局、女友達と楽しく過ごすはずだった夜は、悲惨な性的暴行で幕を閉じた。

私は体と自尊心への自信をすっかり失い、現実から逃れるためにジムに通った。そして、とりつかれたように何時間もトレーニングを続けた。私の魂は助けが必要だと知っていた。この時の私は孤独と葛藤の中にいた。私はずっと、黒人女性はこんな問題とは無縁だと信じていた。曲線的な体は称賛され、嫌われることはない。それでも私にとってはやせているほうが幸せだった。

1年生が終わった後の夏休み中は、感情を発散できるジムがなかったので、ほかの方法で気持ちをコントロールする必要があった。私はどか食いをして、食べたもの全部を吐くようになった。思春期の間ずっと続いている感情の乱れに対処するための新たな方法だった。だが私の中の小さな声がもうやめて、と懇願していた。そしてついに私は父に助けを求めた。翌日、私は摂食障害の専門医に会った。間もなく私は入院し、厳しい治療が始まった。徐々に回復するにつれて、呼吸が大事な要となった。食事をした後に吐きたい気持ちに襲われたときは、呼吸を使って気持ちを鎮めるようになった。

高校の時に、姉と一緒にヨガクラスを受けたことがあった。その90分間は自己批判から解放されて、まさに恵みの時だった。それ以来、ヨガの練習はしていなかったが、大学2年生になって学校に戻る時、ヨガマットとDVDを家から持っていった。そして寮の部屋で練習を始めた。そのとき初めて、自分の体に見た目以上の能力があると気づき、うれしくなった。当時はまだヨガはポピュラーではなかったが、大学の間ずっと練習を続けた。そして卒業後はヨガのためにニューヨークに行った。ニューヨークでは、ホットヨガのクラスに通い始め、スポーツブラとレギンスだけで練習することに自信が持てるようになった。時にはショートパンツも平気ではけるようになった。完全にネガティブな思考から解放されてはいなかったけれど、ようやく体に自信が持てるようになり、鏡に映る自分に向かって笑いかけられるようにもなった。そして、ヴィンヤサヨガ、マインドフルネス、瞑想の練習を深めるにつれて、自分の思考の言いなりにならずに、観察できる立場になった。マントラのパワーも絶大で、今はちょうど、壊れたレコードのように繰り返していたネガティブな思考を、ポジティブなアファメーション(肯定的な自己宣言)に書き換えているところだ。まだ自己批判が浮かんでくるときもある。でも、その思考を認識して自分への思いやりにシフトできる術が今の私にはある。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
Photo by Chris Fanning

言葉の持つパワー

心の中でネガティブな言葉を繰り返していると、壊れたレコードを聴いている気になるだろう。自滅的な思考は自尊心を破滅させる。それなら、その何度も繰り返す調べを、神聖なラブソングに変えてしまおう。ポジティブな言葉やフレーズを繰り返すことで、もっと健康的な在り方へとシフトできるようになる。練習を積むほど、まるで自分が神であるかのように(実際そうなのだ!)自分に話しかけるようになるだろう。今回紹介するシークエンスでは、精神的なデトックスのためにねじりを利用し、自分のパワーを感じてグラウンディングできるようにランジを行う。各ポーズでは魂を鎮める呼吸とともに静かにマントラを繰り返し、その言葉の意味が細胞の一つひとつに浸透していく様子をイメージしよう。

1.バーラーサナのバリエーション(チャイルドポーズ)

膝立ちになり、足の親指同士をつけて、かかとの上に座る。膝を腰幅に開き、息を吐いて上体を腿の間に倒していく。両手は前方に伸ばし、額をマットに休ませる。肘を曲げ、首の後ろで手のひらを合わせて互いに押し合う。このまま5回呼吸。体がマットに沈むにつれて、意識をハートに向けよう。息を吸って、吐くたびに、こう唱える。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私は自分の体を愛しています」Photo by Chris Fanning
2.ウトゥカターサナ(椅子のポーズ)

ターダーサナ(山のポーズ)に入る。吸う息で両腕が床と垂直になるまで上げ、手のひらは内側に向ける。息を吐きながら膝を曲げて、ウトゥカターサナの姿勢に入り、腿ができるだけ床と平行になるように体を下げる。かかとに体重をかける。自分の強さを観察し、指先からエネルギーがビームのように出ている様子を想像しよう。息を吸って吐くたびに、こう唱える。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体は強靭で、すばらしい」Photo by Chris Fanning
3.ねじった椅子のポーズ

息を吐いて胸の前で両手を合掌し、アンジャリムドラ(合掌のムドラー)に。息を吸いながら、足の拇指球で立ち、お尻をかかとまで下ろす。吐く息で左の肘を右腿の外側に引っかけ、手のひら同士を押し合う。このまま5回呼吸し、吐く息で正面に戻る。息を吸って吐くたびに、こう唱える。逆サイドでも繰り返す。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体は智恵に満ちています」Photo by Chris Fanning
4.アンジャネーヤーサナ(ローランジ)

両手をマットの前方に下ろし、吐く息で右足を手と手の間に大きく踏み出す。膝がかかとの真上にくるように調整する。左膝を床につき、左の腿の前面と鼠蹊部に心地よいストレッチを感じる程度まで左脚を後ろにずらす。左足の甲は床につける。息を吸いながら両腕を大きく振り上げ、息を吸って吐くたびに、こう唱える。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体は智恵に満ちています」Photo by Chris Fanning
5.アンジャネーヤーサナのバリエーション(ローランジ)

両手をマットの前方に下ろし、吐く息で右足を手と手の間に大きく踏み出す。膝がかかとの真上にくるように調整する。左膝を床につき、左の腿の前面と鼠蹊部に心地よいストレッチを感じる程度まで左脚を後ろにずらす。左足の甲は床につける。息を吸いながら両腕を大きく振り上げる。息を吐いて胸の前で合掌しアンジャリムドラに。吐く息で左の肘を右腿の外側に引っかけ、手のひら同士で押し合う。このまま5回呼吸し、吐く息で正面に戻る。息を吸って吐くたびに、こう唱える。4と5のポーズを逆サイドでも繰り返す。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体は果てしなくパワフルです」Photo by Chris Fanning
6.ヴルクシャーサナのバリエーション(木のポーズ)

ターダーサナに入る。左足に体重を移し、右足を上げて足裏を左の腿の内側につける。左手を胸に、右手はお腹にのせる。ここで5回呼吸し、息を吸って吐くたびに、こう唱える。逆サイドでも繰り返す。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体はバランスがとれていて、美しい」Photo by Chris Fanning
7.シャヴァーサナのバリエーション(亡骸のポーズ)

マットの上に仰向けになる。肩甲骨の間にブロックを縦に置き、もう一つは(いちばん高くなるように)頭の下に置いて頭を支える。腕の力を抜き、手のひらを上に向けて体の横に伸ばし、胸を開く。ここで5回呼吸。両手をお腹の上にのせ、息を吸って吐くのを感じながら、ブロックの支えに体をゆだねてリラックスする。息を吸って吐くたびに、こう唱える。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「ありがとう、私の体」Photo by Chris Fanning
8.シッダーサナ(達人座)

ゆっくりと体を起こし、スカーサナ(安楽座)に入る。左手を胸に、右手をお腹にのせて、目を閉じたら、呼吸に意識を向ける。体の中を流れるエネルギーを感じよう。息を吸って吐くたびに、こう唱える。

自意識過剰を乗り越えよう|自分を受け入れるためのヨガ
「私の体を信じています」Photo by Chris Fanning

指導&モデル/サラ・クラーク
ニューヨークでヴィンヤサとマインドフルネスを教えている。Kripalu Center for Yoga & Healthの教員も務め、YogaGloのヨガと瞑想のオンラインコースのクリエイターでもある。

Story&sequence by Sara Clark
Photos by Chris Fanning
Model by Sara Clark
Styling by Sarah Parlow
Hair&make-up by Elisa Flowers/Berns tein&Andriulli
Translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.61掲載

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